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第九十話 ゴブリン洞窟

魔物を探しつつ森の奥へと進んで行くと開けたところに洞窟らしきものが見え、しかも入り口には簡素な槍を持ったゴブリンがいて辺りを警戒していた。


「本当なら見張りを残しのがいいんだろうけど、俺たちの中でこの辺に詳しい者もいないし全員で戻ろうと思うが……反対の者はいるかな?」

「あー、俺たちゃリーダーに任せるぜ」

「俺とレイもそれでいいです」

「よし、それじゃ気づかれないようにこの場を離れ真っ直ぐギルドへ向かおう」


 大地の牙は護衛の依頼がすべて終わったわけでもなく、俺達も危険を冒してまで魔物を狩りたいわけでは無かったので、ゴブリンがどれほどの規模かも分からない状態で無理はせずにとりあえずギルドへ報告する事に決め行動を開始した。


「そういえば、こういう場合って依頼失敗になるんですか?」

「う~ん、依頼板の条件を満たした分は普通に依頼成功になって、依頼を満たしていないものは依頼は成功扱いにはならないけど失敗扱いにもならなず、その代わりゴブリン洞窟の情報料も支払われないっていう感じの差し引きゼロみたいな感じになるんじゃないかな? ま、予想だけどね」

「受けた依頼はほとんど終わってますし最悪依頼失敗の罰金を払っても赤字にはならな――前方に何かいます!」


 ある程度洞窟から離れたところでそんな会話をしつつ進んでいるとシューティンググラスの索敵機能で前方に何かがいるという反応があった。慎重に進んで行くと、そこにはキルグと少年少女がいた。


「あれ? キルグさん、どうしてここに?」

「おお、きみたちは。いや、ちょっとね――」


 キルグの話では森で修業していたのだが奥の方から四人の少年少女たちが走ってきて助けを求めてきて詳しく聞いてみるとどうやら彼らアイアンランクになりたての冒険者でアイアンランクになったんだからと調子に乗って森の奥まで魔物を狩りに行ったところをゴブリンの集団に出くわしてしまい仲間の少女を一人ゴブリンに攫われてしまったとの事だった。それを聞いたキルグは少女救出の手助けをする事にし今ここに至ったとの事だった。


「それでこれから救出に向かおうと言うわけですか」

「そうなんだけど、何処に連れて行かれたのか分からないからまずはゴブリンの棲み処を探してるところだったんだよ」

「あ! ねぇねぇ、もしかして――って言うかあの洞窟しかないんじゃない?」

「え、何か知ってるんですか?」


 森の奥にゴブリンの見張りがいた洞窟の事を話し、この辺りで他にゴブリンが素を作ってるという可能性はまずないだろうからその洞窟に連れ去られたと仮定して話をする事にした。

 ちなみに、何故他に巣が無いと判断したのかというとゴブリンは縄張り意識があり、ゴブリンの集団が複数存在する事はまずありえない、もしあったとしたら集団同士で争っているはずで、そうなれば森でゴブリン同士が戦った跡などが残っているはずなのですぐに分かるらしい。


「さて、この件をどうするか何だけど……」

「俺はこの子供たちに頼まれたのだから一人でも行きます」

「ぼ、僕たちも一緒に!」

「う~ん、俺たちは駅犬車の護衛依頼の途中だからあまり無理できないんだけど……とはいってもゴブリン相手だしな~、早々遅れは取らんとは思うけど――ちょっとだけ話し合いをさせてくれ」


 この件をどうするか話し合った結果、ゴブリンに攫われた女性の末路など火を見るより明らかだから時間が経てばたつほど攫われた少女がいろんな意味で危険だからすぐに救出に向かうべきだと女性陣からの強い要望もあり俺達も一緒に行く事になったのだが、アイアンランク程度の彼らは一緒に行っても足手まといになるのでギルドへこの事を報告しに行ってもらう事にした。そしてパーティについては、キルグはパーティを組んでの戦闘経験がないためリーダーはバルゥクのままで行く事に。


