表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は可愛いものがお好き  作者: 梓弓
第一章
46/46

42

カイト様とお話をしながらイール家の馬車に揺られる事数十分。滞り無くイール家に到着致しました。


「あ、着いたみたいだね。」


「はい。道も混まなくて良かったです。」


「カイト様、シオン様。ご歓談中失礼致しますが、扉を開けさせて頂きますね。」


御者さんによって馬車の扉が開かれ、カイトさんはスマートに先に降りてからすぐこちらに向き直って、


「お手をどうぞ。」


「はい、ありがとうございます。カイトさん。」


と、また先程と同じように私に手を差し出して下さったのでその手を取り馬車を降りました。


そのまま手を取られつつカイトさんに連れられて、イール家の正面玄関へと到着したのでした。


玄関にはイール家の執事長さんが笑みを讃えて待ってらっしゃいます。


「お帰りなさいませ、カイト様。そしてようこそお越し下さいました、シオン様。」


「ただいま、戻ったよ。」


「こんにちは。今日もまたお邪魔させて頂きますね。」


「いえいえ、お邪魔などとんでもございませんよ。シオン様はカイト様の大事な大事なお方なのですから。」


「そうだよ。それにうちの家族はシオンに会えるのを楽しみにしてるんだ。」


「……ええと。ありがとうございます、嬉しいです。」


カイトさんだけでなく執事長さんにまで言われるとは思いませんでしたので、余計に面映ゆいですね。


「あ、お母様には客間で待っていてくれるように頼んだから。渋っていたけど、これを見られる訳には行かないからね…」


「ええ、そうですね。」


私はカイトさんの視線の先にあるプレゼントの袋を見つつ、頷きました。


「さ、奥様もお待ちかねですからそろそろ参りましょうか。」


と、執事長さんに促された私達はカイトさんのお母様の待っていらっしゃる客間へと向かったのでした。


そして程なくして客間に着き、


「ではお開けしますね。」


執事長さんが客間の扉を開きます。


そこには優しい笑みをたたえたカイトさんのお母様が待っていらっしゃいました。


「初めまして、シオンさん。ようこそいらっしゃいましたわ。やっとお会い出来て嬉しいですわ。」


「はい、奥様。初めまして。私もお会い出来て嬉しいです。」


「カイトがどうしてもこちらで待ってと言うものですから……。お迎え出来なくてごめんなさいね。」


「いえ。お気遣いありがとうございます。……あの、それには理由が有りまして。」


「はい?」


「うん、実は……これなんだけど」


今まで黙っていたカイトさんが後ろ手に隠していたプレゼントの袋を前に差し出して、


「お母様に。」


「私に?」


突然の贈り物に困惑気味のお母様にプレゼント袋を手渡しました。


「いつも忙しい母様の為に、何か喜んで貰える様な物を作りたい思って。シオンには先生になって貰ったんだ。」


「手作り?シオンさんが先生?」


「はい。先生とまでは行かないですがカイトさんのお手伝いさせて頂きました。」


私はプレゼント袋を受け取ったお母様に向かって頷きつつ答えます。


「……色々と驚いたけれどまずはカイト、シオンさん。ありがとうございますと、言わせて頂きますね。」


カイトさんのお母様はプレゼントの袋を両手で抱え直し、満面の笑みを浮かべながら私達に感謝の言葉を伝えて下さいました。


「……気に入って貰えると良いんだけど。」


「大丈夫ですよ。カイトさんの心がこもっていらっしゃいますから。」


「ふふっ、シオンさんの言う通りですよ。……ええと、早速だけど中を見させてもらっても宜しいかしら?」


「うん、見てみて。」


カイトさんのお母様は一言断りを入れてから、袋の中から小物入れを取り出します。

その様子をカイトさんと私が見守ります。


「……まぁ!とっても可愛いわ!これは…小物入れかしら?」


カイトさんのお母様は小物入れをしげしげと眺めています。


「うん、小物入れだよ。シオンにも一緒に選んで貰ったんだけど、上のクロカンブッシュの部分は手作りなんだ。」


「私も微力ですがお手伝いさせて頂きました。」


「そうなのね。手作りなんて凄いわ、カイト。こんな可愛い小物入れをありがとうね。シオンさんもお手伝いして頂いてありがとうございますね。」


「うん、喜んで貰えたなら良かった。」


「良かったですね!カイトさん。」


と、言う事でカイトさんのお母様へのサプライズプレゼントは無事に終了し、私もほっと一心地ついたのでした。


こちらで第一章完となります。

長い間お待ち頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