22
夕方、城に戻ってきた。
騎士団居住区域
「はぁー、いつもより楽しかったなぁ!」
「そうだね~、クルちゃんがいたからかな~」
「みなさん・・・今日は本当にありがとうございました!!」
「いいってことよ。言ってくれれば、いつでも一緒に行ってやるからな」
「そうそう!気使ったりなんてしないでいいんだからね!・・・クルトって我が侭言わなそうだし・・・」
「うふふ~。二人っきりがいいっていうなら~、いつでもおっけ~だからね~」
「ちょっとテレーズ!またアンタは・・・!!!」
「はいはい。ジェシカも一々反応してたらキリがないだろ?」
「むー・・・」
「本当に・・・ありがとうございました!」
みんな、良い人過ぎる・・・
良い人に出会えたっていうのも、運だからな・・・
僕は・・・頑張ろうって思った。
運に頼れない部分だって、あるんだから。
「あにうえ~~~~~~!!!!」
「え・・・リム?」
ダダダダっと駆けてきて、リムだと気づいたときにはもう抱きつかれていた。
とっさに振り向いておいてよかった・・・
胸に飛びついてきたリムを、とっさに受け止めた。
「あにうえ~~~~、会いたかったのじゃ~~~~!!!」
「リ・・・リム・・・いきなりびっくりしたよ」
「もうあにうえと離れて一週間以上経つのじゃ・・・!!!寂しかったのじゃ!!!」
「ごめん、連絡もしないで・・・」
「いいのじゃ・・・あにうえが頑張っているのは分かっていたのじゃ・・・でも・・・今日は我慢できなくなってしまったのじゃ・・・」
リムは本当に可愛いな。
抱きしめ返して、頭を撫でてあげたら、リムは猫のようにゴロゴロと嬉しそうな表情をした。
「お、おい・・・あれ・・・リムリア姫・・・だよな・・・?」
「た・・・確かに・・・リムリア姫・・・よね・・・」
「あ、あ、挨拶をしないと~~~~・・・・」
いきなりのリムの登場に、三人は動揺していた。
あ・・・やばい、かな?
でも・・・僕のことはバレてるし・・・
「えっと・・・みなさん、知っていて当たり前だと思うんですけど・・・妹のリムリアです」
「ほら、リム」と僕がうながすと、リムは僕からちょっと離れて、挨拶をした。
「む・・・挨拶が送れてすまないのじゃ。わらわはリムリアじゃ」
三人は、驚いた表情のまま凍りついていたが、まずジェシカさんが再起動した。
「こ、ここここ、これはリムリア姫様!!!ご、ごご、ゴキゲンウルワシュウ!!!!ワ、ワタシハ、ジェシカトイイマス・・・クルトオウジトハタダノドウリョウデス、ハイ・・・」
「おいおいジェシカ・・・最後がなんかおかしいぞ・・・・リ、リムリア姫様、こちらこそご挨拶が送れて申し訳ありませんでした。クイーンガード3番隊のベアと申します・・・」
「え、えっと~・・・同じく3番隊のテレーズです~・・・クルちゃ・・・クルト王子はいつも頑張っていまして~・・・先輩の私も~・・・見習わなくちゃなぁと思っている次第です~・・・」
みなさんごめんなさい・・・
そりゃ、いきなり姫が登場したらこうなってしまうよな・・・
「うむ!あにうえをよろしく頼むのじゃ!!」
「「は、はい!」」
「はい~!」
リムは挨拶が終わると、すぐに僕に抱きつき直してきた。
む、むむぅ・・・気まずい・・・
「み、みなさん申し訳ありませんでした・・・いきなり驚かせてしまって・・・」
「いや・・・その・・・なんだ、仲が良いんだな」
「あ・・・はは・・・」
「当たり前なのじゃ!あにうえは世界一イイ男じゃからな!」
ベアさんは冷静に対応しているかと思いきや、今まで見たことのない表情をしていた。
