【20】 そしてそして(おまけ)
side.砺龍馬央位
……ほんと、予想外だった。
まさか浮受がそんなこと思っていたなんて。いや、思っていてくれていたなんて。
あの後二人で思いっきり泣いて、お互いの泣き顔を見て笑いあった。
本当に本当に幸せ。心からそう思えた。
だから、欲張ってしまうのかな。
「浮受、も一回……親友だからって言って!」
「はァ? 何言ってんだ。聞き逃したお前が悪ィ」
「そう言いながら涙こぼしてる人に言われたくあーりーまーせーんー!」
「……っ」
うん。無理強いなんて今の浮受にはしちゃいけないことなんだってのはすっごくよくわかってる。わかってるんだけどね。ボクの中のボクが言うことを聞かないんだ。どうしよう(笑)
でもね、ボクは思うんだ。今確かめなかったら何時確かめるの?
↑※別にウケを狙ったわけではありません。あしからず。by馬央位
いつ巡ってくるともわからないチャンスを、永遠に待っているのは嫌だった。
だから、ボクなりに思い切って言ったのに。
「……んなもん、一回でいいんだよ。一回言やぁいいんだよ」
勿論、その通りだって思ってるよ。だけど、もう一回。もう一回だけ聞きたいと思うのはワガママだろうか。
浮受には今まででもずいぶん迷惑かけた。困らせた。
今だってそうだ。いつも自分のワガママを押し通そうとして、こうして浮受を窮地に追いやってる。
でも譲れなかった。こんなチャンス、滅多にまわってこない。その一瞬のチャンスに懸けたかった。
「お願い、あと一回だけ」
「お前の一回は、いつも無限大だ」
「今の一回は特別なのー!」
「とか言ってまたなんか企んでいるだろう?」
「む――――……!」
やばい、お見通しだ。この勢いでは負けてしまう。いつも通り浮受のペースに流されてしまう……!
「でもな」
「ふぇ?」
ボクが本格的にべそをかき始める前に、浮受が遮った。そのせいでボクは間抜けな声を出してしまったわけだ。こういうの慣れてるはずなのに、突然だとなんだか恥ずかしい!
慌てふためいているボクに、浮受は呆れ顔で言った。
「あのな……。親友っていつの間にかなってるもんなんだぜ」
「え、あ、うん」
「だからよォ」
浮受の顎が、ボクの右肩に乗せられる。不意打ちで動けない。目が点になっているボクの耳元で良く通る低い声が響いた。
「わざわざ確かめたりとか、そういうのがいちいち面倒くせェんだよ。てめェは……ッ! 俺をあとどれだけ苛つかせれば気が済む……!!」
あたたかい涙がじわりと溢れ出て、言葉も何も出てこなかった。
結果無理やり押しだした言葉が、
「うん……ありがとう」
あたたかい言葉って、幸せだよね。
濡れ始めた肩と、浮受の震える唇。
「いいから黙って前見てろ……ッ!」
ねえ、聞いて。
好きだよ……? 浮受っ。
つづくよー。




