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第4章の5

「・・・というわけだ。信じる信じないは勝手だが、俺には気の利いたお土産が思いつかん。お前の発明品で女子にうける面白いものをくれないか、ハバタキ」


「ほほお。テカリン、君もやっと僕の発明品の良さがわかるようになってきたようだね。どれどれ、とっておきのやつを用意してやろう」


「お前さ、まったく疑わないんだな。普通の人がこんな話を聞いたら、病院に行って来いとかいうレベルだぞ」


「テカリン、最近君に何かが付いていることは気づいている。それが何かはわからないが、君が良い方向に輝いているのはわかるんだ。おっと、顔の輝きのことだけじゃないんだよ。」



―だから・・・僕はその輝きに賭けてみたいんだ―



「テカリンって言ってる時点で顔のこと重視してるだろ。まあいいよ、もう俺にまかしてくれとしか言えんしな、この状態では。」



「その3姉妹というのはどういうルックスをしているのだ?まずはそこから教えてくれたまえ」


「うーん、それは俺もティタさんから聞いたのだが・・・・」




『ルックスですか?うーん、まあ美しい方たちですよ。そう、例えて言えば美術品のような。いや、陶器のような人でしょうか・・・』




「それじゃあ、さっぱりわからんな。何か資料はないのかい、テカリン?」


「そういえば昔やっていたゲームで、この3姉妹が出ていたのがあるな」


俺は、そのゲームを押入れから引っ張り出し、ハード機にセットした。


中々お目当ての場面のデータを見つけられなかったが、やっとのことでロードにこぎつけ、イケメンメガネとともに3姉妹の登場シーンを見た。



「・・・・・・・」


「・・・・・・・」


「なあ、ハバタキ。俺、この人たちと会うのすごく怖いんだが・・・」


「はっ・・はっは、なかなかエキセントリックな方たちじゃあないか・・・」


「お前・・・震え声で説得力のないこと言うなよ」



「テカリン、僕には未来が見える。これは変えることができない未来だ。聞きたいかいかい。え、聞きたくないだって。いや、わかっているよ、本心では聞きたいんだな。そうか、では話そう。それはね、君がこの3姉妹に頭や体をいい子いい子されているというものなんだ。おやおや、かわいがられすぎて首が変な方向に曲がり、泡のようなものを吹いているようにも見えるが・・・まあ気のせいですね。はっはっは、どうだ、聞いて損はなかっただろう。」


「おい!早口でごまかそうとしてるけど、さらっと命に関わる発言してただろ。かわいがりの意味もまったく違うじゃないか。」



「だいじょうぶ、首が折れたらすぐに治しますから!」


後ろでティタさんがウインクしなが親指を突き立てて得意げにしている。


「あほか、即死したら元も子もないだろ!」


ティタさんとハバタキは顔を合わせて笑った・・・ように見えた。




「ミズサキ、これを持っていきたまえ。」


ハバタキは俺に1つの箱を手渡した。


「人間は彼女たちに比べてあらゆる面で劣っているだろう。だから彼女たちにとって僕たちの世界なんてつまらないものばかりだと思うんだ。でもね、ミズサキ。だからこそ伝えられるものもあるんだと僕は信じている。」


そう言ってハバタキは額に人差し指を突き立て、目をつむった。


そう、これはハバタキが勝負をかける時の仕草。俺は今までこれを3回だけ見たことがあるが、負けた姿を一度も見たことはない。


『こいつなりのはなむけか・・・』


「まあ、とにかくベストを尽くしてくるよ。もし、だれだれの命と引き換えにとか言う条件出されたら、真っ先ににお前の名前言うから。」


「はっはっは、できるだけたくさんお話しするんだよ。首が曲がっても、お腹から声を出せば大丈夫だから。」


「おい・・・」


いつものくだらないやり取りを終えた後、俺は目の前のハバタキに無言でうなずいた。


さあ、行こう。もうこれしかないんだ。自分には何もないが、マタタキを助けたいという気持ちだけは誰にも負けない。


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