さすがのベアさんでも、か・・・
「(リ、リムリア姫に粗相を犯したら・・・クビ!?)」
「(落ち着いてよく見てみたら・・・リムリア姫様って可愛いなぁ・・・」
「あ、あの~・・・ジェシカさん?」
「へ、へへへ、へい!なんでござんしょ!?クルト王子!!」
「いや・・・別にクルトで構わないですよ・・・」
「ジェシカ~、それじゃどこの国の人か分からないよ~・・・」
ジェシカさんはもう絵に描いたような焦りっぷりだ。
ここまでの反応を見てしまうと・・・王族ってのは、怖れられているんじゃないかってくらいだ。
「あにうえ・・・?ジェシカもテレーズも相当な美人じゃな・・・」
「いきなり・・・どうしたのリム?」
リムは途端に寂しそうな声だった。
リムに美人だと言われた二人は、顔を真っ赤にして茹ってしまった・・・
「わらわは・・・あにうえのことを片時も忘れたことなど無かったのじゃ・・・でも・・・こんな美人が2人もいたら・・・あにうえはわらわのことなんぞ・・・」
「何言ってるのさ、リム・・・リムのことは、一瞬たりとも忘れたことなんて無かったよ」
「ほんとうか・・・?」
「うん、いつも苦しいときはリムの笑顔を思い出して、頑張ってきたんだよ・・・だから、そんな悲しそうな顔をしないで・・・僕が、明日からもっと頑張れるように笑顔を見せてくれないかな?」
「あ、あにうえ・・・疑ってしまってすまなかったのじゃ・・・でも・・・嬉しいのじゃ・・・えへへ~」
リムは僕に笑顔を見せてくれてから、また僕にスリスリをし始めた。
こう・・・ちょっと恥ずかしいようなそれでいてすごく嬉しい!っていう表情は・・・最高だった。
「くー、これが兄妹愛か・・・泣けるぜ・・・」
「クルちゃん~・・・本当に妹さん思いなんだね~・・・」
「クルトは本当に良いお兄ちゃんだなー・・・ぐすん・・・」
「ほらほらジェシカ~・・・復活したと思ったら~・・・ほら~」
「ありがとうテレーズ・・・でも本当に良いもんだよ~・・・ずずず」
ちょっとしたハプニングだったけど、結果的に・・・良かったのかな?
「あ・・・そろそろ戻らねばいかんのじゃ・・・非常に名残惜しいのじゃが・・・」
「そうなの?じゃあ、残念だけど・・・また今度だね」
「うむ、なのじゃ!次に来たときは、あにうえの部屋を見せて欲しいのじゃ!」
「うん、分かった。リム、また頑張り過ぎないようにね」
「それは、あにうえもなのじゃ!」
リムは僕から名残惜しそうに、ゆっくりと離れた。
僕を見上げてくるリムは、すごく笑顔だった。
「あにうえ!」
「なんだい、リム」
「その・・・今の口調のあにうえ・・・以前にも増して100万倍かっこいいのじゃ!惚れ直してしまったのじゃ!」
リムは僕に飛びついて、頬にキスをしてくれた。
妹からのキス・・・これ以上に嬉しいものはない・・・
「リ、リム」
「また来るのじゃ!・・・では、失礼するのじゃ!3人とも、くれぐれもあにうえをよろしく頼むのじゃ!」
「「はい、リムリア姫様」」
「はい~、リムリア姫様~!」
リムは、てててーっと廊下を駆けていった。
途中で何度か振り返ったときには、手を振ってあげた。
リムも、笑顔で手を振ってくれた。
「ふぅ・・・それにしても、いきなりだったな・・・」
「寿命が縮まるかと思ったよー・・・」
「でも~、リムリア様って~、やっぱり可愛かったな~・・・将来有望だな~・・・」
「みなさん・・・突然すみませんでした」
僕は3人に礼をした。
今日は色々なことがいっぱいあって、刺激的だなぁ・・・
「いや、いいんだよ。同じ城の中にいるんだ。家族にだってすぐに会いたくなるだろう。・・・悪いのはそれを忘れていて警戒していなかった俺たちだ」
