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イヤイヤからノリノリでダンジョン攻略  作者: くろのわーる
ダンジョン編

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63話:月の涙



 日曜日の夜。


 みんなが寝静まった時間。


 私はベッドから起き出した。


 悔しさで眠れないのはいつものこと。


 ベッドから出ると、パジャマの上に一枚羽織る。


 そして、同室の子を起こさないように私は部屋を出た。


 目的地なんてない。


 ただ、横になっていられなかっただけ。


 足は自然と屋上へと向かった。


 屋上への扉を開けると、夜風が私を包む。


 身体を冷やす風が芯で未だに熱い悔しさを認識させた。


 ゆっくりと歩き、手すりにもたれ掛かる。


 ふと、上を見上げれば雲ひとつない星空。


 月だけが、何も言わずに見守っていた。


 視界が霞む。


 雫が溢れないように顔を上げたまま、目を閉じた。


 瞼に思い浮かぶのは最後の瞬間。


 御堂の鮮やかな剣捌き、振り下ろされる木刀が首に添えられる記憶がリフレインする。


 涙が頬を伝った。


 ……悔しい。


 ただ、それだけだった。


 不意に夜風が空気を切り裂く音を届ける。


 音は私の背中越し、手すりよりも遠くから。


 涙を袖で拭い、振り返る。


 地上の壁に隔たれて、存在する建物。


 そこには男子寮があった。


 その屋上で何度も同じ型を振るう、ひとつの影。


 奇しくも、私の技が破られた型をなぞる。


 月明かりに照らされた、その姿は映画の一幕のようだった。


 刀身が月の光を反射している。


 何度も振るう姿には気持ちが込められているようで目が離せなかった。


 見覚えのあるシルエット。


 暗くて顔は見えない。


 それでも、誰なのかはすぐに分かった。


 勝者であるはずの御堂が一心不乱に剣を振っていた。


 その光景をどれくらい見ていたんだろう。


 私の芯はより熱を帯びていた。


 ひたすらに繰り返す努力。


 勝利に慢心することなく、直向きな姿に自分を重ねていた。


 模擬戦で負けたからといって、終わりじゃない。


 これまでだって、何度も挫けてはその度に私は努力してきた。


 今回も次の努力の始まり。


 私は涙の数だけ、そうやって強くなったのだから。




第一章 完





ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。


私事で恐縮ですが、しばらくの間、この作品を含め執筆活動全体のペースを落とさせていただきます。


更新を楽しみにしてくださっている皆様には、ご心配とご迷惑をおかけして申し訳ありません。


執筆をやめるわけではありませんので、落ち着きましたら、また自分のペースで物語をお届けできればと思っています。


今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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