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初めてのFP1②

お待たせしましたー!

これ、レース突入まで書くのに何日かかるんでしょうね

2回目のアタックラップ。

今度は特段大きなミスもなく、綺麗に1周をまとめきった。そんな私に、無線が入る。


「今度は更にいいラップだったぞ。セッティングを変えてみたいから、このラップでBOX(ピットイン)してくれ。何か希望はあるかい?」

「少しウィングを寝かせて空気抵抗(ドラッグ)を減らしたセットアップを試したいかも。あと、サスペンションも僅かに硬くしても良いと思う。」


スローダウンして速い車を無線の指示の下先に行かせながら、ピットレーンに戻ってくる青いマシン。スバルのガレージの前で停車すると、ピットクルーによってマシンはジャッキアップされ、専用の台車に乗りそのままガレージに入っていく。

時速数百キロで走ることが想定されているフォーミュラカーは、停止状態ではエンジンなどからの発熱でオーバーヒートしかねない。なので、マシンには冷却装置が取り付けられる。

そして早速、エンジニア達は作業を始めた。それから数分、再度出走する準備が整い、ガレージに入ってからタイヤにつけられていたタイヤウォーマーや、冷却装置も取り外された。

私はヘルメットのバイザーを下ろして、走り出す時を待ち、すぐにチームクルーの誘導でガレージから飛び出していく。

ピットレーン内では、安全のために最高速度が80km/hに制限され、ゆっくりとした速度でコース上にマシンが出ていく。

ピットから出た直後のアウトラップでは、先程のアタック前と同様、ウィービングでタイヤに熱を入れて適切な作動温度まで暖める。時々速いクルマを先に行かせつつ一周を終えようとするところで、一気に速度域を上げていく。調整を入れたマシンでのアタックラップ。

コーナーを1個、2個と抜けていく中で、マシンから感じるフィーリングが想定通り良くなっているのが分かる。少し攻めきれていないところもあるが、確かな感触を身体に刻んでいく。アタックラップを終えてタイムも得られたデータも良かったものの、チームメイト(ジェンソン・テイラー)の更新したタイムからは少し離されてしまっていた。


「タイムはどうだった?」

「テイラーからはコンマ5落ちだよ、リンカ。でも、マゴッツ、ベケッツ、チャペルではテイラーを僅かに上回っていたよ。ハードなブレーキングの所で少し攻めきれてなくてタイムを落としている。」

「了解。クールダウンさせたら、またアタックする?」

「いや、この周でBOXして欲しい。そこで燃料を足して、ロングランに移行するつもりだ。ハードタイヤでのペースをここである程度確認しておきたい。」

「Copy.」


またまたピットに入り、給油を済ませてコースに飛び出していく。ロングランは言わばレースの練習。燃料を多く入れるため、車重は増加してその分ペースは落ちてくる。モータースポーツを初めて見る人が疑問に思うことの一つの理由はコレだ。

コースに出て何周か走らせていくと、私は少しずつマシンのアンダーステアに苦しみ始めた。アタックした後でかつ例年より低い気温とはいえ、ハードタイヤが予想以上に機能していない。


「ねぇ、私のタイヤ死んでるんだけど!! アンダーステアが酷いし、フロントは少しダウンフォース増やした方がロングランで安定すると思う!」

「ああ、セッション開始時よりも低温でハードタイヤがロングランだと厳しそうだ。他のハードタイヤを組も上手くいってないように見えるよ。」

「BOXしてミディアムかソフトに履き替えたいんだけどダメ? こんなのレースで使える気がしないよ。」

「もう少し走ってデータを取ったらミディアムに変えよう。だからちょっとだけ我慢してくれ。」


私はペースに苦しみながらも周回数を重ねていく。一応、ハードタイヤ組の中では悪くないペースで走れているという情報をこの会話の後に伝えられたが、そんな気がしない程にスリッピー。

しばらくしてピットインの指示が入り、タイヤがミディアムタイヤに履き替えられた。それからハードの時と同じように、アタックをして、それからロングランに移行した。やはりミディアムタイヤのが路面への食いつきが良い。マシンから確かな手応えが感じられ、良好なペースで走り続けて、データ上では上位チーム内下位のタイムを記録する。ルーキーテスト等を除けば初めてでこの好走、私にとってもポジティブだ。

ただ、フリー走行ではどのチームも手の内を完全にはさらけ出さない。私だってそうだ。ここや次に来るFP2、3の結果だけで予選や決勝のそれを予測するのはできっこない。

色々と考えていたところに、チームから無線が入る。


「ターン6にダブルイエローだ、リンカ。1台がコース上で止まってしまっているから、減速して抜けてくれ。」

「わぉ……横向いてバリケードみたいになってるじゃん。」


空いてるスペースから止まった車の脇をスローで抜けていくと、程なくして赤旗が振られてセッションは中断となった。

全てのマシンがピットに入って、ガレージに収められ、再会を待つこととなる。

私はガレージにいる間、一瞬マシンから降りてエンジニアのルーカスと話をする。


「赤旗が消えてももう時間が少なすぎてセッションがすぐに終わっちゃうけど、どうする?」

「そうだね、出来ることが少ないけどもスタートの練習もあるからマシンは出そう、タイヤは変えずにそのまま行くよ。」


赤旗が振られてから十数分、停止車両が撤去されて中断がついに終わりを迎えた。各チームのマシンはピットレーンにズラッと並び、再開と共に一斉にコースへと走り出していく。

先ほど話した通り、2〜3周走った所でセッションは終わってしまった。チェッカーブラックが振られた後、また一周してグリッド上に各車停車する。そして前のグリッドに停まったマシンから順にスタート練習をしていくのだ。

私もマシンを止めて、前が行くのを待つ。レースでのスタートは非常に重要。下手をすればポジションを何個も落としかねない。

前が空き、私の番が程なくしてやってくる。クラッチを離してエンジンを空吹かし、回転数を上げる。そこからクラッチパドルを離して、後輪に動力を伝えていく。私は路面の滑り具合を加味してアクセルを踏み、ホイールスピンさせないように気をつけ、マシンを加速させた。

スタート練習を終えて、全車両がピット、ガレージへと戻る。これでフリー走行の1回目は終了。

マシンがガレージに戻された後、私はマシンを降りた。

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