20:20
いつも通り出庫前の作業を終え、スマホの明かりを灯す。
まずは天気予報。
西にも積乱雲が育ってきているらしい事を雨雲レーダーが赤と紫の表示で主張していた。
目的地は快晴、問題は道中である。
ギリギリかわせるか否か、途中休憩は立寄場所変更も検討しよう。
一方、道路交通情報をスワイプすると、工事規制を示す×印がところ狭しと並ぶ。閑散期は大規模な規制が多く、大型バスの躯体を揺らさずに通すにはやや神経を使う場面も多いが致し方ない。
なにより、道路維持に携わる方々には敬服するばかりである。
続いて会社貸与のタブレット端末から予約情報を確認。
その日ごとにグループ客が多かったり、利用頻度の多い「プレミアム会員(=常連様)」の割合が高かったりと、同じ便であっても曜日や時期によって旅客特性は様々である。
そういった特性を鑑みて接客の方針を検討する。
本日はありがたいことにほぼ満席、ご芳名から察するに老若男女の幅も広い。
若年層のグループ利用とweb会員未入会のお客様が比較的多いことから、少し細かめの説明を織り交ぜていくことにする。
そうこうしていると出庫時間となった。
「341!出庫定時!始発 中央ターミナル!」
気を引き締め指差喚呼をするとともに静かにクラッチを繋ぐといよいよ、路上へとその12mの巨躯を繰り出すのである。




