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テレーズさんと店を回る。
生活用品の店
「たまに自分で料理とかするときに~、ここで必要な器具揃えるといいよぉ~」
「ふむふむ・・・自分で料理か・・・やってみたいなぁ」
「うふふ~、私はよく料理するから~、今度教えてあげるよ~」
「あ、はい!よろしくお願いします!・・・でも、三食食堂でご飯出るのに、よく料理するんですか?」
「ジェシカはすごく良く食べるから~・・・食堂でご飯あれだけ食べても、すぐお腹空いた~って私の部屋来るの~。それでいつもちょちょいっと作ってあげてるんだ~」
「なるほど!」
「ジェシカは~全く料理ができないのに~、他人が作るものにはすごくうるさいのよ~。だからレパートリーもどんどん増えちゃって~」
「あ、あはは・・・」
テレーズさんはきっと、奥さんがすごく似合うのだろうな。
控えめな性格に、料理上手ときたもんだ。
そうなると・・・恋愛を禁止されていないこの騎士団での男たちの評価とか、関係とか気になってくるな・・・
おっと・・・また余計なことを考えてしまった・・・
それからも、テレーズさんと楽しく色々な店を回った。
ずっと手を繋ぎながら・・・
端から見たら、どう見えるんだろう・・・
歳は・・・10歳近く離れているが・・・
やっぱり・・・姉弟にしか見えないのかな。
アクセサリー屋
露店で出てるアクセサリー屋の前を通ったときのこと。
「お!そこの仲良さそうなカップルさん!」
「え!?」
「ちょっと見ていきなよ!ペアリングとかあるよ!」
「うふふ~、周りから見たらカップルに見えるんだ~、うふふ~」
「・・・」
「せっかくだから~、ちょっと見ていこうか~」
さっき考えていたことが、もう消化されるとは。
「ペアリングか~・・・ジェシカにお互い抜け駆けはしないって~、約束してるしな~」
「(あえて発言しないでおこう・・・)」
「あの~、4人お揃いで付けられるリングとかって~、ありますか~?」
「お!二人とも、もしかして家族だったりしたのかな?ありゃー、だったらさっき言ったことは、ごめんよ!
4人お揃い・・・もちろん、あるぜ!恋人用だけじゃなくて、家族用って扱いだけどな!たまにそういう人たちいるから、ちゃーんと用意してあるんだよ!」
「家族用・・・か」
「結構種類あるね~、クルちゃんはどれがいいと思う~?」
シンプルなものから、ちょっと洒落っ気があるものまで。
色々あった。
4人でつけるんだよな・・・
シンプルでかざりっけのあまりない、ものが少し気になった。
「これなんか、どうですか」
「どれどれ~・・・あ、私も目をつけてたものと同じだね~。えへへ~。じゃあ、これにしようか~」
「はい!」
「二人の指の大きさは大体分かるから~・・・じゃあ、このセットくださいな~」
「お!お目が高いね~!それは、付けているとみんな幸せになるって噂のやつだぜ!いやいや、家族思いってのはいいねぇ!はいよ!まけといてやるぜ!」
「ありがと~、おじさん~」
「ありがとうございます!!」
アクセサリー屋のおじさんは、紙袋に4つリングを入れて、渡してくれた。
あ・・・お金・・・
「クルちゃんは払わなくていいからね~、これは私とジェシカとベアからの入隊祝いってことで~、処理するから~」
「いえ、でも!」
「まだ入隊したばっかで、お給料も出てないでしょ~。いいのいいの~」
「・・・本当にありがとうございます!」
「うふふ~」
ジェシカさんがお金を払ってくれた。
僕もなけなしのお金が少しあったけど、察してくれたらしい。
「あとでジェシカとベアからはお金徴収しなきゃね~」なんて言ってたけど。
きっとジェシカさんもベアさんも、そういうことなら、と了承するんだろうな。
本人たちがいなくても、そういうことが決められるっていう関係がすごいと思った。
友情という絆、というものを感じた。
僕も・・・3人の中に・・・入れるのだろうか・・・
ペアリングを買った露店の前から、しばらくはアクセサリー屋が続いているみたいだった。
テレーズさんも、目を輝かせて見ていた。
女性ってやっぱりアクセサリーを好むんだなぁ。
値段を見ると・・・すごいものもあった。
リムや母上やナルにも・・・何かプレゼントしたいけど・・・
僕の所持金と、街で買ったような安物で、王族である3人が納得するわけないよなぁ・・・
いつも高そうなやつ付けてるし・・・
うーん・・・
「どうしたの~、クルちゃん~?」
「あ、すいません!・・・お世話になった人に、何かプレゼントできないかなぁと思ったんですが・・・」
「ふ~む~」
「あはは・・・まぁ言ってしまうとその人たちは王族関係だから、こんな露店で買ったようなやつじゃ喜ばれないんじゃないかなって・・・」
「うふふ~、そんなことないよ~。プレゼントって価値や値段じゃないよ~?プレゼントを贈る人の気持ちが大事なんだから~」
「でも・・・うーん・・・」
「どんなものをプレゼントされたって、大好きな人から贈られたものだったら、絶対に喜ぶよ~」
「そういうもの、ですか」
「そうそう~。お給料入ったら、また来ようよ~。一緒に~」
「・・・はい!ありがとうございます!」
プレゼントは物を贈るだけじゃない、気持ちも一緒に送る、か。
すごく勉強に、なった。
女性だったら尚更、なのかな。
気持ち、か。
でも、どうせなら似合うやつを贈りたいな。
待ってろ、給料日!
