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Ⅰ. 義理の姉の侵食

義理の姉と幽霊との板挟みな主人公のお話。始まります。

新しい家族が来てから僕の日常はどこか温かみがあるように見えて、どこかすれ違いが起こる不安定なものになった。

僕には幽霊が憑いていることも相まって、隠さなくてはいけないことが増え、僕は毎日気苦労が絶えない。

『最近顔色わるいね』

僕に憑いている幽霊の(さく)が言う。

「……ん、まぁね」

それに僕は答える。

「僕は本当は一人がいいのにな。なんで再婚なんかしたんだろ……」

『…それ言ったら?』

「駄目だよ。あまり母さんに迷惑かけたくない」

『あたしはいいの?あたしがいたら一人になれないよ?』

「別に桜はいい」

『幽霊だから?』

なんでそんな悲しいこと言うのだろうか。

「違う。……いや、違わないかも知れない。けど、僕にとって桜は――」

僕は言葉を並べるのを止め、扉の方を見る。

……あたしは?桜の口はそう言っていたが、僕は桜のことを家族には隠している為注意が必要だ。

余計な心配はさせたくないから。

「誰ですか」

そんなこと訊くまでなくわかってはいたけど、僕はできるだけ当たり障りない言葉を選び、家族の綱渡しにならなければならない。

「私だけど。入っていいかな?」

「どうぞ」

「ま、断られても入るんだけどね」

いつもマイペースだな。この人。

「なんの用ですか?」

「敬語ってなんか硬いよね」

「そうですか?僕としてはこれがデフォルトなので、あまり実感湧かないです」

本当のことを言う。

実際実の母親にも敬語で対応している。実質素で話せるのは桜ぐらいだ。

「そっか。なら敬語を外すことができれば仲が深まったってことかな?」

「どうでしょう?よくわかりません」

「惚けるのね。でもいいわ。あなたは私の弟なんだから敬語なんか使わせないようにしてあげる」

艶かしい声色で僕の耳の中を絡めるような感覚が襲う。

『……鼻伸ばしてる』

桜が隣で呟く。だが僕は答えることができない。そんなことは決してない、と。

「それでナニしてたのかな?一人で何か言ってたよね?」

耳がいいのか、この人。…確かにそんな様子はあったけど。

「特には何も。ただ、スランプ気味で困っていただけです」

「スランプ?って、何か創作でもしてたの?」

はい。と答えて机に向かう。

「これです」

「えっと、何々……」

呟きながら後ろから抱き着くように覗いて来た。

「……えっと、当たってますよ?」

女性独特の匂いと柔らかさが背中から伝わる。

「ん?あぁ。大丈夫。弟だから気にしないよ」

そう言ってまた僕のパソコンの画面へと目を移す。

『困るんなら言えばいいじゃん…』

義姉さんとの仲を取り持つにはあまり下手には動けない。故にじっとしてるのが一番だ。

『……』

「……ふむふむ。いいんじゃないかな?面白いと思うわよ?弟君の小説」

パソコンから目を外し、僕に向く義姉さん。

「ありがとうございます」

「うんうん。素直な子の方がお姉さんは大好きよ」

そう言ってそのまま抱き着いて来た。今度は本当に背中に密着する。

「うーん……弟君って抱き心地いいー…」

頬擦りまでしてくる。

『……むぅ』

桜がそんな僕を見て頬を膨らませる。

僕の生活に平和はあるのか……明日もこんななのかな……。

そんな疑問が頭の中をさ迷った。

無邪気というか、悪気なく密着する姉の暖かさっていいですよね。

はい。いませんのでただの妄想の範疇になりますが(笑)

というわけでまた会いましょう。

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