24.熱き戦いの先
大変申し訳ございませーーーーーーーーーーーーーーん!!!
戦闘描写と流れの自然さが難しく、更新が完全に止まってました。
あれから何度か攻撃を仕掛けてはみたが、全て防がれてしまった。
相手の予想を超える強さに、エナは明らかに攻めあぐねているようだった。
「――で、あとはどう攻める?」
「そうですね……」
様子見とはいえ、必殺の一撃は防がれた。
さらにたかだか触覚でも、剣に変わった俺を弾く硬度。
おそらく他の部位はそれ以上の硬さだろう。
(このまま普通に戦っても勝ち目はないが)
どうやって蟻王の弱点を探るかを考えていると、突然――
「あまり時間をかけても意味がないですね」
とエナが切り出す。
「こうなると」
「そろそろ使うしかありませんね」
エナが言ってるのは強制接続のことだろう。
だが、あれでもやつの硬い甲殻を斬れるとは思えない。
「残った剣は六本あります」
「全て使って限界まで出力をあげます」
それなら確かに、あの甲殻にも太刀打ちできるかもしれない。
だが――
「……それはどれぐらい持つ?」
「――アルも私も数分が限界でしょう」
私もということは、問題はあの幻痛だけじゃない。
許容を超えた膨大な魔力を体に留めるだけでも自殺行為に等しい。
数分という時間は、精神的にも肉体的にもそれほどの負荷ということだろう。
「いざとなれば、自爆でもしますよ」
「おい、それは……」
エナがいうと全く冗談に聞こえない。
彼女は本気で、それを手段として数えている。
「時間がありません、行きますよ」
「待てよ、まだ――」
まだ話したいことはあった。
だが、前回とは比べ物にならない痛みが体の奥から全身に走る。
「燃焼、接続!」
エナの体にもあの時と同じく紋様が浮かぶ。
だが、それと同時にパキッっといった何かがひび割れる音が全身から聞こえる。
「エ……ナ……」
「大……丈夫です」
強がって笑ってはいるが、どう見ても大丈夫ではない。
動きが鈍った隙に、やつがあの触覚を飛ばしてくる。
しかし――
キィィィィンン
甲高い音が坑道に響き渡り、右の触覚が宙を舞う。
飛来する触覚を、彼女は斬り飛ばしてみせた。
(斬れた、これなら)
そう思ったその時――
――キシャァァァ!!!
再び蟻王の咆哮が轟く。
突然、足元の地面が弾け――
無数のアリの頭部が、噛みつくように飛び出した。
(眷属……部位だけで召喚もできるのか)
だが、一足先にエナはもう地面を蹴り空中にいた。
そこへヒュンっと空気を裂く音が迫る。
残った一本の触覚を伸ばし追い打ちをかけてきたようだ。
(まず……い……)
今は空中で、思うように避けることができない。
案の定触覚の一撃をもろに受けてしまい、後方へと吹き飛ばされる。
あまりの衝撃に、朦朧としていた意識もはっきりしてきた。
「エナ!」
「――問題、ありません!」
地面に激突はしたが、触覚の先端がエナを傷つけることはなかった。
逆に胸に突き刺さる直前の触覚を片手でガッチリと握っている。
無論、あちらも武器を取り戻そうとすかさず触覚を引っ張る。
だが――
「させません!」
エナは掴んだ手を離さない。
そのまま地面に踏ん張り、互いに綱引きの状態にもたれ込む。
すると突然、蟻王の脚が大地から離れる。
瞬間、エナの踏ん張りの勢いでこちらへと突っ込んできた。
すさまじい勢いで、蟻王の顎がエナの腹に迫る。
「やばっ!!」
先程の勢いで、彼女は後ろに倒れかけてる。
また姿勢が悪く回避はできない。
「くそっ!」
(俺が魔力を噴射して間に割って入るしかない)
だがそこで一瞬躊躇する。
(――あの硬度に耐えられるのか、俺は)
やつの装甲は、剣に変わった俺とエナの膂力を軽々と弾き返した。