しばらく歩いていると、前から知ってる顔が見えた。
「あ、クルトにテレーズ!おーい!」
「はぁ・・・ったく、ジェシカがどこまでも追いかけてくるから、探すの大変だったじゃねぇか」
「誰が悪いのよ、だ れ が ! !」
「へいへい、すいませんってこった」
「ジェシカ~、ベア~」
「ちゃんと出会えてよかったですね!」
段々と距離が近くなる。
あ、テレーズさんと手を繋ぎっぱなし・・・
「いやー久方ぶりー・・・って、その二人の間でがっちりと繋がれているものは何かな?かな?」
ジェシカさんはすぐに気づいた。
さすがだ・・・
「え~?・・・えへへ~、ジェシカやベアみたいに~、はぐれちゃわないようにしてただけだよ~」
「ほほーーう・・・その割にはテレーズの顔がやけに嬉しそうなのは何でかな?かな?」
「気のせいだよ~」
「ふーーーーーーん?」
「あの・・・テレーズさん、そろそろ離しましょうか」
僕はジェシカさんの顔がどんどん険しくなるので、手を離そうとした。
その瞬間、ガチッと強く握る力が強まった。
僕は少し手を振って離そうとしたら、それでも離れなかったため、二人の間の腕は、前後にぷらーんぷらーんと・・・
「テレーーーーーズーーーーー?やーーーーっぱり、あんたが繋ぎたいから繋いでいたんじゃなーーーーーい!!!!」
「きゃあ~、ジェシカが怒った~、クルちゃん守って~」
ジェシカさんが迫ってきたことから、テレーズさんは僕の手を離した。
そして、ジェシカさんとテレーズさんは僕の周りをグルグル回りながら追いかけっこを始めた。
いったい、何がどういう状況なんだろう。
「はぁ・・・もういい大人がはしゃぎすぎだな・・・お前ら、もう少し周りの目ってのも考えろよ」
「はぁはぁ・・・テレーズ・・・あんた、手ぇ繋ぐ以外に余計なことはしてないわよね!?」
「はぁ~ふぅ~・・・え~っと・・・えへへ」
ジェシカさんの問いに、両手を頬に当てて赤くなるテレーズさん。
絶対わざとだ。わざとやってる。
さすがテレーズさんだ。
「その反応ーー!!あやしいーー!!クルト、この悪魔のような女に何かされなかった?汚されなかった?何か大事なもの失ったりしなかった?失ったらもう一生取り戻せない大切なものなんだよーーーー!?」
「ジェシカ・・・露骨だな」
「いえ、逆に手に入れました(指輪を)」
「そうだね~、結果的にあげちゃったってことになるのかな~(指輪を~)」
「な、ななななななな!!!!!!テレーズまさか・・・あんた・・・あげたら一生取り戻せないもの・・・あげちゃったのぉぉおおお!?私だって、私だってまだなのにぃぃぃぃいいい!!!!」
ジェシカさんは猛烈に勘違いしているようだ。
ていうか、ジェシカさんの抽象的すぎる発言が良く分からない。
勉強不足だな。
「ジェシカ、自爆してるぞ」
「あぐ!!」
ジェシカさんは自分の言ったことに対して、真っ赤になってしまった。
僕には何のことかさっぱりだった。
失ったらもう取り戻せないもの・・・家族とか?
そんなリアルで黒い話を持ち出したりしないよな・・・
うーん、本当に分からない・・・
「さ、掛け合い漫才はそろそろ終わりにして、どこかでメシでも食おうじゃないか」
「あ、そういえばもうお昼の時間ね」
「時間が過ぎるの早いね~」
「食堂に戻るんですか?」
好き嫌いして残すと一ヶ月メシ抜きになるが、休みの日とかに連絡無しに食べなかったときも一ヶ月メシ抜きになる。
それだけは避けなければ、死活問題だ。
「いや、その点については大丈夫だ。俺が城を出る前に食堂のおばちゃんには言っといた」
「さっすが、ベア!」
「ベア~、ありがとう~」
「ベアさん!ありがとうございます!」
ベアさんはこういうところの行動力がすごい。
先読みと思いやりだ。
「俺って気が利くだろ?」と言ったベアさんの笑顔がすごくかっこよかった。
僕もベアさんのような男になりたいと思った。




