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猫守紀行  作者: ミスター
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パーチェックでの一夜

短めですけど、堪忍してください。

戻ってきた頃には日が落ちてパーチェックはまさに夜の街だった…

「コレはまた…宿を探すのも苦労しそうだな…」


女連れで動物まみれの俺ですら客引きに逢うくらいだ。

まあ、客引きの女共はルナの軽い殺気を受けて引いて行ったがねぇ。

男共が幾らだい?と声を掛けてくることも多い…

そんな時は俺のきつめの殺気を叩きつけてやってるがね。


「あれ?イッチーナじゃないか。こんな所でどうしたのさ?」

……お前がどうした、第二王子よ?

「おい、バスハール何で居る。こんな時間に視察でも無いよな?」


「そりゃもちろん……げ、ファ、ファルナーク様…」

バスハールはルナを見て固まった…

まさかコイツの趣味に合う子がココに居るのか?

…いや、イカンだろコイツ生粋のロリコンだぞ?


「バス坊、何故こんな所におるのじゃ?それに護衛は付けておらんのか?」

む、そういや見当たらないな…まさか本当に一人か?迂闊すぎるだろ。


「護衛はいるよ「坊ちゃん!!逸れちゃ駄目じゃないっすか!泣きますよ!?」これが護衛のマキサック・夢野だよ」


何のリングネームだそれは…しかし、夢野ねぇ。

異世界人の子孫か?


見た目は赤い髪の角刈りに赤い太い眉、堀の深い濃い顔に茶色の瞳を潤ませてドシドシと走って来る様は異様だった。

腰に皮袋を下げ、装備らしい装備は何もない。

強いて言えば、革製の脛まで覆うブーツを鉄で補強しているくらいか?


「坊ちゃん、コイツ等は、お知り合いっすか?」

そうだよと簡単に答えるバスハール。


「そうっすか、じゃあ自己紹介を…マキサック・夢野っす、祖父の代から続く夫呂例素流を世に広めるのが夢の夫呂例素羅っす、坊ちゃんに雇われた冒険者で二つ名は『半裸の受け師』、よろしく!!」

何故か服を脱いで半裸に成ってポーズを決めるマキサック。


……体中傷だらけだな。


しかし、本当にレスラーだったな…この世界でプロレスは厳しかろうに良くやるもんだ。

プロレスは他の格闘技とは違いエンターテイメントの一種だ、だからと言って弱い訳では無い。

むしろ、打撃戦の打たれ強さなら№.1だろう…受ける格闘技だからなプロレスは。

だが、この世界は人間相手だけじゃない、人間相手だとしても武器や魔法を使ってくる。


まあ、この世界で流派を名乗ってるんだ、それなりに改良…いや対策は、しては居ると思うがねぇ。

言い直したのは俺的に『プロレス』であって欲しかったからだ。


この世界で、プロレスを貫けるならそれは…バカを通り越してカッコいいじゃないか!

