第4章の19
ハバタキがスイッチを入れた。
2度目の校門前。
マタタキが歩いてくる。
暴走してくる車が見える。
車は左右に揺れながら猛スピードで突っ込んでくる。
車とマタタキとの距離が縮まってくる。
残り15m……マタタキはまだ気づかない。
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残り10m……気づかない。
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残り 5m……気づかない。
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残り 2m……気づく。
【車の前を、何か物体が飛んでいった】
……
マタタキはそのまま、車にはねられた。
『午後3時39分』
これが最後だ。瞬間移動。君に決めた。
残り15m……マタタキはまだ気づかない。
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残り10m……気づかない。
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残り 5m……気づかない。
・
残り 2m……気づく。
【マタタキの姿が消えた】
だが、数秒後……
校門の周りが真っ赤な血に染まっていた。
午後3時38分、39分に俺が見た未来は、校門前でマタタキが血を流して倒れているという結果のみだ。そう、それまでの過程についてはあくまで想像。だが、大体はあっていると思う。
―午後3時39分40秒―
衝突まであと【30秒】
「全部ダメだとはどういうことだ! なあ、おい、ハバタキ。どういうことだよ!」
この状況を知り、居ても立ってもいられなくなったティタさんは、全速力で校門前へ向かった。
ハバタキは黙り込んで考えている。
『ミズサキは3姉妹を説得し、33%のチャンスをもらった……。ということは必ず正解があるはず。今までの状況をよく思い出すんだ』
マタタキは全ての回で死んでいる。だが、その原因を振り返ってみると……
『1回目は落下、2回目は衝突、3回目は……』
これは、もしかすると……
いや、もしかではだめだ。今必要なのは、【絶対】という確信だ。
ここはもっと、もっと大きく状況を捉えるんだ。そう、大きな視点で……
―運命は変えられない―
―だが変えてもらった―
―そう、あとの運命は自力で変えるのだ―
「あとの運命……」
「自力……」
「そうか……そうだったのか! はっはっは! 私としたことがどうしてこんな簡単なことに気づかなかったのだ。」
「ハバタキ、まだか! もう時間がない」
衝突まであと【10秒】
ハバタキは通信機に向かって、いつもとは違う迫力のある声で叫んだ。
『飛べっ、マタタキ! 天高く舞い上がれっ!!』




