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愛の告白

*本日二度目の更新です!


*糖度高めです。苦手な方はご注意下さい。


エステルたちは手早く荷造りをすると、急いで王宮を後にした。


馬車の中でエステルは泣きながらフレデリックに頭を下げる。


「ごめんなさい。よりにもよって・・・女王?!私が?!そんなの無理です!せっかく頑張って演技したのに、お役に立てないどころか逆効果だったみたいで・・・。このままだとココとミアとも引き離されてしまうかもしれない。どうしよう・・・」


フレデリックは苦笑いしながら、べそをかく彼女の手をとった。


「大丈夫だ。君と双子は僕が必ず守る。絶対に君たちが一緒に居られるようにするから」


「本当に?で、でも・・・フレデリック様は王配になんてなりたくないでしょう?本当に申し訳ありません」


と震えるエステルは普段の冷静な態度とは雲泥の差で、迷子の子供のような不安げな表情を浮かべている。


(こんな彼女もかわいいな)


フレデリックは内心彼女に見惚れながら、ある覚悟を決めた。



彼女に愛を告白する覚悟である。


これまでエステルはフレデリックの愛情表現をあくまでも『恋人のふり』だとしか捉えていない。


自然と気持ちが伝わるように期待していたフレデリックだが、エステルの鈍感ぶりを見ているとこのままでは一生伝わらないと諦めたのだ。


「エステル。聞いて。君に恋人役をお願いしたのは単なる口実なんだ。正直言うと、君の素性がバレたら、女王陛下は僕を王太子に選ぶかもしれないとは思っていた。まさか君を王太女に選ぶとは思わなかったけど・・・」


エステルが目を瞠る。


「え・・・?どういうことですか?」


「それでも僕は君に恋人役をお願いした。君に近づきたかったからなんだ。君を口説くのに必死で・・・。『王太子になりたくない』というのは本当だけど、本音を言うなら僕は君と一緒にいられるなら何でもいい。君といられるなら王太子でも公爵でも平民になったっていいんだ」


「・・・どうして私と一緒にいたいの?」


きょとんと無邪気に尋ねるエステル。


自分の気持ちがまぁっったく伝わっていなかったのだとフレデリックは彼女の鈍さに感動を覚えた。


「エステル。僕は君が好きだ。女性として愛してる。だからこのまま僕と結婚して欲しい」


彼女の緑色の瞳を真っ直ぐに見据えながらフレデリックは告白した。


彼女の少し吊り上がった猫のような大きな瞳がまん丸になり、同時に顔が完熟トマトのように真っ赤に染まった。


両手を口に当てる彼女の指先まで赤くなっているのを見て、フレデリックは微笑んだ。


「あ、え・・え?私はあなたより六歳も年上で・・・子供がいるんですよ?」


「そんなの関係ない。僕は初めて会った時から君に惹かれていた。一生懸命ココとミアを育てながら店を切り盛りしている君に恋をしたんだ。君は思いやりに溢れる素敵な女性だよ」


フレデリックの真っ直ぐな言葉を聞いて、エステルの瞳が潤んだ。


「で、でもね。私にとってはココとミアが一番大切なの。だから、その・・恋愛する余裕がないというか・・・、その、フレデリック様を幸せにできる自信がない・・・です。ごめんなさい・・・」


フレデリックは彼女の頬に手を添えて、親指でそっと撫でる。


愛おしくて堪らないという甘い視線が演技ではないという事実に気づき、エステルの頬がどうしようもないほど熱くなった。心臓がドキドキと早鐘を打つ。


「僕は、母親としての君をとても愛おしいと思っている。ココとミアを必死で守る君に惹かれたんだよ。だから、二人を最優先にしてもらって構わない。今すぐ僕を好きになってくれとは言わない。でも、僕にもチャンスが欲しい。君が好きだ。いつか『恋人のふり』ではなく本当の恋人になって結婚して欲しい。どうか諦めろとは言わないでくれないか?」


切なそうなフレデリックの眼差しにエステルの胸がキュンとしめつけられた。


「でも、フレデリック様はそれで宜しいのですか?その・・・私がいつもココとミアを優先しても?」


フレデリックは朗らかに笑った。


「僕は君と一緒にいられるなら、どんなことでも耐えられる自信があるよ」


「・・・なんか私がずるいみたい。申し訳なくて」


とポツリと呟くエステルにフレデリックは思い出したように


「あ、でも、一つだけお願いがあるんだ」


と悪戯っぽく笑いかけた。


「なんでしょう?私にできることなら・・・」


「ココとミアへは存分に愛情を注いでもらって構わない。でも、他の男には心を許さないでほしい。浮気したら・・・僕は君を監禁してしまうかもしれない」


ニッコリと笑うフレデリックの瞳の奥には剣呑な光が宿っているが


「ああ、それなら大丈夫です。恋愛的な意味で男性には興味がありませんので」


とエステルはアッサリと言った。


「・・・ジョゼフのことはどう思ってる?」


「え?なぜジョゼフ様が出てくるのですか?」


「彼は君を口説いていただろう?」


「口説く・・・?ああ、勿論あれは社交辞令ですわ!」


エステルの自信満々の答えに多少ジョゼフに同情の念を覚えたフレデリック。


「・・・君は社交辞令だと思うの?」


「当たり前です!イタリア・・・いえ、外国では女性を見て口説かないのは失礼だという文化があると聞きました。ジョゼフ様は学生時代、真面目な優等生で軽々しく女性に声を掛ける方ではありませんでしたが、やはり世慣れて女性の扱いが上手になったのだなぁと感心しておりました」


それを聞いてフレデリックがぶふっと噴き出した。


クスクス笑いながらも


「はぁ、でも結局・・・どんぐりの背比べだな」


謎の言葉を発し、ガクリと肩を落とすフレデリック。


しかし、エステルはそれどころではない。


(どうしよう・・!?今私告白されたんだよね!?『好きだ』って言われたのは夢じゃないのよね!?じゃあ、今までのアレは演技じゃなかったってこと?!うぉおおお・・・・っ!!!)


と脳内でパニックに襲われ、叫び出したくなった。

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