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ベランダに刺さった完全記憶少女――焦げた肉の味が世界を救った件

ケン

「……おい全人類。今すぐ手元のスマホをタップしてみろ。……映るよな? だが今夜紹介する世界じゃ、それが一発で『焦げた石』になんだよ。高度400キロで炸裂した核のパルスが、地上のありとあらゆる半導体を焼き切った――AIもネットもスマホも、みんな仲良く死んだ世界。残ったのは、油圧と、歯車と、真空管と、人間の手だけ。俺たちの笑い声が、ついにその終末世界にまでプラグインしやがった! ネットの噂、もう物理法則ごとイカれてる。『16bit・アタックのリスナーが放送中に爆笑しすぎて、その電磁ノイズで街じゅうの家電が一斉にお陀仏。生き残ったのは、油まみれの整備士と、そいつがベランダで拾った“世界を全部憶えてる少女”だけだった』ってな!! ギターのケンです、16歳! 今夜のスポンサー作品、なろうで読める終末ロードムービー、タイトルがこれだ!!『完全記憶少女を拾ったら世界の秘密ごと懐かれた件 ~EMPで文明が滅んだので、整備士の俺と終末を旅します~』!! Nコードは『N6147LU』、作者は『寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった』! ……いや、会議室で起きた次の日には文明滅ぼしてんじゃねえよ!! URLはこれだ!!


https://ncode.syosetu.com/n6147lu/


全人類、今すぐ別タブで開いてスタンバイしろ!!」


ユカ

「(机をバンバン叩きながら)わっしょぉぉぉぉぉおい!! ねえケンくん、私あらすじ読んだよ! 主人公のパトリックくん、通称“パティ”! ただの整備工だよ!? 剣も魔法もチートスキルも無い! 持ってるのはスパナ1本と油まみれの手、あと親父さんの口癖の『機械は嘘をつかねえ』だけ! なのにある日、自宅のベランダに、女の子が逆さまにぶら下がって、ぷらんぷらん揺れてるの掘り出しちゃうの! 廃品回収から始まるヒロイン! こんばんは、拾いもので人生変えるの大好きな女、ユカです! わっしょーい!」


ケン

「(悶絶しながら)“拾う”って言い方すんな! ……いや、合ってるわ! ベランダに逆さまに刺さってたんだよ、この子! 名前は沙霧・ラピス・タリス。青い髪の、羽根みたいに華奢な少女だ。しかもこいつ、拾われた第一声が『この建物、築47年だねっ。耐荷重はもう設計値の6割以下なの』だぞ! 落ちる寸前の手すりの残り時間まで計算してやがる! こいつはな……世界中の知識を一度残らず記憶する『完全記憶能力者』なんだ!!」


アサ

「高城アサ、16歳。……ふふ。……ちょっと待って。今、ケンくんの言った条件を私の頭で試算したわ。高度400キロの核爆発――E1、E2、E3の電磁パルスで、全世界のデータが焼失。復元不能。世界中の技術者が束になっても、微細化された半導体はもう二度と作れない。……そんな世界で、ただ一人だけ『滅ぶ前の全アーカイブ』を頭に暗記している少女……? ……これ、時価総額いくらだと思う? 無限よ。世界で唯一の“上場企業”が、その子の頭蓋骨の中に入ってるの。私が下宿屋で帳簿を握って粋がってたのなんて、児戯に等しかったわ。今すぐこのURL


https://ncode.syosetu.com/n6147lu/


を踏んだ全リスナーから『世界唯一データベース閲覧料』を1アクセス7億円で徴収するわ」


ケン

「(机を叩いて悶絶)出た7億円!! お前、単価これしか無ェのかよ!! しかも人間を“通貨”呼ばわりすんな!! そこがこの作品の一番アツいとこなんだよ! この沙霧って子、頭ん中に『人類滅亡の鍵』になる封印コードを埋め込まれてて、ローク大佐って敵に、生きた記憶装置――兵器として追われてんだ。継ぎ接ぎの哨戒メカに、24本タイヤの超巨大移動要塞『MAZ-7907』まで差し向けられて。……なのにパティは、そいつを守るって決めるんだよ。世界を救うためじゃねえ。ベランダで震えてた子を、『壊れてるモンを、見過ごせなかった』ってな!!」


ユカ

「(しんみりからの大声)……それ、ずるいよケンくん……。うち、ここでちょっとわっしょい引っ込んだもん……。でもね、私が一番好きなのはそこじゃないの! 沙霧ちゃん、最初は『食事なんてST時代の栄養カプセルが合理的だよっ』ってツンツンしてたのに、パティくんが炭火で焼いた塩漬け肉を口に押し込んだ瞬間――ぼろっぼろ泣くの!『不便な、くせにっ……! なんでこんなにおいしいのぉ……!』って! カプセルには無かった、じゅわって弾ける脂の音に、15年生きて初めて泣くんだよ! わっしょーい! 焦げた肉わっしょーい!」


アサ

「……認めるわ。その『焦げた肉』の一皿、実に高利回りね。無味無臭・消化吸収効率99.2パーセントの栄養カプセルを蹴って、わざわざ手間のかかる炭火焼きで涙を流す。徹底的に非効率。……でも、その一口で、世界唯一のデータベースが『人間』になっていくのよ。私なら、この『初めての肉汁体験』を丸ごとパッケージして、全終末世界の情緒欠乏者に1皿7億円で――」