「それじゃ、ギルドへの報告頼んだぞ」

「は、はい……仲間の事をよろしくお願いします……」

「ここから町までそんなに距離は無いけどきーつけて行くんだよ~」


 渋々といった感じで町へ戻る少年たちを見送った後にキルグとバルゥクを先頭にして、その後ろにレバ、コミー、ミリシス、後方警戒は俺とレイという隊列を組んで森を進み洞窟へ向かい、洞窟の手前で一旦止まり作戦を立ててから行動を開始した。

 まず洞窟の前にいる見張りを魔法と弓の遠距離攻撃で悲鳴も上げさせずに一発で倒してから手早く死体を処理して、目的はあくまでも攫われた者の救出でゴブリンの殲滅ではない事を確認し洞窟へ突入した。


「道が結構狭いみたいだけど隊列はどうすんのさ、特にこの狭さだと後ろから弓を射るのも結構難しいんだけど」 

「う~ん、確かにこれだけ狭い道が奥まで続いていたら前衛が邪魔で後衛が攻撃する隙間がほとんどないな。ちょっと隊列を変えるか」


 キルグの巨体だと一人でも道のほとんどををふさいでしまい、しゃがみでもしてくれないと後ろから攻撃したらキルグに直撃してしまいそうだったので、現状の隊列のままでは無理だから隊列の変更をする事になった。

 変更した隊列の主な役割はキルグは前衛のままだが攻撃よりしゃがんだまま大剣を盾にするタンク役をやって貰い、そのすぐ後ろにレバが状況により前に出て前方の状況確認する斥候役、ただし戦闘時にはすぐに後方に下がる事とし、次に後ろから魔法攻撃で、できるだけ数を減らす作戦をとりあえず取る事にし、あとは実際に戦ってみてから考える事になし洞窟を進む事にしたのだが。


「ちょっと待った!」


 入口から5mほど進んだ所でレバから待ったの声がかかった。何があったのか聞こうとしたら地面を指さしてそこに罠があると言ってきたが、はっきり言って普通の地面にしか見えずレバを除いてどこに罠があるのか誰も分からなかった。


「レバ、罠なんて本当にあんのか?」

「分かんねぇか……そんじゃそこの壁をよーく見てくれよ。あ、壁には触んないようにな」


 指さした壁をよく見ると細い糸が地面から伸びていて、その先によく見れば不自然に出っ張った場所があった。

 レバの説明では地面に地面と同色の板があり、さらにその板の上に土がまばらに張り付けられているというのだが、説明されてもただの地面にしか見えなかった。とりあえず鳴子本体に近い位置で糸を固定してから切って罠を解除し、床の板を取って裏返し簡単に構造を説明してくれたが、はっきり言って素人には作れないんじゃないかと思うくらい結構複雑な構造だった。


「急いでるから罠の説明はここまでにすっけどさ~……おかしんだよね、ゴブリンがこんな罠を設置するなんて聞いた事がないぜ? もしかして盗賊のアジト――いや、入り口にいたのはゴブリンだったんだからその線は無しか、同じ理由でダンジョンって事もなさそうだし……やっぱりただのゴブリンの巣でこの罠はゴブリンが住み着く前に盗賊たちが使ってた事の名残とかか?」

「ゴブリンと組んだ盗賊とか? あいつら似たようなもんだし~」


 この場合、盗賊とゴブリンどっちに失礼なんだろう?


「ともかく、罠があるなら俺っちの出番だな。こっからは先頭を行かせてもらぜ」

「ああ、レバ、調子に乗ってへますんなよ」

「そうそう、へましてもいいけど私たちを巻き込まないように一人で罠にかかってね~」

「むしろ死んでもいい」

「辛辣な応援ありがとさん。涙が出てくらぁ」


 罠があったため先頭をレバに変えて罠を確認しつつ慎重に進んで行くと道が二つに分かれたていたがレバが右の道の方に目的の攫われた少女がいる可能性が高いと判断したのでそれを信じて右の道を進む事にした。

 曲がりくねった一本道をレバが時折見つかる罠(全部鳴子の罠だった)を解除しつつしばらく進むと、レバが止まるように手で制してこの先に扉があり、その前にゴブリンが一匹立っていると説明してきた。


 うん、何かいるのは分かってたけど……危ない状況でもない限り言うわけにはいかないからな~。なんでわかったとか聞かれても説明に困るし、とにかくレバに任せれる分は任せておこう。


