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国道は想定通りの豪雨だった。道はほとんど川に近い。視界も悪く速度も上げられない。せいぜい30km/h。
不謹慎だが、こういう状況には燃えるタチだ。
数十人の命を背負い、たった一人で自然に立ち向かっている気になる。
ゆるり、ゆるりと峠を登ってゆく。
車通りもまばらで、孤独な戦いが続く。
客席は揺れていないか、路面はどうか、後続車はいるか、目まぐるしく確認をしながら歩みを進める。
ヘアピンカーブを2つ抜ける。
対向車線でスポーツカーがガードレールに突き刺さっていた。乗員は無事のようだ。
峠の頂上にたどり着いた。雨足は衰えない。
ダウンヒルに入るが陸橋の継ぎ目板が多くスリッピーな区間が続く。
排気ブレーキ、電磁リターダーを作動させつつ、勘所でフットブレーキを入れ、前後のブレーキバランスを調整する。
雨音とエンジンブレーキの「ドォーーー」という音、それにタイヤが水を掻く音が響く。




