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猫守紀行  作者: ミスター
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依頼完遂

「じゃあソルファ、ちょっと依頼人に達成報告してくるわ」

そう言ってVIP席へと向かう。


「ま、待ってください僕もいきます!」

疲れた体を引きずって、付いてくると言うソルファ。

ま、そうだわなぁ…アリーナンの護衛だもんなお前。


「…はいよ、黄助先上がって引き上げてくれ」

そう言いながらバックルに魔石を押し込み黄助へと魔力を補充する。


黄助はコロシアムの壁を半分ほど駆け上がり観客席の縁に鞭を引っかけ掛け上へと上がる。


「サウスは風で俺の補助をした後上がって来い…ほれ乗れソルファ」

ソルファに背中を差し出す。


「いや、しかし…分かりました」

フルプレートのソルファがずっしりと重い…そして固い。


「行くぞ」

黄助がたらした鞭めがけ壁を走る俺。

背中にサウスの風での補助を受けて何とか届いた。


「グルガァ!」

黄助が俺とソルファを一本釣りする。

そも後すぐに、自分に風をぶつけながら壁を走りサウスも上がってくる。


さて、行こうかね?



俺達は結界の張ってあるVIP席の前まで来た…ここは丁重に行かねば。


「よう、ジャオマ・ダーカンで良いよな?依頼達成だ。さっさと金とアリーナンを寄越せ、アホウが」

初めましてジャオマ・ダーカンさん、依頼達成しましたので仲間を解放してください。


うむ、完璧だ。


「イチナさん…何罵倒してるんですか」

あれ?…しまった、逆だったか…失敗、失敗。


「貴方はよくこの状況でジャオマ様にそんな口が利けますね…」

護衛の冒険者から短剣を借りてアリーナンに突きつきける側近。


「お前も分かってんのか?人質は生かして置く事に意味がある…アリーナンをやったらジャオマ諸共刻んでヤルよ…」


護衛の冒険者は、流石に俺の殺気が分かるのか「さっさと返しちまいましょうよ!?」や「ハンラニさん!アイツはマズイ!」などと言っている。


そんな時アリーナンは…

「ウフフフ…白たんが一杯…ええっ!?そんな!?白たんinテンですって!?そんな事…そんな事したら戦争じゃないの!!!」


………。


「おい、側近…ソレに何かしたか?なんか何時も以上にトリップしてるんだが…」

ソルファも引くトリップ具合だぞ?…薬じゃないよな?


「ああ、まさか『撲殺魔道』だとは思わず拘束時に2人やられましたので幻惑魔法を使用しています。…まさかここまでぶっ飛ぶとは思いませんでしたよ」


魔法だった…おい魔道士、抵抗しろよ。


「本職では無いですから、見破られて抵抗されたのですがね…途中からは自分から今の幻惑を作り上げ、浸っているのですよ…愚かでしょう?」


すまん、アリーナン擁護する言葉が無い…

俺からはこの言葉を贈ろう。


「アホウが」

多分に呆れを含んだ目でアリーナンを見る…

「お嬢様…」

ソルファも実に残念そうな目だ…


「ええぃ!!何時まで話しておるんじゃ貴様らは!!」


「…バカな!オークが喋った…だと!?」


「失礼じゃな貴様!?…ん?何じゃ男か…男は要らん消えろ。ウエヘヘ、傷だらけの乙女もそそる物があるのう…流石にソレに手を出す気にはなれんしの」


好色狒々爺ですら引くトリップアリーナン…流石だ。


「おい、ジャオマ。何が目的でこんなことをした?」

「……ん?何じゃまだ居ったのかさっさと消えろ」


……フゥ。

ポンと軽く拳を結界に当てる。


「何をしているんですか?離れなさい!」

側近がなんか言ってるが気にしない。


「神薙流無手術・武技『風抜』」

氣を波紋のように幾つも打ち込み重なった場所を拳で打ち抜く。

パリンと軽い音と共に結界が砕け散る…


「バカな…」

結界張るならハフロス並みの結界術師に頼め。


「黄助、サウス、ソレの確保」

2匹にトリップアリーナンの確保を頼む。

黄助が側近の持っている短剣を叩き落とし、サウスがアリーナンの襟首を咥えソルファの元へ。

ソルファはトリップしているアリーナンを起こそうと「しっかりしてください!お嬢様!!」と往復ビンタをかましている。


俺はジャオマに一匁時貞を突き付け。

「是非とも話を聞いてほしいんだがねぇ?こっちはイラついてんだ。もう一度問うぞ…何が目的でこんなことをした?」


「しかたなかろう!?触手プレイが見たかったんじゃモン!!」


仕方なくねぇよ、あとモンとか言うないい歳したジジイが…キメェんだよ。

しかし、予想外に頭の悪い理由だった…おい側近、うんうん頷いてんじゃねぇよ。


「戦う乙女が仲間のために触手に汚される…見ろこの本にも書いてあるじゃろう!?コレを再現したかったんじゃが…人質役にまで協力してくれるとは、報酬に色を付けねばならんの」


そう言って見せて来たのは『題名を言うのも憚れる成人指定の漫画本』だった…

俺の世界の物じゃねぇかよ…こんな小物まで来てるのか?