 どうするか相談すると、コミーが任せろというのでここはコミーに任せる事にして、念のためミリシスが何時でも魔法で追撃できるよう準備し、コミーはばれないように曲がり角から一度顔を出しゴブリンとの距離を測ってから一息吐き器用に右手で三本の矢を掴み、そのうちの一本をつがえると同時に飛び出て矢を放った。

 一矢目は頭へ、ゴブリンが声を上げる前に二矢目を喉へ、ゴブリンの身体が前のめりに倒れそうになったところへ放たれた三矢目は心臓へ突き刺さりその衝撃でゴブリンは前のめりに倒れることなく壁にもたれかかるように崩れ落ちた。


 普通にすごいな。てか、よくあの胸で邪魔にならずに連続で矢を放てるもんだな。


 そんな失礼なセクハラじみた事を考えてる間にバルゥクがゴブリンが死んだことを確認し、その間にレバが扉に罠が無い事を確認してから扉を開きそこへミリシスが飛び込んで風魔法を放って中にいた三匹のゴブリンの首を全て切り落とした。


 何と言うかさすがパーティといった連携だな。大地の牙のコミーの弓からの言葉を交わすことなく流れるような動きはさすがと言うほかないな。俺とレイじゃまだあんな連携は無理だ。


 そこは結構広い部屋で簡素な牢屋が数個と見張りのゴブリン用であろうテーブルとイスなどが置かれていた。そして一つの牢屋の中に人影があった。


「おい、大丈夫か? 助けに来たぞ――あ、名前聞くの忘れてた」

「私が彼らから助けを求めた時に聞いてます。確かルーミュさんでしか? ベリウくんから助けてくれと言われてきました」

「え、ベリウから……あ、はい、私はルーミュです。ベリウは、他のみんなはどうしたんですか? まさか他にも捕まった仲間が?」


 あー、そういえばあの時少年たちの名前や助け出すはずのこの子の名前を誰も聞いてなかったな……キルグが聞いててくれてよかったよ、じゃなきゃもっと警戒されちゃってたな。


 とは言え完全にこちらを信用してる感じでもなかったので、ギルドカードを見せてここまでのいきさつを簡単に説明した。


「よし、まずは牢をどうにかします。ここなら剣をふるうだけの空間があるから俺に任せてください。このくらいの牢なら一発ですので、ルーミュさんは少し離れててくださいね」

「は、はい!」


 キルグが大剣を数度振ると木でできた牢は扉部分はおろか扉がある牢の前面部分が全てバラバラになって地面に散乱した。それを牢の中で見ていたルーミュは化け物でも見るような目でキルグを見て震えだしてしまっていた。


 そりゃ目にも止まらぬ速さで剣を振って牢をバラバラにされたらビビるのも当然だよな。


 怯えるルーミュを女性陣(レイは除く)に任せて他に攫われた人などがいないか別の牢も確認したが、度の牢にも人はいなかった。ただし、ここはあくまで攫ってきた人を入れて置く牢というだけで、食糧庫や繁殖部屋は別にあると推測できるで他に攫われた人がいないとは断言できないのだが、今回はルーミュの救出が目的なのでこれ以上探索しようとは誰も言わなかった。

 その後、落ち着いたルーミュから礼を言われ、ここには自分しか連れてこられていないし他の人は見ていない、連れてこられてからずっと牢に入れられていた事などを聞いた。


「ま、何はともあれ罠はあったけど、思ったより戦う事もなく意外と簡単に救出できたな。他に攫われた人がいないとは言い切れないが、さすがにこれ以上危険を冒すわけにもいかないし早く町へ戻るべきだろう」

「そうだね~、迷うような道でもないしちゃっちゃと戻ろうよ」

「そうですね、もし解除してない鳴子の罠があったとしてもこのくらいのゴブリンならいくら出て来ても私の魔法だけでも十分対処可能ですし問題ないでしょうから急いで戻りましょう」


 目的の攫われた少女ルーミュがたいしたケガもなくいろんな意味で無事だった事が確認できたので、みんなどこか気が抜けて注意力が減っていたそんな時ふいにキルグが部屋の入り口の方に向かって飛び出した。




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