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8話:卒業式


「「ははは」」


「み、御堂くん、ご飯一緒してもいいかな?」


つい最近、知り合った声が聞こえてくる。顔を上げればそこには今、最も注目を集めている近藤さんと2組の女子。

確か女子バスケのキャプテンだったかな。


「おっす!徳井!一緒に食べようぜ!」

「よう!吹石ふきいしじゃん!いいぜ!なあ、久遠もいいだろ?」

「ああ、もちろん」


女子2人は俺達と向き合うように座る。

その様子を見ながら社交性の高い徳井がいなかったら危なかったと思う。

近藤さんには鑑定後、お世話になったお礼を言おうとは思ってたがこんなすぐに機会がくるとも思っていなかった。


「ねぇ、徳井の唐揚げ美味しそうだね、一個ちょうだい!」

「ばか!欲しかったらお前の卵焼きと交換だ」

「じゃあ、はい!貰うね〜」


なんだこいつら、これが噂に聞く青春アオハルってやつなのか!俺の親友って思ってた以上にリア充なのか?


「み、御堂くん、私のジョブ聞いた?」

「えっ?う、うん、聞いたよ」


いかんいかん、リア充共に気を取られて近藤さんの話聞き逃すところだった。


「近藤さんは俺のジョブ聞いた」

「うん、聞いたよ」


やべぇ、なんて返せばいいんだ?

メーデーメーデー、至急応援求む至急応援求む!


「吹石ん家の卵焼き、甘いんだな」

「甘いの嫌いだった?」

「いや、これはこれでありだな」


仲良いな!おい!


「御堂くん鑑定の後、元気なくなってたからもしかしたら学校来ないかもと思ってたんだけど、元気そうで良かったよ」


笑顔で首を傾げる仕草にドキっとする。

あれ?近藤さんてこんなに可愛いかったっけ?


「痛っ!?」


見とれてたら脇腹に肘を入れられた。はい、会話頑張ります。


「鑑定の時はその、ありがとうな!」

「ううん、御堂くんも鑑定受ける前とか励ましてくれたから…」


くぅ〜、近藤さんって、普段はこんなにしおらしいのかよ!あの時、どれだけ余裕がなかったんだよ!俺!


「あっ!」


悔やんでいたら横と斜めから箸が伸びてきて、俺のエビフライをさらっていった。


「おい!俺のメインディッシュだぞ!」

「「知らん」」

「2人とも可哀想だよ、御堂くん私の卵焼き食べる?」

「御堂、保奈美のお弁当はお手製だよ」ニヤリッ

料理もできるとか最高かよ!

「う、うん、じゃあ、貰ってもいいかな?」

「どうぞ」

「サンキュー」


母親以外のしかも同年代の手料理とか初めてですげぇドキドキするけど、バスケ部2人のニヤニヤ顔が腹立つ!


「お、美味しいよ」

「よかった」


これが俺の青春の味で決まりだ。


その後、ニヤニヤする2人に見られながらも弁当を平らげ、4人でまったりする。

徳井と吹石はバスケの大会の話をしているので俺と近藤さんは今日のことについて話をする。


「近藤さんもやっぱり質問攻めにあった?」

「うん、朝から皆に囲まれて、先生が止めてくれたから朝は収まったけど、それでも休憩の度にみんなが押しかけてくるから今日は中庭で食べようって、里香が言い出したんだ」

「それは大変だったね」

「御堂くんは揉めたって聞いたけど、大丈夫だったの?」

「う〜ん、俺が揉めたっていうか、徳井が揉めたみたいな?」

「ちょっと、徳井何やったの?」

俺達の話を聞いていたのか、吹石が徳井に詰め寄っていく。

「ふっ、男には譲れない戦いがあるんだよ」

「馬鹿なこと言ってないでちゃんと言いなさいよ!」


吹石の剣幕に圧され、俺達は吉田と起きた揉め事について、きれいに吐かされた。

吹石さん、あんた警察に向いてるよ。


そうしていると昼休みも残り5分。

俺は意を決して、近藤さんの連絡先を聞いた。

何故か吹石さんの連絡先もついてきたけど、半日ですでに30人程増えているから今更で気にならない。


「近藤さん、明日からも良かったら一緒にお昼食べない?」

「うん!」


ヒュ〜ヒュ〜!



午後も無難に乗り切り、家への帰り道。

学校での事を振り返る。

今日は最悪の日になるかもしれないなんて思ってたのが嘘のようだった。


選別に受かって俺の学園生活はめちゃくちゃになったと思った。

職業がなしと言われ、俺の人生終わったと思った。

心の何処かでブレイバーになったことを悲観していた。なんで俺なんだと。

でも、俺の周りには心配してくれる両親に頼りになる友人がいることに気付かされた。

選別に受かって出会いが広がった。

選別に受からなければ、出会わなかった出会いだ。

俺の人生は確実に変わった。こういうのも悪くないんじゃないかって思えるくらいには。

改めて、みんなの期待に応える為にも頑張ってみようと思う。


俺、最強のブレイバー目指しちゃおうかな。そんなふうに吹っ切れた日だった。



〜〜〜




季節は移り行き、ついに卒業式を迎える日になった。

雨の日も風の日もたゆまずに鍛錬を続けた結果、俺の能力値は順調に上がった。


名前:御堂(みどう) 久遠(くお)

職業(ジョブ):なし

レベル:1  0P

筋力:10→13

体力:12→15

魔力:1

精神:11→12

耐性:7→8

器用:15

俊敏:10→12

魅力:10→11

幸運:13


技能(スキル)

直感


途中、能力値が上がったことに気付いてからさらにモチベーションは上がった。

特に数値で成長がわかるのは気持ち的に大きかった。

たまに近藤さんと一緒にトレーニングしてたのは徳井には内緒だ。(徳井は吹石経由で知っている)


「おーい!久遠!皆で記念撮影するってよ!」

「わかった、今いく!」

「おいおい!久遠!第2ボタンなくなってんじゃん!」

「そういうお前はボタン一個もないじゃん!」

「モテる男はつらいぜ!」


「そこのリア充2人さっさと集まれ!撮るぞ〜!」


いちたすいちは・・・に〜!


これにて選別編(今考えた)は終わりです。

次から入学編(今考えた)です。

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