(第71回)対策版
さて、対策版の命運は並木さん次第だが、いつもの様に何とかしてくれるよね
並木さんとの電話から5日後、約束通りβ版が送られてきた。エースに動作確認を依頼して、問題ないとの報告を受け、事業部長と品質保証部部長に状況報告した。本質保証部長から自部署での動作確認に提供依頼があったため、すぐに送った。何木さんからの正規品がその3日後に納品されたので、今度は自部署と品証で並行して受入検査を進め、3日後に問題ないことを確認完了したので検収処理をして、事業部長に報告した。事業部長はその場で並木さんに電話し、技術的裏付けを確認して、作業は完了、その日の夕刻に親会社が記者発表した。記者からは技術的な問題点と対応内容を聞かれたが、T社の技術情報も含め、社外秘なので開示できない旨回答し記者発表は終わった。翌朝、全ユーザー向けに、新バージョンを送り、バージョンアップを依頼した。
警察、鉄道、自動車メーカは直ぐにこのバージョンで正しく動作したと連絡をくれた。一方で、このやり取り後に、スマホアプリユーザーが大幅に増えた。
聞くところによると、T社では新バージョンに対する敵対アプリを開発中とのことで、その執念には頭が下がる。などと考えていたら社用携帯に、事業部長から
電話が入った。「ああ、設計課長、忙しいところ済まない、一件相談が有ってね。T社が敵対アプリを作っているなら我々も作っちゃおうかと思うんだけど、どうかな?」え、何を言ってるんだこの人は「だってさあ、こっちで作れば
より、精度の高い敵対ソフト作れるでしょ」そりゃそうだ「納得したなら並木さんに発注しといてよ。さっき電話したら面白そうですねって言ってたからさあ。もう検討始めていると思うよ」なんだこの人は、いたずら小僧か「わかりました、費用は対策版開発の作番を使いますよ」「オッケー」で、並木さんに電話すると「ああ、あと一週間ください、敵対版プラス対策版を同時にお送りできそうです」凄すぎて、言葉が出ない。とりあえず、その条件で承諾し。2件分発注処理を済ませた
やれやれ、面倒なことになったな、T社の次バージョンが出た翌日に対策版がリリースできれば良いけど
また、事業部長が出世するだけだななんか、嬉しくないんですけど




