表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

とっても無防備なのです

潤くん視点


 女の子は優しくするものだ、という考えが俺には根付いている。

 そのせいで、学園の王子様なんて呼ばれる訳なのだけれど。


 どうしても冷たくしようと思ってもできない。でも、中にはめんどくさい女の子もいるのだ。こんなこと言ってはだめだと思うけど。

 それは家庭の環境でもあり、俺がみんなに嫌われたくないと思ってるからで。イイ子ぶっちゃってこの現状。


 こんな俺のこと。

 芽依にはもうそろそろばらしてもいいのではないかと考えている。芽依はうすうす俺のことに気づいてるだろうし、多少よそよそしくはなった気がしなくもないが、それでも敬遠する様子はない。


 絶対に離さない、なんて考えていたが、何も知らずに囲い込むのにも少し悪い気がむくりとこみあげてくる。


 あわよくば、このまま芽衣なら俺から離れないでいてくれるんじゃないだろうか。

 なあんて、おこがましくとも、そんな期待も少しあるのだ。






 そんなぐだぐだと考えているからこういう状況になってしまうのだ。今日も今日とて、告白を受けていた。



「気持ちは嬉しいけど、ごめんなさい」


 そう口にしながら少し微笑む。目の前の女の子の顔が真っ赤に染まり、うっとりとしたように微笑んだ。いや、待って。今告白を断ったはずなんだけど。何で笑顔なんだ。


「私、スタイルには自身あるんですよ?そういう女の人は興味ないですか?」


 そう言って俺の腕に胸をすりつけるようにしなだれかかってくる。ぎょっとして腕を抜こうとすると更に力を込めて腕を絡め捕られた。…胸もろに当たってるんですけど。でも俺は告白たった今断ったよね?目の前の女の子には伝わってない?それとも聞かないフリされたの?


 そりゃあ、男子高校生ですから。

 興味がないって言ったら嘘になる。興味はあります。ありますけど!

 でも、強引な女性、こわい!


「あなたを満足させる自信、ありますよ?」

 どう?と小首を傾げる。満足げにあげられた口端。自信満々だなあ。



 その時、なぜか芽依を思い出した。

 芽依に「俺を満足させてよ」と言ったらどうなるのだろうか。今みたいに女の顔でしなだれかかってくるのだろうか?

 きっと満面の笑みで「わかった!」と言って大量のお菓子をつくってくるに違いない。


 ふ、と空気が和んだ。

 そうだ、芽衣が待ってるんだ。



「でもごめんね。無理なんだ」


 

 早く芽衣に会いに行こうっと。




 

 がらりと扉を開けると、いつも迎えてくれる心地よい声がない。

 少し寂しい気持ちで部屋に入ると、芽衣は机にふせて寝ていた。とても気持ちよさそうだ。


 不用心だなあ、と思う。

この空き教室に招いた俺がいうことではないが、簡単にほいほいと空き教室についていくなんて。ましてや、鍵もせずに呑気に眠りこけるなんて。


 ちなみに、俺は空き教室について行って女の子に押し倒されたことが…あったりして。あれは驚きや得したなんて通り越して超怖かった。


 でも、なんだか俺に全幅の信頼を寄せてもらってむずかゆいやらなんやらで。



「俺が狼なら襲われちゃうよ」

 なんて冗談交じりでささやきながら、そっと芽衣の頭をなでる。

 さらさらと心地よい感触を楽しみながら顔にかかっている髪を耳にかけてやる。むにゃ、と気持ちよさそうにほほ笑み、はくりと口がひらいた。


「じゅん、くん」


 いきなり聞こえてきた言葉にびっくりして固まっていると、俺のなでている手をつかんだ。起きたのかどきどきだったが寝ぼけてるだけのようだ。すやすやと寝息が聞こえている。俺の手をどうするのかなあ、なんて思っていたら、そこに自分の手をぎゅっと絡めた。恋人つなぎ、というものだ。へへ、なんて芽衣から笑い声まで聞こえる。ほんとに寝てる…や。


「………うお、」

 どうしよう。ちょっと恥ずかしいぞ。




『ああああ、あのごめんなさいすみませんでした申し訳ありません許して下さい――!あの、私昔から寝言とか寝相とか最悪で、もしかしてあなたに膝枕せがんだとかそういうことですよね?!てゆーかそれしか心当たりが、』




 そう言えば、前に言っていた。


「ほ、ほんとに性質わる…!」

 ぶは、と思い出して笑う。


 これは心臓に悪い。

 今まで何人がこんな目にあってきたのか。

 男の子とこんなに仲良くするのは俺が初めてらしいから、少しほっとする。

 こんなことしたら本当にぱくりと喰われるぞ。

 後で、説教かな。 


 なんでこんなに無防備なんだろう。



「男は狼だよ、芽衣」


 むにゃむにゃと幸せそうな寝顔をのぞきこむ。少しいじわるがしたくなって、柔らかそうな頬をむにむにとつまむと、うう、と眉をしかめて身じろぎした。

 いさめるように、ぎゅう、と俺の手を握る手に力がこもる。そんな姿にくすりと笑みがこぼれる。


「もー、やめ、」

 静止の声をあげようとしたのか、ぽかりと開いた小さな唇に、そっと自分の唇を重ねる。



「……かわいいなあ」

 のんきに眠りこける姿を見て、ささやかな幸せを、かみしめた。


お前が狼じゃねーか!とつっこんであげたい。書いてたらよくわからない流れになりました…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