しかし、おかしい…話がかみ合わない?


「流石ジャオマ様…目の付け所が違います、成功すればショーとして更なる集客も望めるでしょう…貴様さえ邪魔しなければこの実験結果が分かっていたものを…」


なるほど、お前が実行犯か。


多分勘違いだぞ、側近よ…コイツはただのエロジジイだ。

集客とかは考えてないだろうよ。

現に今も『題名を言うのも憚れる成人指定の漫画本』を読んでうひょひょひょ!と笑っている。


しかし、実験かぁ…この側近、生かしておくとまた何かやらかしそうだな。

ジャオマ自体はエロジジイだが、それだけだ。

この側近がジャオマの言葉を曲解して実行し、今にいたるってとこかねぇ…


側近のジャオマを見る目は『心酔』だろう。

他の人間を見る時は塵屑のように見るのに、ジャオマを見る目はまるで狂信者である。

このエロジジイに何故そんなにも陶酔するかは謎であるが…


まあ、取りあえずだ…

「さて、大人しく「し、白たん!!!」……起きた、のか?」


トリップ時と大して変わらない言動で正気に戻るアリーナン。


「ほっぺが痛い…何で?」

そりゃそうだろうよ、ソルファが起きるまで頑張ってたからな…ビンタ。

ソルファは申し訳なさそうにしながらも、往復ビンタの事は言わないようだ。


アリーナンはキョロキョロと辺りを見回し、側近で視線を止めた。


「あんた…よくも私に幻惑魔法を掛けてくれたわね!?おかげで良い夢見れたじゃないのよ!!もう一回掛けなさい!!!」

さあさあ!!と側近に詰め寄るアリーナン…おい、側近が引いてるぞ。


全く…もう少しトリップしてればいいのに。


「お金?お金が欲しいの?なら今回の成功報酬を…ブベッ!!」

バカな事を言い切る前に、一匁時貞の鞘を腰から抜き後頭部へ叩きつける。


「アホウが、何でこれだけやってタダ働きなんだ…こいつ等はソルファをローパーに犯させようとしたんだぞ?…まあ、ローパー共は片づけたがねぇ」


「イチナ、殺しなさい。滅多斬りよ……いいえ、ここは私が殺るわ」

『撲殺魔道』の代名詞である、オリジナル魔法『ワンド』を出して素振りするアリーナン。


「やるなら両方潰せよ?ジャオマは別にいいが側近は残すと面倒そうだからなぁ」

あ~ぁ、達成報酬は無しか…


「良いんですか?我々のお客人には、この国のお偉いさんも居りますが…賞金首生活ですか、楽しんでださいね」

そう言う側近は、頬は吊り上っているが目は欠片も笑ってない。


「アリー!駄目です!僕はイチナさんに助けてもらったから大丈夫です。報酬を貰って帰りましょう?」


「…いいのか、それで?」

此処で後腐れなく殺しといた方が良い気がするがねぇ…


「もちろん、アリーを人質に取った事は報告します…ですがそれ以外は、討伐対象も居ましたし…これで負けたら僕達の自己責任です。僕達は冒険者ですからね、自分の生死の責任は人に問えません」