モンスター相手にジャーマンスープレックスホールドとか凄く見たいです。


「甘坂一南だ、二つ名は…『白守』よろしく。で、コイツ等が白「み!」黄助「がぅ」サウス「ガウッ!」テンだ「…」ん?テン?…寝てるな、まあよろしく」


それぞれが自己紹介を終えて…ソルファはルナが紹介していた。


「おい、バスハール。お前がココに何しに来たとか、割とどうでもいいから俺達の宿を紹介しろ。明日は報告に戻らなにゃならんからな、ソルファを治療してさっさと寝たい」


「そんな!?紹介する!紹介するから代金だって払うよ!だから『マルニ』ちゃんには言わないで!!浮気じゃないんだよ?魔が差しただけなんだ!」


ん?何でルニの名前が出てくるんだ…ああ、ギルドに、が抜けてたか、すまんな…

まあ、宿を紹介してくれて代金まで払ってくれるんだ、言わなくてもいいだろう。


あと、ルニはお前の嫁じゃない。


「さあ、僕に付いて来て!」

と言うバスハールに付いて行くこと十分。


着いたのは俗にいう連れ込み宿だ。

しかし、他の連れ込み宿とは1ランク上の割と豪華な外見だ…


「ここは僕の行き付けでね、壁も厚いしどんな子を連れ込んでもいいから重宝してるんだ。割高になるけど、女の子を予約して連れて来たりもしてくれるんだよ」

魔が差しただけじゃなかったのか?むしろ行き付けが有るほど通っていたことに驚きだ。



「いらっしゃいませ…おや、バスハ様、先ほど予約された子が到着しましたのでお部屋に通してありますよ」

俺達全員の冷たい視線がバスハールに突き刺さる…


「アハハ…支配人、この人たちに部屋を、代金は僕が持つからよろしく!」

そう言って逃げるように走り去るバスハールだった。

マキサックも一度こちらに礼をして後を追っていった。


「では、1部屋でよろしいか?…お盛んですな」

「アホウが、まずは怪我の治療と2部屋だ、女組と俺と動物組のな」


「畏まりました…マニアックですな貴方も、その二匹をどう使うのか是非、後学のためにお教えください」

白とテンを見てのたまう支配人。


「斬り散らすぞテメェ…」

支配人の言葉に思わず殺気をぶち込み、刻波に手を掛ける。


「…フホホ、冗談でございます。ではこちらがルームキーになります二階の一番奥の部屋になります、無くさないようお願いします。それと治療道具は女性方のお部屋にお届けいたしますのでご安心を」


ハァ…さっさと部屋に行こう。

支配人の相手は色んな意味で疲れる。



俺達が部屋に入ったころ一階では支配人が誰かと話をしていた。


「いやはや、とんでもない使い手ですな…柄に手を掛けた瞬間に斬られたと思いましたよ。冷や汗がとなりませんな」


「それほどまでかい?バスハがよく遊びに来るようだから、護衛のつもりで君がやってるここを紹介したんだけれど…まさかイチナさんが来るとは思はなかったな」


「私もAランクと言っても『元』ですからね、老いも有りますしファルナークにも気づかれなかった位です。……で、シャーニス殿下、今日はどの『老女』を御所望で?」


「そうだな…彼女にしよう、ヘリーナさんに似ている…燃え上がれそうだ」

畏まりましたと頭を下げて従業員に伝える支配人だった。


実に下らない会話をして去って行くシャーニス…

純情とは何なのかを考えさせられる一幕であった。



俺は部屋に入って直ぐにテンをベッドに下ろし、リュックを置き白と黄助を出す。


「しかし、予想外に金が入ったな…エロは偉大だねぇ…」

冗談半分に呟きながら窓を開け窓枠に座る。


煙草を取り出し火を付ける…あ~ライターオイルが切れたんだっけか。

カシュッカシュッと音がするだけで一向に火が入らない。

仕方なくイメージ魔法でライターの火を指先に灯すイメージをして、一服。


やっぱ、オイルライターじゃねぇと味気ねぇな…まあ、完全に俺の趣味だがね。

俺に魔力があればこれでもよかったんだがねぇ…


フーッと窓の外に向かい紫煙を吐く。

その時コンコンと部屋の扉がノックされる…ルナ達かね?

「開いてるよ、勝手にどうぞ」


「……やほー…」「失礼します」「邪魔するぞ?」「ここが白たんの部屋…ハァハァ…」

おい、一人最初からフルスロットルなんだが?…まあ、いいか…


「ソルファ気がついたんだな、すまんな…まさかあそこまで耐性が無いとは思わなかったんだ」

嘘です、途中で気づいてました。


「いえ…あの、そういうのが好きなんですか?」

ちげぇ、情報としてジャオマに渡しただけで好きとかはべつだ。

あと、顔が真っ赤だぞ?その顔で好きとか聞くな…ルナがすげぇ睨んでるから。


「ほう…何が好きなのか是非聞きたいのぅ…」

怖いぞルナよ…大したことじゃないのに凄く言い辛くなりましたよ?


「……私は…サウス…と任務…」

お前じゃねぇよ…それとお前にとって、それは同じ事だろうが。


「私は断然白たんね!!でも最近白たんのテン乗せにも傾いて来てるわ!!」

どうでもいいし、それは結局白だ。


「あ、あの…イ、イチナさん、どうしましょう?」

俺に振るのか?まあ、俺が原因だししょうがないかねぇ…


「あのなル「あい分かった!!ソルファは第三夫人じゃな?まあ、イチナは良い男じゃから仕方あるまいて」…何でそうなるんだよ」


ソルファも何か言ってくれと視線を向けると…


「ふ、夫人…お嫁さん…結婚…ハッ!駄目です!アリーの花嫁姿を見るまで駄目なんです!!」

ソルファ…それは限りなく不可能に近いんじゃないかね?行遅れるぞ?


