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第16話 思わぬ再開、まさかの転生者

王座の後ろの壁は2通りの役割がある。

 一つは日が差し込まないように設置されている。もう一つは陛下が謁見の間に入りやすいように上の階とらせん階段でつながっている。

 直接部屋につながっているわけではなく2畳ほどの小さな部屋につながっており必要ないときは、不審者に入られないように施錠されている。

 陛下の部屋は、謁見の間に通じる部屋を出て左の突き当りにある部屋が陛下の自室らしい。中に入ると自分が案内された部屋よりも広く50畳ほどの広さになっており、自室兼執務室らしい。部屋の中央には書類が積まれた机が設置されていた。その後ろには窓が設置されているがその左右は本棚がありぎっしり本で埋まっていた。左側にテーブルとソファーセットで設置されており、座るように言われた。近くにティーセットが置かれており、王女であるアリーサ王女がティーポットを手にし紅茶をいれていた。自分の前にもいつの間にかティーカップが置かれていた。


「マンシュ様もどうぞ」

「ありがとうございます。」


 一口飲んでみるとほのかに甘みがあり香りもよくとても美味しかった。


「どうかなアーリサが入れた紅茶は?」

「はい、とても美味しいです。」

「そうか良かった。アーリサは紅茶を自分で入れるようになってからは腕を上げて、今では城で一番の腕前になっておった。」

「そうですか?私は人に美味しい紅茶を飲んでもらえるように努力しただけですよ。」

 

 アーリサ王女は国王に褒められて、否定しながらも顔を少し赤くして照れていた。


「さて、マンシュよ。そなたを王城に呼んだのは、謁見の間でも話した通り貴殿の領地に現れたモンスターの大軍のことを聞かせてほしい。」


 陛下に言われ今回の原因になったモンスター規模、種類を話した。


「なんと数年に出現すれば珍しいと言われるゴブリンキングだけでなく、オークキングに凶悪なジャイアントオーガまでもが軍をなしていたというのか、よく殲滅できたものだな。」


「それは自分のユニークスキルのおかげです。」

 

 そう言いながらワルサーPPKを召喚した。

 いきなり手元に現れた見知らぬ黒い物体に驚いた表情をした陛下と王女、自分のユニークスキルがどのようなものなのか説明した。


「なるほど、どのようなものなのか分からないが武器を召喚すると一通りの使い方が頭に入ってくるのだな。」

「はい、初めはどんなスキルなんか分かりませんでしたが試しに使用したところこのようなスキルだとわかりました。あとこの銃は陛下がお使いください。」

 

 そう言いながらホルスターと予備マガジンを召喚し陛下に渡した。

 使い方は一通り説明したので扱いついては問題ないと思う。

 本当は前世で使用していた銃と仕組みがほとんど変わらないから操作できるだけだがそのことは秘密にしておこう。


「そうだ。マンシュよ、ここで君のステータスを確認してよろしいかな。」


 突然そう言われ少し驚き紅茶を飲もうとした手が止まった。 


「わかりました。別に構いませんがどのように確認するのでしょうか?」

「それについては問題ない、城のほとんどの者は知っていることだがアーリサは魔眼を持っているのだよ。生まれつきな。」


 それを聞いて、顔には出さなかったが内心とても驚いた。

 魔眼とは稀に生まれつき、すでに発眼している特殊な眼で、能力は、炎を出せたり、時間がゆっくり見えたり、精霊や魔力が見えたりと様々だがそれを所持しているだけで国に召し抱えられるほど貴重な存在なのである。


「アーリサの魔眼は、解析で相手のステータスを見ることができるのだ。アーリサが君のステータスをみるが良いかな。」

「構いません。どうぞご覧ください。」


 そう言うとアーリサ王女はおもむろに手に嵌めていた指輪を外す。すると先ほどまで薄い青色をしていた右の瞳が赤色になっていた。

 指輪はどうやらマジックアイテムで普段はその能力によって瞳の色が分からないように変えているらしい。座ったまま向かいに座った王女を見ていると突然王女が涙を流して口を手で覆った。


「ど、どうしたのですか?アーリサ様」

「・・・っ・・き・」

「なんともうされました?」


 すると王女はいきなり抱き着いてきた。突然のことで驚いていると王女から信じられない言葉が聞こえてきた。


「みつき、貴方光希なのね。」


 それは、前世の名前だった。この世界では、母親しか知らない、知るはずのない名前だった。


「アーリサ様、な、なにを仰っているのですか?」

「ごまかそうとしても無駄ですよ。私の魔眼は誤魔化されませんよ。すべてお見通しです。」


 正直、驚いた。隠ぺいのスキルを持っているから見られたくない情報は隠しているはずなのにそれまで見られたからだ。仕方がない。薄情するしかない。


「確かに自分は転生者です。しかし、アーリサ様、貴女は一体何者なのですか?」

「まだ、わかりませんか?ほんとに変わらないね。光希」


 いきなり王女の口調が変わった。

その声を聞いて、ふと前世の記憶が甦った。

 二度と会うことが出来なくなってしました。幼馴染のことを。

 

 あれは、中学2年の時、下校中いつもと同じように交差点で別れたあと自分が見ている目の前で命を散らした彼女のことを。

 彼女の名前は、柚木澤結理ゆずきさわゆり、幼馴染で家が近所であることから仲が良かった。

 結理は性格も明るく気遣いが出来、小学校でも中学校でも友人は多くいた。

 ちなみに当時の自分は、話の合う友達同士集まって話している方が多かった。

 結理とは必ずと言っていいほど帰りは一緒に帰宅していた。

 その際に悲劇が起こったのだ。交差点で横断歩道の信号待ちをしているときに考えごとをしていて信号が青になっているのに気づくのが遅れた。

 結理が先に渡りはじめ中間で、

 

 「光希早く来てよ。置いてくよ。」


 彼女がそう言うのが聞こえ、歩き出そうとしたその時、信号無視をしたトラックが猛スピードで交差点に突っ込んで来た。

 丁度その時横断歩道を渡っていた結理に向かって行った。彼女を助けようとカバンを捨てて走り出したが時すでに遅く自分の見ている前で彼女は跳ねられた。

 ぶつかる瞬間、彼女が俺の方を向いた、その顔は笑顔だった。

 それが生きている結理の最後の姿だった。そこから先のことはほとんど覚えていない。

 一ヶ月、無気力のまま生活し、彼女を大好きだった結理を助けられかった自分を恨んだ。

 その時決心したのが自衛官になることだった。同じような悲劇を繰り返さないために人々を守れるように自衛隊に入った。

 そのことが原因で殉職してこの世界に転生したわけだが彼女も同じように転生し、再び会えるとは思ってもみなかった。

 昔のことを思い出していると転生した結理、この世界のアーリサ王女が揺らしながら喋りかけてきた。


「どうかしましたか?マンシュ様。」

「いえ、何でもないです。」

「普通に話して大丈夫ですよ。ねぇ、お父様。」


俺達の会話に唖然としていた国王陛下はいきなり声をかけられたため少し反応するのが遅れていた。


「・・う、うむ、問題ない。」

「と言うことなので、いつも通りに話していいですよ。」

「分かった。これでいいよな。」

「はい、それで結構です。」

「それで、本当に結理なんだよな?」


そう聞くと王女は顔を明るくして頷いた。


「やっと思い出したんだ。遅いよ。光希。」


 そう言って笑顔で抱きついて来た。



  

 

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