あの顎がそれ以上の硬度なら、俺ごとエナを真っ二つにもできるだろう。
俺がそんなことを考えてる間に
「ちっ!!」
エナはすかさず俺を上へと放り投げる。
そしてそのまま――
「ふんっ」
空いた両手でやつの顎を掴み、噛みつきを防いだ。
(……受け止めやがった)
そして流れるように、
「せいっ!」
蟻王の頭を鋭く蹴り上げる。
ドンッという凄まじい衝撃音と共に、やつの頭部も跳ね上がる。
その隙にやつの頭上に跳躍したエナは宙を舞っていた俺を掴む。
「残り五本、全て使ったとっておきです!」
エナと再び繋がった途端に途方もない量の魔力が流れ込むのを感じた。
「燃焼、装填!!!」
空中で身を翻し、剣を構える。
「吹き飛びなさい!!!」
そしてそのまま必殺の一撃をやつの頭に叩き込む。
「ヴァルキューレ・ソル!!!」
かつてない閃光と爆風が、蟻王に向かって解き放たれた。
「ぐわぁぁぁぁ」
あまりの威力に、俺たちも吹き飛ばされ地面を転がる。
そのまま、先程の戦いの余波で盛り上がった岩石に叩きつけられた。
それと同時――
エナの体から紋様が消え、俺を襲う痛みも引いていった。
「はぁ……はぁ……」
(強制接続……の限界時間か……)
エナも息が上がっている。俺を握る力も一気に弱まる。
あの距離だ、蟻王には確実に当たった。
例え魔王でもさすがに――
「やったか……」
「いえ……」
その視線の先、焼け跡の奥で――
キシャァァァ……
「…………嘘……だろ」
聞き馴染みのある音が坑道に響く。
音の発生源は、土煙が晴れるとすぐにわかった。
「あれで……生きてんのかよ……」
弱っているが間違いない。
蟻王クレイヴァスが、焼け跡の中でうずくまっていた。
頭部の右半分、右脚の二本を失い腹部も一部えぐれている。
それでも蟻王を仕留めるには至らなかった。
キシャァァァ……
弱っているが威嚇の声を上げる。
どうやらまだ向かってくる気のようだ。
こちらは魔力は残っていても、体が限界だ。
ボロボロなのはお互い様でも、あちらはまだ動ける。
(剣は使い尽くした、体も持たない……)
「ここまでか……」
そう呟いたその時だった。
「――アル、お願いがあります」
エナが唐突に声をかけてきた。
「なんだ、こんな時に……」
「これから起こることは、できれば忘れてください」
心の声を溢すように寂しそうに呟く。
「エルナビス、お前一体何を――」
「…………なさい」
エナが小さく声を発した次の瞬間だった。
ピシッ
坑道に何かが砕けて壊れる音が響く。
なぜか同時に、どこかで嗅いだことのあるような香りがした。
そして――
「……炎素装填」
次の瞬間エナと俺の体から炎が立ち昇る。
「……ムスペル」
(これはどういうことだ……)
俺の中にエナのものではない魔力が流れ込んでくる。
それは、明らかに“異質”な熱だった。
つまり、強制接続とは全く違う。
そもそも上位精霊は一つの純粋な属性エネルギーの塊。
そして彼女は金属属性の精霊、火属性の魔力は彼女にはない。
(――いったい、なにが起きてる)
「エナ、お前――」
「――時間がありません」
俺の疑問は遮られてしまった。
そして蟻王に向かって剣を構えた。
それを見た蟻王も、ゆっくりと頭を下げて腹部を上げていく。
「これで……終わらせます……」
互いの限界はとうに超えている。
次に倒れたら、もう動けないだろう。
「――さあ、いきますよ!」
エナがクレイヴァスに向かって踏み込む。
それと同時に、やつもこちらに向かって迫りくる。
決着は――もう、逃げ場のないところまで迫っていた。
実はポケミクに当選していたので、その準備等もあり更新ができませんでした。
これから徐々に更新頻度を戻すよう努めます。




