閑話一 眠りは追憶
過去回、になるのかな?
3人称(?)難しいっす。
傍観神の視点であると明言しておくべきか否か……。
あるところに星があった。
世界があった。
その世界には様々な神々が暮らしていた。
人という小さき存在が色々な困難に立ち向かい、生き抜こうとする様子を観察し、慈しみ、悲しみ、楽しむ。そんな神々たちが人知れず治めている世界。
そんな世界。
とある少女がいた。
少女はごく普通に生き、ごく普通に、若くして死んだ。
この世界、その時代では別段珍しくもないことだ。
ただ、それだけの話。
そう、それだけのことだった。
少女は、再び生を受けていた。
その魂の記憶を持ったまま。
一度目は普通の人生だった。
二度目の人生はすぐに終わった。魔獣の群れに村が蹂躙されたからだった。
それも、そこではよくある悲劇だった。
三度目は強くなろうと決めた。死なないために、死なせないために。
力が足りなかった少女は武器もまともに振るえなかったが、それでも諦めなかった。
だが、死んだ。
やはり、魔獣の群れに押し潰されてひとつの村と共に消えた。
そしてこの頃から、神々の仲に不穏な影が見え隠れしていた。
本来なら争うことはせず、ただ世界を保持することだけが存在意義であった神の下にいた神々。
その神々もまた、人と共に変わろうとしていた。
四度目は魔法という力に気がつき、それに目覚めた。
念じれば火を生み出し水を操り風を起こし地を動かした。
だが、周囲の人々は少女に恐怖した。
自分たちにはない力。圧倒的で、絶対的な力。
少女は人間の住まう村を追い出され、魔獣の住まう森に向かわされた。
少女が覚えているのはそこまでで、森の記憶はなかった。
そしていつの間にか始まっていた五度目の人生は、人であり人でなかった。
人族ではありえないとされていた緑色の髪と瞳。
人の身だった頃を遥かに上回る魔法の力。
少女はひとりで森に住んでいた。
草木と共に生き、魔獣を狩り、人から逃げるだけの生活。
何度も幸せを求め、何故自分だけが完全なる死を許されないのか、神を憎み、怨んだ。思いつく限りの言葉で罵った。
その想いが伝わったのか、少女は死んだ。
そうして向かえた六度目の人生。
少女は数えることに疲れていた。
――だが、この六度目は、今までの人生とは違う、まるで別世界に紛れ込んでしまったかのような幸せを知った生となる。
「はい、魂の定着を確認。成功ですね……お疲れ様でした」
「ありがとうございます! 産まれましたよパパ! お姉様!」
「はいはい見てたよ聞いてたよ知ってるよっつーかなんで産んだお前の方が元気で赤ん坊の方が静かなんだよおかしいだろ」
「まあいいじゃないですか。可愛い女の子ですよー」
「あぁそうだな……んで。こいつは使えそうか?」
「もっちろんですよパパ! なんたって私とパパの子ですから!」
「はい、私の見立てでは89%の確率でご満足していただけると思いますよお兄様」
「1%でも通る時は通っちゃうのが確率なんだけど、これは期待大かな……って。なんじゃこりゃ?」
「どうしましたお兄様?」
「無限転生、か……ここは内からなら繋げられるのか? あいつはまだ手は出してないって言ってたが、あそこだとどうとでも言えるんだしこれはちょっとアザ様に訊いた方が良いかもな……エル、どうだ?」
「ふむふむ、面白いことになっていますね。これは偶然でしょうか?」
「どうだかな。確率操作か運命、もしくは宿命を管理してる奴っていたか?」
「知りませんのでお答えできません。申し訳ありませんお兄様」
「あぁ、いーのいーの。あいつらどうせ適当に奪い合ってるだろうから。後で一発かましてくるついでに訊いてくる」
産まれたての、中身が少女な赤ん坊は目の前で行われているやりとりを理解できなかった。
そもそも目が開いていたとしても視力が足りずに見えなかったのだから、大して変わりなかったのかもしれないが。
なぜなら、その三人が交わしている言語が、この世界のものではなく、別の世界で日本語と呼ばれているものだったから。その少女にはふたりが何を言っているのか、聞き取れなかっただろう。
神暦244年のことである。
これは、少女――後のセカンドフェリ、ベルフェリと呼ばれる娘のお話だ。
無理矢理だけど明日クリスマスっぽい話を入れます。
リア充爆散するべし。
「う、羨ましくなんかないんだからねっ!」