冒険者がクエストで死んでもその責任は、依頼者には無い。

自分で選び受けた仕事で何があっても準備不足、自己責任それで終わりだ。


それはクエストで嵌められても同じことだ。

まあ、その場合は依頼者にも責任があるがそれを調査する機関が無いのだ。

結局は報告して終わりになる…これが冒険者の辛い処だな。


「……分かったわよ、報酬として幻惑魔法を要求するわ!!」

「黙れ、アホウ…沈めるぞ?」

そう言いながらアリーナンを引きずってソルファの隣へと連れて行く。



「さて、報酬だが…『4人分』で一人頭金貨1枚な、丸か四角かは任せるが」

本来の報酬は『パーティー』で四角金貨1枚だ…ガッツリ吹っかけてみた。


「イチナさん…それはちょっと」

「流石イチナね分かってるじゃない!」


「ん?だってほら、報酬に色付けるって言ってたじゃねぇか。それに迷惑料だ…払え」

多少理不尽ではあるが、これも人生こういう事も有るだろう。


「何をバカな事を…色を付けるのレベルじゃないですよ。ジャオマ様も何とか言ってください」


「そうじゃの…触手プレイも見れんかったし色を付けて四角金貨1枚と丸銀貨30枚でどうじゃ?」

流石に吹っかけすぎたか…仕方ない。


「なら俺の持つ『情報』を買ってみないか?あ、報酬とは別にな?」

ジャオマが情報?と首を捻る。


「ああ、ジャオマにしか教えないし聞いた後で値段を決めればいい。どうだ?」

俺的にコイツからは出来るだけ絞りたいので、乗ってくれると助かるねぇ…


「よかろう」

それじゃ、と俺の持つ『情報』を耳打ちする。


「……四角金貨8枚でよかったかの?いやはや素晴らしい『情報』だったわい…ハンラニ!すぐに用意いたせ!」

俺の世界のエロシチュを話しただけで四角金8枚…エロジジイここに極まり。


「……はい」

俺をギロヌと睨んでVIP席の裏手に金を取りに行く側近。


「ちょっとイチナさん情報って何を言ったんですか!?僕がギルドに報告しなくちゃいけないんですよ!」


む、そうだったな。


「分かった…耳かせソルファ」

あ、はい。と素直に従ってくれるソルファにジャオマと同じ『情報』を聞かせる。


「あわ、あわわわ…」

聞きながら顔を真っ赤に染めていくソルファ…だが、止めない、可愛いから。

「あわわわ……きゅうぅ…」ぱたりとオーバーヒートし倒れるソルファ。


ふむ、ソルファはエロが苦手、と。

「何やってんのよイチナ!!エロ?エロスを聞かせたのね?ソルファはそう言うの苦手なのよ!!責任もっておぶりなさい」


はいはい…固いんだよな鎧が、まあ仕方ない。

調子に乗り過ぎた、自業自得だ。


「ほれ、報酬じゃ持って行け」

側近が持って来た金の入った袋を投げ渡してくるジャオマ。

それをキャッチし中身を確認する…よし入ってるな。


「もうこんな依頼出すんじゃねぇぞ?…情報はまだ沢山持ってるんだ、次やったら売らねぇぞ」


「なんじゃと!?まだもっとるんか!?…次この町に来たら是非店によっとくれ。最高のお持て成しをしよう。じゃから、な?」


「次が有ればな」

惜しむ別れでも無いのですぐにソルファを背負い、移動する。

子虎に戻った黄助はサウスに乗り、アリーナンは徒歩だ。


さっさとルナと合流しよう…白とテンは大人しくしてるだろうか?



「遅い…遅いぞイチナよ…我は限界じゃぁ」

俺を見つけるなりそう言って泣きついてくるルナ…何があった?


聞けば、まずテンが暴走し白が追い駆け、ルナが捕まえるを繰り返していたそうな。

パークファも脱力兵器として大活躍だったみたいだ…お前はルナを手伝えよ。

ようやく白が落ち着いたのがついさっきの事らしい。

テンはまだまだ元気一杯にルナの周りをグルグル走り回っている…

まるでもう終わりか?と言っているようだ…落ち着けひよこ。


取り敢えずソルファを下ろし、テンの捕獲を黄助に頼む。


「ぴ、ぴー!…ぴ!?」

挑発するようにルナの周りを鳴きながら回るテンが黄助に気づくが…もう遅い。

何時も通り何事も無かったかのように鞭でテンを絡め捕る。


「がぅ」

「ああ、有難うな。悪いがそのまま確保して置いてくれ」

一度頷き、サウスの上に戻ろうとする黄助だったが…パー子がすでに陣取っていた。


「……ここが…私の…すてーじよ…」

そこはサウスの背中でスポットライトも無いがな。


「そう!これが生白たんの力よ!!今なら何処までだって行けるわ!!」

フシャー!!と威嚇されながらも訳の分からんことを叫ぶアリーナン。

お前は白から何を吸収してるんだ…


俺はアリーナンを威嚇する白を抱え上げなだめてやる。


「イチナはスゴイのぅ、我は白とテンで精一杯だったというに…流石は我の婿じゃ」

いや、黄助が居なかったら流石にテンまで手は回らんぞ。

基本、脱力兵器共は放置だしな。


だからそんな尊敬の眼差しで見るな、ルナにその目で見られるのは何か嫌だ。


「ほれ、そろそろ行くぞ。ソルファも怪我してんだしな……ちいと嫌だがあの町で宿取って休むぞ。報酬の分配はその時な」


ルナに預けていたリュックに白と黄助を入れ、体の正面に来るように担ぎソルファを背中に背負う。

黄助がテンを俺の頭に乗せて準備完了だ…


「テン、暴走したら置いてくからな…暴れるなよ?」

「ぴ!?…ぴ~」

モゾモゾと落ち着きのないテンに釘を刺し、俺達はパーチェックに戻るのだった。


今週の更新はこれで最後ですよ。

更新週二回にしようか迷ってる最中です。

現状で毎日更新に戻すとすぐにストック切れを起こしそうで…


ああ、書く時間が欲しい…


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