初めてのFP1①
更新数ヶ月待たせて申し訳ありません、ここからは執筆速度上げていく所存です。
リアルの方も忙しかったりでアレなのですが、Twitter中毒解消したりで時間を捻り出していきます。
それはそれとして、現実のF1では角田裕毅選手が緊急参戦していましたね。ポイントも獲得して、本当に力強い走りでした。凛花の走りを書く上でもとても参考になる3レース、本当に楽しかったです。
イギリスGP 金曜日
FP1セッション開始30分前……
スバル・STIのガレージには、カーナンバーが凛花の39に換えられたマシンと、ジェンソン・テイラーのマシンが曇天の中佇んでいた。各ドライバーとエンジニア達が迫るFP1の予定を話し合う。
「リンカ、繰り返すが今回はマシンに慣れるのと、セットアップをしっかり見つけることに注力しよう。」
「そうね……なにせこのマシンでドライブするのは第3戦のFP1以来だから。」
「アップデートも入って感触はかなり変わっているはずだよ。その辺も含めてしっかり確認するんだ。」
「了解よ。」
そうしてセッション開始が残り数分になった頃。
私はヘルメットを装着し、マシンに乗り込む。久々に乗る実車のコックピットは、沸々と闘争心を掻き立ててくる。
「ラジオチェック、ラジオチェック、聞こえているかい?」
エンジニアのルーカスから、無線が入る。
「ラウド・アンド・クリア♪ 問題ないわ!」
「OK。もうすぐセッションが始まる、最初はハードタイヤで行くぞ。」
「Copy.」
……開始と同時にピットレーンへと出てきたのはスバル、メルセデス、レッドブルの各チーム2台ずつ。計6台がシルバーストーンのトラックへと姿を現した。
ピットレーンを出て私の目に飛び込んできたのは、数万単位の観衆。前の1回だけのフリー走行とはまた違った景色。しかし、今は仕事に集中しなければいけない。マシンを右へ左へとクネクネ走らせるウィービングでタイヤに熱を入れていく。
「もう一周ウォームラップを入れたら、一回アタックしてみよう。ブレーキ、タイヤ共に温度は良い感じになってきてるぞ。」
ピットレーン出口からは次々と他のチームのマシンが出走し始めているらしい。そんな中、先行するチームメイトのジェンソン・テイラーに続き、私もアタックラップに入るべく17・18コーナーから一気に加速してホームストレートに突入していく。
軽快に1コーナー、2コーナーと駆け抜けていく青いマシン。そこから連続する低速コーナーが2つ。
「……っ!!」
4コーナーの脱出で車体が震える。即座にカウンターステアでマシンを抑えつける。
「僅かにアクセルオンが早すぎた……コンマ数秒落としたかな……」
グズグズ悔やんでいる暇は無い。すぐに5コーナーからウェリントンストレートにかけての加速区間がやって来る。その先にはセクター2頭の中低速区間。
「ここだ……!」
ストレートエンド、ブレーキングで綺麗に車速を落としてコーナーへと突入していく。先程とは違い、左右に正確なライン取りをしているマシンはタイムを大きく失うこと無く抜けてゆく。
ここから先は9コーナーを挟んだストレートがある。そして、セクター2終わりには10コーナーから14コーナー、マゴッツ、ベケッツ、チャペルの左右に振られる連続高速コーナーがその口をぽっかりと開けて凛花を待ち構えていた。
コップスを抜け、マシンは10コーナーに迫っていく。
「ここからがこのコースで一番横Gを受けるポイント……私にとっても一番の難所ね……腹括っていくわよ……!!」
時速300km/hを軽く超えるスピードでマゴッツに入っていく。一般人から見ると今にも破綻しそうな領域でのコーナリング。
そこを抜けると今度はベケッツ。かなりリスキーなラインをなぞり、マシンは駆け抜けていく。ベケッツ終わりの13コーナーでは235km/hほどに減速しての突入。ダウンシフトの音を響かせて右コーナーを抜ける。
「よっし……行ける!」
最後のチャペルを加速しながら通り抜け、マシンはハンガーストレートに。最後のセクター、セクター3だ。
ストレートエンド、15コーナーを風のように走っていく。コントロールラインまではコーナー3つ。タイヤをロックさせないブレーキングで16コーナーに飛び込み、そのまま17・18コーナーを、アクセルペダルを床に押し付けながら立ち上がって来る。
決勝まで出走することが決まった週末での、初めてのアタックラップがここに終了した。コントロールラインを抜け、ゆっくりと車速を落としていく。
「リンカ、悪く無いラップだったよ。テイラーのコンマ4落ちって所だ。セクター2、3はそこまで差が無い良い走りだ! クールダウンラップを入れてくれ。」
「ごめん、序盤に滑らせちゃった。車の感触はいい感じだよ。」
「そうだね、見ててもそう思うよ。クールダウンを挟んだら、もう一回アタックしよう。」
「Copy.」
先程とは打って変わってゆっくりとした走り。こうすることで、熱を帯びたブレーキやタイヤが冷えていくのだ。
「5秒後方、フェルベークがアタック中だよ。ミラーに注意してくれ。フェルベーク、4秒後方……」
他のチームのマシンが次々とアタックしてくる。スロー走行中のマシンには進路を譲るように青旗が振られる。
私はストレートでアタック中のマシンを行かせた。セッションが1時間あるフリー走行ではこういった出来事は日常茶飯事。時にアウトラップなどのマシンが連続してトラフィックを形成したり、コーナーなどの後方のマシンを抜かせられない所だったりでアタックラップのマシンを邪魔してしまうこともある。
「さらに2台来ているよ。近いのは6秒後方だ。」
「りょーかい!」
そうして2周のクールダウンを終え、再度アタックラップへと私は向かっていく。灰色に染まった空が妖しく覗くシルバーストーンの戦いはまだ始まったばかり。先の読めない領域に迷わず飛び込んでいく、私を含む20と数名のHFドライバー達であった……




