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転生少女と結婚式4

よろしければ、お読み下さい。

 ロックは、アニエスのものより大きな魔法陣を描くと、それに自分の魔法薬を垂らした。すると、魔法陣から無数の蔓が伸びてきて、蝶を次々と絡め取る。絡め取られた蝶は、羽の色を黒くしたかと思うと、動かなくなった。

「この蔓には魔物に効く毒があってね。この蔓に絡め取られた魔物は、まず助からない」

ロックは、説明しながら次の魔法陣を描いていく。ロックが描いた五~六個の魔法陣は、効率よく蝶の魔物の命を奪っていった。

「……さすがっすね。マリユスの本を読み込んでなかったら、ここまで効率よく退治できないっす」

「君の才能には負けるよ」

 アニエスとロックは、お互いを称え合った。そして、体力を回復したアニエスは、ロックと共に再び蝶を退治し始めた。


 二~三時間経っただろうか。蝶の魔物は、一匹も残らずいなくなったようだ。アニエスもロックも、疲れ切った様子で息を切らしている。

「……やっと終わったっすね。あの蝶の大群は何だったんすか……」

「さあ……僕が生み出していた魔物が急にいなくなったから、生態系が崩れたのかな」

「元凶はあんたっすか……」

ロックは苦笑しながら謝ると、アニエスの方に向き直った。

「……そろそろ、監獄に戻る時間かな。じゃあね、アニエス・マリエット……いや、アニエス・アベラール妃殿下」

 アニエスは、ドキリとした。そういう風に呼ばれたのは初めてだった。自分の立場を実感する。ロックは、また手枷や足枷を嵌めると、衛兵達に連行されていった。


 アニエスが「妃殿下」呼びの余韻に浸っていると、周りのザワザワする声が聞こえた。

「……おい、あの子が魔物をやっつけてくれたのか?」

「そうみたいだな。変な術を使ってたし。……ところで、あの子、どこかで見た事ないか?」

「……あ、思い出した!あの子、ジョズエんとこの娘だ。アニエスだよ!」

「ああ、あの、小さい頃から木刀振り回してたじゃじゃ馬か!」

「……おい、アニエス・マリエットといやあ、エルネスト殿下の婚約者じゃねえか」

「あのじゃじゃ馬がもうすぐ妃殿下……」


 そこまで聞いて、アニエスは気が付いた。新聞等で、エルネストの婚約者の名は公表されている。エルネストの婚約者がお転婆だと知られないようにしなければと思っていたが、そんな努力に意味は無いのだ。

 私が婚約者で皆をがっかりさせただろうか。そう思って目を伏せていると、大きな拍手が聞こえてきた。ハッとなって顔を上げる。

「魔物を退治してくれてありがとう!」

「第二王子に見初められるなんて、大したもんだ!」

「エルネスト殿下とお幸せに!」

 沢山の歓声。アニエスは、驚きと嬉しさで気持ちがぐちゃぐちゃになった。皆に祝福されている。エルネストの妻になる事を、こんなに多くの人が認めてくれている。

 アニエスの目には、涙が浮かんでいた。


 数日後、アニエスは教会にいた。隣にいるエルネストがアニエスに微笑みかける。今、二人の結婚式が行われているのだ。神父が言葉を発する。

 「エルネスト・アベラール。あなたはここにいるアニエス・アベラールを、病める時も健やかなる時も妻として愛し敬い守り抜く事を誓いますか?」

「はい、誓います」

「アニエス・アベラール。あなたはここにいるエルネスト・アベラールを、病める時も健やかなる時も夫として愛し敬い支え続ける事を誓いますか?」

「はい、誓います」

 後ろには、フレデリクやブリジットを始め、二人と親交のある人達が座っている。ジョズエやフォスティーヌも涙を溜めてアニエスを見つめている。

 アニエスとエルネストは、指輪を交換し、互いを見つめ合うと、そっと唇を重ねた。外は、二人を祝福するような晴天だった。


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