最終話 キャンプ
長らく放置しておりましたが、いよいよ完結です。
よろしければお楽しみください。
キャンプとは非日常。
日常の疲れを癒し、また新しい発見を人にもたらす。
その中に身を置き、私は日常としている。
着火剤に火をつけ、風を送る。
炭が赤く染まる。
「あ、老師!」
おや、ペグの打ち方を教えた青年。
「老師と食おうと思って、ミニトマトを豚バラで巻いてみたんだ! これ焼いたら美味そうだろ!?」
「ふむ、悪くなさそうじゃ」
「お! 炭もうついてるな! 早速焼こうぜ!」
「そうしよう」
炭の上に嬉々として並べる青年。
ふむ、目に光が宿っておる。
ペグから学んだ事が役に立ってあるようじゃ。
「老師ー!」
おや、ホットサンドメーカーを気に入った少女。
「私もミニコンロ買ったんだ! お湯沸かせるだけで色々できるんだね! 最近はレトルトあっためたりしてる!」
「それは良かった」
うむ、一つの物を大事に使う事を覚えたようじゃ。
「お! 老師!」
おや、テントサウナに誘った青年。
「最近家焼肉にハマっててさ! 友達呼んでよくやるようになったよ! それで肉屋と仲良くなってさ! これおすすめの肉!」
「ほう、他の者も共にいただいて良いかな」
「勿論だ」
己のやりたい事を伝えるようになったからか、表情が明るくなったの。
「あー! 老師ー!」
今日はよく集まるの。
雨の日に共に過ごした少女か。
「何か盛り上がってる? あたしも入りたーい!」
「良い良い。晴れのキャンプも体験していくが良い」
「よお。何だ、もう火ぃ起こしてんのか」
おや、火起こしの青年。
「ま、今日は良い子持ちししゃもが入ったからよ。差し入れに来ただけだけどな」
「では共に焼こうではないか」
「あ、私も混ぜてー!」
おや、炭いじりを教えた女性。
不思議なものじゃ。
縁あった者が一堂に会するとはのう。
「お! 焼けてきたぜ!」
「スープ作ったよー。インスタントだけど」
「次は俺の肉焼こうぜ!」
「じゃああたし飲み物買ってくるー!」
「あー、荷物持ちについて行ってやるから、誰かししゃも焼いてくれ」
「はいはーい! 私にお任せ!」
ふむ。
キャンプを通じて繋がった縁。
この者達の笑顔が、私の癒しであり、新たなる発見。
やはりキャンプとは良いものであるな。
読了ありがとうございます。
明日久々にキャンプに行くので、思い出し完結。
お楽しみいただけましたら幸いです。