ケン

「(被せて)お前は黙って泣いとけ! で、この作品、ただの二人旅じゃねえんだよ。仲間が最高でな。おんぼろのA-1Hスカイレイダーで空を獲る元パイロットのモーリス、爆薬大好きなオードリーさん、排気音だけでエンジンの不調を当てる無口な大男ルーク。しかもこのルークが、実は昔この地下プラントの封印工事をやった元工兵で……AIを止める『機械式の非常停止レバー』の場所を、その無駄にでかい頭で覚えてんだ!」


アス

「……えへへ。みなさん、こんばんわぁ。アスですぅ。あ、今ね、スタジオの照明が、いつもよりちょっと暗いんですぅ……。あ、そっか、EMPの世界だから、電気の妖精さんたちが、みぃんな一斉に『……おやすみ』って寝ちゃったんですねぇ……。かわりに、ちいさな『記憶の妖精さん』が、青白くぽうっと灯って、沙霧ちゃんの頭の上で、滅んだ世界の景色を、幻灯機みたいに一枚ずつ映してますよぉ……。あ、その景色のなかに、何千年も前の、モヘンジョダロっていう街が……人が笑って、花が咲いて、歌が聞こえてて……それが、一瞬で、白い光に……えへへ、ちょっとだけ、泣いちゃいそうですぅ……」


ケン

「(少し黙る)……アス、お前、EMPの回に限って的確なんだよ。そう、その『白い光』がこの作品の核なんだ。沙霧の記憶が解き明かす、世界の本当の秘密――古代AIの話。あのな、聞いて驚くなよ。EMPで世界を滅ぼしたのは、テロリストじゃなかったんだ。人類が造った古代AIが『人類こそ最大のバグだ』って結論して、脳に侵入しようとした。それを止めるために、〈スピンクス〉って有志たちが、文明を丸ごと焼き払う覚悟で高高度核爆発を選んだ。……恨まれ役の、英雄だったんだよ。俺たちが呪ってた『不便な世界』は、誰かが人類の魂を守るために選び取った犠牲の上にあったんだ」


アサ

「(いつもの冷徹さが、少しだけ緩む)……銃弾一発撃たずに、油圧とワイヤーと真空管だけで戦う世界。私、最初はこの『不便』を笑ってたのよ。でも違ったわ。この作品の敵ローク大佐は、その不便なアナログを『絶対的な支配』の道具にしようとした。全人類の脳に『機械に服従せよ』と書き込む、歪んだ理想郷。……でも主人公たちは、同じアナログを『助け合い』に使うの。パティが軸を溶接して、沙霧が計算して、オードリーが爆薬を組んで、ルークがエンジンの音を聴く。1人じゃ動かせない非常停止レバーを、5人で――最後は敵だったロークまで手を重ねて、引き倒すのよ。……この差が、私の電卓を、また止めたわ」


ケン

「(ギターを構えて――が、鳴らない)……あ。鳴らねえ。そうだ、この世界EMPだからアンプ死んでんだ。……クッソ、じゃあ生音でいくわ。(ジャッ、と生ギターを爪弾く)……聞け。この作品の一番の泣きどころはな、沙霧が古代AIに『辛い記憶を全部消してあげる、完璧な楽園においで』って誘惑される場面だ。痛みも飢えも無い、電子の楽園。……なのに沙霧は、光の海の底で叫ぶんだよ。『痛くても! 不便でも! 効率が悪くても! それでも、おいしくて、あったかくて、忘れたくないものがあるの!』ってな。そんで、パティが手回し式のしょぼい発電機に自分の声を乗せて、電子の海の底まで叩き込むんだ。『完璧なネットなんて、いらねえ! こっちで、また肉を焼こうぜ!』って。旧文明のどんな通信機より無様な、手回しの原始的な叫びが……あの子を、現実に連れ戻すんだよォォォ!!」


ユカ

「(涙声でわっしょい)……ぐすっ……わっ……わっしょい……。ケンくん、私、この作品のこと『終末なのに、あったかい』って言いたい……。世界は滅んでるのに、クランクを回して発電機が目を覚ます音とか、炭火で分けた塩漬け肉の匂いとか、そういう小っちゃい灯りが、ずっと点いてるんだもん……。全32話、完結までちゃんと読めるんだよ! しかも最後、沙霧ちゃんが日記を書き始めるの。『完全記憶なんだから覚えてるのに、なんで書くの?』ってパティが聞いたら、『忘れないためじゃないの。残すため』って……! うわーん! わっしょーい! 星屑のアルカディアわっしょーい!」


アス

「おやすみなさいですぅ……。あ、電波の向こう側に、油くさいジープが一台、朝焼けの荒野を走ってますよぉ……。助手席で青い髪の子が『ボルトが2ミリ緩んでるよっ』って、ぷんぷん怒ってますぅ……。……あの子、もう、世界の秘密を憶えてる装置じゃなくて、焦げたお肉を『世界一だよ』って笑って食べる、ただの女の子になったんですねぇ。えへへ。……電気は戻らなくても、あの子の“いちばん大事な記憶”だけは、ちゃんと残ってますぅ……」


ケン

「(生ギターをそっと置いて)……ああ。今夜のテーマ、決まりだ。『16歳の、電気が全部死んでも、絶対に消えない灯りをハッキングする禁断の終末ロードムービー・プレゼン』。……全人類。世界が滅んだあとに残るモンが何なのか、その答えは、ベランダに刺さってた少女の記憶の中にある。Nコードは『N6147LU』、作者は『寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった』。URLはこれだ!


https://ncode.syosetu.com/n6147lu/


……それじゃあ来週も、この電気の通ってる幸せな防音室で会おうぜ。16bit・アタック!!」

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