表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/62

第50話:コア

「……どうやら、ここが正念場のようだな」


リゼット調査官の言葉と共に、俺たちの目の前には、地下深くへと続く巨大な隔壁のような扉が立ちはだかっていた。

扉はひどく損傷し、その隙間からは禍々しいエネルギーの光が漏れ出し、周囲の空間を激しく歪ませている。


「この扉のロックも……異常の影響で完全に故障してる!」

エリシアが解析ツールで調べながら叫ぶ。


「バルガス、ダリウス! 強引にこじ開けられるか!?」

リゼットが指示を飛ばす。


「やってみます!」


バルガスとダリウスが扉に戦槌と戦斧を叩きつけるが、扉は歪んだ音を立てるだけで、びくともしない。

それどころか、衝撃で周囲の空間がさらに不安定になり、壁の一部が崩落し始めた。


「ダメだ、これ以上は危険すぎる!」

エリシアが制止する。


「ちっ、どうする……」

バルガスが歯噛みする。


俺は、扉の隙間から漏れ出す、あの強烈な異常な波動に意識を集中させていた。

この先に、この問題の元凶がいる。


(この扉を開けなければ……!)


「ノア君」

リゼットが俺を見た。「君の力で、この扉のロック……あるいは扉そのものに干渉できないか? あのゴーレムの時のように」


「……やってみます」

俺は頷いた。消耗は激しいが、やるしかない。

イメージは、扉のロック機構、あるいは扉を構成する物質の『情報』そのものへのアクセス。そして、それを『変質』させる。


収納ストレージ――物質干渉マテリアル・インタフェア!!』


右腕に、焼けるような激痛が走る! だが、確かに、扉の表面が、まるで水面のように揺らぎ始めた!


「今だ! 開けろ!」


俺の叫びに、バルガスとダリウスが再び扉に力を込める!


ギギギギ……メキメキッ!


凄まじい抵抗感と共に、ついに重厚な隔壁扉が、内側へとゆっくりと開き始めた!


開いた扉の向こうに広がっていたのは、巨大なドーム状の空洞だった。


C区画まで届いているだろう天井は遥か高く、その空洞の中心には――


「……あれが……」

誰もが、言葉を失った。


そこにあったのは、禍々しいほどの巨大な、脈打つ光の塊だった。 それは、かつてこの迷宮の中心であった『コア』の成れの果てなのだろうか。

赤黒い光と青白い光が不規則に混じり合い、雷鳴のような轟音と、空間を切り裂くようなノイズ音を絶えず発している。


そして、その光の塊の中心部には、D-7区画から引きずり込まれたかのように、あるいは空間の歪みによって融合してしまったかのように、あの木箱(L-773)の残骸らしきものが、まるで寄生するように取り込まれ、異常なエネルギーをさらに増幅させているように見えた。


それは、木箱が元々持っていた微弱な異常が、コアの莫大なエネルギーと反応し、暴走的な相乗効果を生み出しているかのようだった。


「間違いない……! あれが、この異常の源流……! 『沈黙の迷宮』のコアが、木箱(L-773)を触媒にして、暴走しているんだ!」

エリシアが絶叫に近い声を上げる。


その時だった。

俺たちが足を踏み入れたことに気づいたのか、あるいは、俺たちが持つエーテル結晶の欠片に反応したのか。

暴走するコアの脈動が、一際大きく、そして激しくなった!


ズオオオオオオオオオオォォォン!!!!


凄まじいエネルギーの奔流が、コアから俺たち目掛けて放たれる!

それは、もはや指向性を持った攻撃というより、空間そのものを破壊し尽くさんばかりの、純粋な力の奔流だった!


「総員、防御!!」

バルガスの叫びと同時に、ダリウスが盾を構え、クララさんが必死に防御魔法を展開する!

リゼットも杖を構え、エリシアは俺を庇うように前に出た!


だが、その絶対的な力の奔流を前に、俺たちの抵抗はあまりにも無力だった。

俺は、迫りくる破滅的な光景を前に、ただ目を閉じることしかできなかった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