「確かにイチナさんには助けてもらったり、剣を振る姿がカッコいいなと思ったり、白やテンの面倒を見て良いお父さんに成りそうだなとか思ったりしましたけど結婚なんて…」


顔を赤くしてパニクるソルファ。


「……あ~、ここは有難うと言うべきかね?」

出来れば俺の居ない処でやって欲しかった…誉められてちょっと恥ずかしい。


「え?あ…うぅ」

赤い顔をさらに赤くして蹲ってしまったソルファ…何時もの凛々しい姿は何処えやらだ。


「……いじめ?…泣かせちゃ…めーよ…」

ぐぬぅ、確かに傍から見ればいじめているようにも見えるか…パー子に言われるのが癪だが。


「むう、仕方ないこの話は後で部屋に戻ってジックリと話すとするかのぅ…イチナ報酬の分配を頼むの」

まだ話すのか…頑張れソルファ…

報酬の分配ね、忘れかけてたよ。


「四角金貨9枚一人頭2枚で一枚余るんだが…「……は~い…さうらー…欲しい…」…ああ、頭数に入れるの忘れてたわ」

冒険者じゃないのについて来たパー子に金貨を与えるべきか否か…まあ、いいか。


「私は人質にされて怖かったのよ!!追加報酬を望むわ!!」


「それは、ジャオマに言え。しかもお前トリップしてただけじゃねぇか…幻惑魔法見破って抵抗もしたのに自分から白の幻惑に掛かるってどういうことだよ?取り分減らされても文句言えねぇぞ?」


「ぐむぅ…イチナが苛める!!白たん慰めて~!!」

そう言って白に突撃かますアリーナンは黄助とサウスに妨害され「あふん!」と地面に倒れ込む。


「さてと、取りあえずパー子に一枚で良いかねぇ?」

アリーナンはスルーだ。


「そうじゃのぅ、元々イチナの金じゃから分配する必要も無いんじゃがの?」

まあ、元々これ目的だったしな…あれで丸銀貨90枚とか割に合わん。


分配を終了しているので本来各自部屋に戻り始めるのだが…

何時もアリーナンを引きずって行くソルファが体育座りで膝に顔を埋めているためアリーナンはまだ俺の部屋で黄助とサウスを掻い潜ろうと挑戦中だし。

パークファはサウスに飛びつく機会を狙って待機している。

ルナにいたっては俺の部屋のベッドで寝っころがって、寝ているテンを突いて遊んでいる。


帰れよお前等…俺も寝たいんだよ。


「お前等さ…部屋に戻んないの?泊まって行く気か?」

窓枠に座りながら煙草をふかして問いかけた。


「そんな…あふん!…訳無いでしょう!!白たんナデナデしたら帰るわよ!!」

無理だろうな…しかしお前が居るとサウスと黄助が寝れんのだがねぇ…


「……サウス…と…すりーぴんぐ…」

お前は泊まって行く気なのな…なら、アリーナンを何とかしなきゃイカンな?


「この部屋に泊まる…一夜を共にするということかの?イカン!イカンぞ!結婚するまでそういうのはいかんのじゃ!!」


大声を出すなテンが起きるぞ?


「泊まる?あわわわ…駄目ですよ…あんなことできません…」


しねぇよ、ジャオマに渡した情報を俺の性癖だと思うな。

それとソルファよ、膝に顔埋めてこすり付けてるが…

痛くないのか?お前フルプレートだぞ?


「戻るのじゃ!!ではなイチナよ、また明日なのじゃ!!」

そう言ってソルファとアリーナンを引っ掴み部屋を出て行こうとするルナ。

「ちょっと!?まだ白たんを撫でてないわ!!」

「あの、自分で歩きますから引きずらないでください!」


パークファはようやく空いたサウスに抱き着こうと動き出すが、ルナに襟首掴まれたアリーナンによって「あんたも道連れよ!!」と捕まり「……あ~れ~…」と引きずられて行った。



フゥ…ようやく静かになったな…


「まあ、騒がしいのも悪くは無いんだがねぇ…」

微妙な気分になりながらてこてこと足元に寄って来た白を拾い上げベッドに入る。

今一落ち着いて寝れる環境じゃねぇが、まあ連れ込み宿だし仕方ない。


「サウス、黄助、お疲れさん。明日はシェルパに戻るからな、ゆっくり休んでくれ。お休み…白もな?」


「ガウッ!」「がぅ」「み~…」

白は半分寝てるな…俺も寝ようかねぇ。


俺はゆっくりと目を閉じるのだった…

あ、これで40話だ。

40話目が短くて申し訳ないですが、これからもよろしくお願いします!!


byミスター

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