「いやー、でもさすがにこの居住区まで姫様が来るとは思わないでしょー・・・でもあの仲の良さじゃあ・・・納得だわ」
「今度来たときは~、お菓子を作っておもてなしをしなきゃ~」
「・・・あのさテレーズ。さっきからアンタだけなんか発言がおかしい気がするんだけど・・・気のせい?」
「え~、そうかな~?確かに姫様がいたときはすごく緊張したけど~・・・今はもう解放されちゃったから余裕があるのかな~」
「はっはっは!ま・・・これからもたまには来るときがあるだろう。俺たちも非番だといって、気を緩ませすぎずにいこうじゃないか」
「なんか・・・申し訳ありません」
「いいんだよ、クルト。頭なんか下げるなって!・・・まぁ俺たちもあんな近くで姫様を見たのは初めてだったし、俺はちょっと嬉しかったよ。これからもたまにあの超可愛い姫様が見れるって思うと・・・くー!」
「ベア・・・姫様ってまだ14歳だよ・・・?アンタもしかして・・・ロ・・・」
「ロリコンは~、死すべしだよ~」
「俺はただ綺麗なものを見たいだけだ!・・・お前らみたいなそろそろ四捨五入したらあぶない連中なんか・・・」
ここで、ジェシカさんに赤いオーラが灯った。
テレーズさんには、緑のオーラが灯った。
ベアさんはどうやら、言ってはいけないことを言ってしまったみたいだった。
「あーら、ベアー・・・?随分と強気なんじゃないのー・・・?」
「女はね~・・・、25から最もおいしい時期を迎えるんだよ~・・・、色んな意味で~・・・」
「や、やっべ・・・!!!あ、あのな、二人とも!!さっきのは言葉のあやっていうか・・・ほんと・・・すまん!!」
ジェシカさんとテレーズさんの目が怪しく光っている。
そして、ゆらゆらと左右に揺れながら、ベアさんに近づいていっている。
こ、これは・・・止めた方がいいの、かな。
「あ、あの、ジェシカさんもテレーズさんも、そのくらいで・・・」
「クールトー・・・?女には譲れないものっていうのがあんのよ・・・そこをどきなさーい・・・?」
「今の私は~・・・いくらクルちゃんでも~・・・止められないんだよ~・・・」
「て、テレーズさん・・・あの・・・べアさんも謝っていることですし・・・暴力は・・・」
「あーーーーん・・・?じゃあクルト・・・変わりにアタシたちに着いてきてもらおうかーーーー・・・・」
ここでジェシカさんは、テレーズさんに何か耳打ちをしたようだった。
「・・・そうだね~・・・じゃあ~・・・変わりにクルちゃんを~・・・」
「え・・・え!?」
ジェシカさんはテレーズさんに何を耳打ちしたのだろうか・・・
なんとか止めようと思った僕だが、なぜだか標的にされてしまったみたいだ。
両脇をガシッと掴まれてしまった。
「クルト・・・すまない・・・」
「べ、ベアさん・・・!!!」
「さぁ~、クルト~、あんなオヤジなんて放っておいて行きましょうね~・・・」
「いかに~・・・私たちが~・・・賞味期限が切れていないかってアピールしてあげる~・・・ベア半殺しの変わりに~・・・」
「ひ、ひえええ・・・・」
「あー・・・そうだー・・・ベアー・・・?私たち3人、夕飯いらないって言っておいてねー・・・もし言わなかったら・・・」
「はい!かしこまりました!」
「・・・ベアさん・・・」
僕は二人に連行されてしまった。
ていうか・・・怖い・・・
女性に歳の話は禁句だっていうのは・・・こういうことなんだね・・・
勉強になった・・・
というか・・・夕飯断って・・・これから何が起こるのだろう・・・




