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第10話 キミは、魔女

ヴィクトリアス学院。渡り廊下。

マドル・オーランドは、廊下の真ん中を歩いていた。

その後ろには、男子生徒がついて歩く。

一人や二人ではない。

後ろを歩く男子生徒の数。

100人超え。

もはや、大行列。

大名行列である。

マドルは、胸を張る。

その行列の一番前を優雅に歩いていた。

男子生徒は、全員、マドルを愛している。

愛のトリコたち。

マドルは、この男子生徒たちのことが好き。

広く、まんべんなく、皆んなのことが好き。

一番なんて選ばない。

平等に好きなのだ

「愛しいマドモアゼル・マドル」

「元気?」

教師ベアニソスとぬいぐるみベアスだ。

「マドル。今日は、テストがある。その後、二人きりで愛を語り合わないかい?」

「私は、一人の男を選ばないわ。多くの男を選ぶの。ごめんなさいね」

マドルは、先頭を歩く。

男子生徒たちは、その後ろを歩く。


第10話 キミは、魔女


理事長室前。

アレキサンダーとデーメーテルがお辞儀をする。

「何で、私を呼んだの?」

マドルは、腕を組む。

その後ろには、100人超えの男子生徒たちがいる。

「マドルのおかげで、入学希望の男子生徒が増えてきたんだ」

「あら、そうなの」

片想いの気持ちもあるが、マドルは気にならなくなっていた。

もう、アレキサンダーは過去の男。

それより、入学希望の男子生徒が増えていることが気になる。

マドルを愛する男が集まってきているのだ。

「新たなマドモアゼルさん。そんなにたくさんの男子生徒から愛される自信はあるんですの?」

初代マドモアゼルのデーメーテルが聞いてくる。

「このヴィクトリアス学院のマドモアゼル制度で、男子生徒は、唯一の女子生徒である私を愛さなければ駄目なのよ」

マドルを愛さない男子生徒などいない。

いらない。

今や、デーメーテルの時代より、マドルの時代の方が、男子生徒の数がうわまわっている。

勝っている。

デーメーテルに勝っている。

「アレキサンダーは、渡さないですわよ」

「いらないわ。過去の男なんて」

マドルは、理事長室を後にした。


風紀委員会室前。

「マドル。愛してるぜ」

「マドル。大好き」

「マドルさん。大好きです」

「ハモニス!ファッソ!ラシード!おはよう」

この学院で、一番、仲の良い三人組に出迎えられた。

マドルは、三人と手を取り合う。

「今度、ダンスパーティーの仕切り直しをする話をしてたんだぜ」

「マドルと踊りたかったんだ。ボクたち」

「ぜひ、エスコートさせてください」

「いいわね。やりましょう」

マドルは、笑顔で、うなづいた。

後ろにひかえる男子生徒たちもどよめく。

「俺が、マドルと…」

「マドルは、俺のものだ…」

いつもの調子で盛り上がりはじめる男子生徒たち。

「そうね。全員と踊るわ。何日かかっても」

約束を交わすマドル。


十字都。十字市。

ヴィクトリアス学院。

ここでは、マドモアゼル制度がある。

女子生徒は、一人きり。

一人の女子生徒は、男子生徒全員から愛される。

そして、男子生徒全員をトリコにしなくてはいけない。

女子生徒は、男子生徒の皆んなの愛を受け入れなければならない。


愛が重い男子生徒の集まる場所で、

輝くキミは、まるで魔女だ。

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