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彼女は幸せになれないー巻き込まれ転移男の異世界奇譚ー  作者: 赦す内燃機関
第2章:ニラは焼かないでは食べられない
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第20話:始まりと終わりはタルパウルサ



「グルルルル・・・・」



 山の主がゆっくりと近づいてくるのに合わせて、僕は緊張しながら数歩踏み出した。その間にも、ヴァルマは必死でベラローゾを静止してる。ちなみに山の主は「ない 敵意」と言ったようだ。



「万が一もあるわけだし、ひとまず僕が近づいてもしものことがあったら、逃げてください。」 



 僕はあえて、アニマにもヴァルマにも伝わるように大きな声でいった。そしてタルパウルサに恐る恐るゆっくりと近づく。なんせこちとら丸腰だ。




「えっと・・・あ、どうも。」




 僕の間の抜けた会釈に声に合わせて、触手が一本伸びてきた。僕が手を伸ばすとそこにぐるりと巻きついて、何かを確かめるようにうねうねしている。



ー何処かでみたような光景・・・あ、チュビヒゲか。




ちなみにチュビヒゲは頭上で「敵 ? 味方 ?」と繰り返すばかりである。




「お前 暖かい ない ホーマ ?」



僕がゆっくりと頷くと、山の主はそのまま近づいてきて、匂いを嗅いだ。されるがままにしていると、ほっぺを舐めてきたので、僕は足を震わせながらも手で首を撫でた。



ー間違いなくこれだけは言える!匂いが尋常じゃなく野獣だ!!!



「お前 良い 生き物 ! 来い 再び この 山 !」



「あ、ああ・・・えっと・・・うん・・・また来たいと思ってます・・・よ?」



ー正直に僕の記憶を思い返しても、体当たりして気絶させたくらいしか思い浮かばないのだけど、あれはこの山の主にとっては戯れに入ったのだろうか?よもや人外、人の思考では追いつかないものなのかもしれないし、うーん・・・。そういえば、昨日の夕飯でタルパウルサ・・・。いや、なんでもない。僕は何も知らない。


僕がひたすら首をなで たり、背中の毛並みを確認していると、しびれを切らしたヴァルマさんがテレパシーを送って来た。


(えっと・・・どゆこと?)


「なんか、お別れ?のために来てくれたみたいです。」


「・・・」


「・・・」


アニマと、ヴァルマは閉口している。



「状況を教えろ?」



ベラローゾさんはヴァルマさんは一言二言話した後。やっぱり閉口した。



「じゃ、じゃあ、またなタルパウルサ。」



僕は強引に別れることを強行したものの、山の主も一筋縄ではいかなかった、何故なら・・・



「私 嫌い その名前 ! お前 考える 呼び方!」



「え?なづけろってこと?」



ー・・・最近そんなんばっかりだな?



「じゃ、じゃあ、・・・”もりのクマさん”でいいですか? あー、”クマさん”、”クマさん” 、オーケイ?」



僕は手で指差しながら、”クマさん”を指す。



「悪くない ! 山 来る 呼べ ! 」




ーお、おう。まさか・・・”タイラは野生の森のクマさんを仲間にした”となるとは。。。




「じゃ、じゃあまた。」



よし今度こそいこう。



僕はヴァルマさんたちに目配せをして、歩みを催促した。ベラローゾさんは流石にマタギだ。音も立てず、うまく視界をさけるように銃を構えたまま移動している。ヴァルマは怯えるススーリをさすりながら小走りでやって来た。


「グアア!!」



ーまだ何かあるのかよ!?



「青い 女 感謝する! 山 なる 豊か!」



ー青い女・・・アニマか?しかし、アニマがなにかしたのか?特になにかかわった記憶はないが・・・。



僕らはゆっくりと、後ろをみながら山道を下り、”クマさん”が完全に見えなくなってからもしばらくピリピリとした空気を過ごした。


「タイラ、意味がわからない。」


(まったくだタイラくん、そういうことは先に教えてくれるか?君はビーストテイマーか何かなのか?)



「タイラ、すごいねぇ!」



「仲間 !仲間 ! いっぱい ! 仲間 !」



ー正直に言おう、僕にもまったくわからん。


「あ、いや、そのなりゆきです・・・。強いて言うなら、少々強めの体当たりをしたくらいで、特には。。。ね、ね、アニマさん?」



(それより、タイラさんはあの獣の言葉がわかるかのようにみえましたが?)



ーそういえば、まだもこの”解釈”のこと言ってなかった。



「そ、そうなんだよ。なぜか、少しだけ意味がわかる時があって・・・能力かな???アニマさんにはなんか心当たりとか・・・ありますか???あ、ヴァルマさんももし知っていたら!」



ー白々しい演技をする時、人はどことなくよそよそしくもなるものだな。



(獣の声がわかるか・・・たしかに、そういう能力を聞いたことはあるが・・・。お前、能力持ちなのか?)


「も、もしかしたら、そうなのかも・・・と思ったり・・・。」


(それなら、大きい街で鑑定してもらうといいな!金を稼ぐいい方法が見つかるかもしれないぞ!)



ーそうだそうだ、そのつもりでした!街でギルドに入って、僕は夢の異世界ファンタジーライフを満喫するのだ。



「あ、そういえばアニマさん。」


(モシ?)


「さっき、あのタルパウルサが、山を豊かにしてくれてありがとう、的なことを言ってましたよ。」


(森を豊かに?私が?モシ、なんのことでしょう?)




「やっぱり思い当たることないですよね?僕が山にしたことなんて、小便くらいしかしてないですし!」




(モシっっっ!・・・・にゃにゃにゃ・・・)




ーうわ、なんだ?そういえば慌てると、何故か念話が猫の鳴き声になるって設定だったな。危うく忘れるところだった。というかもう無理があるだろうなこの設定。にしてもなんでこんなに動揺しているんデスカ?



アニマはまっすぐに前を 向いて、一目散に村の方へと歩いて言ってしまった。そしてその間、一言も口を効いてはくれなかった。

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