ランタン
階段をおりるかれらにはぴりぴりとした緊張が支配している。
みな、無言だった。
だれかがなにか口にすれば、それだけで緊張が解けてしまうのを怖れているように、かたくなに口を閉ざしている。
王はかざしているランタンを顔に近づけ、足を止めた。
その動作でみな、動きを止めた。
ランタンの明かりが消えかけている。
とうにギズモ教授がかかげていたランタンの油はきれ、役に立たなくなって途中で捨ててしまった。王の持つ明かりだけが、唯一の光源だった。その光がはっきりとわかるほど、弱くなっているのだった。
灯火が消えかけている。
今にも消えそうだ。
消えた。
すっぽりと一同を闇がつつんだ。
「このまま行こう。道はまっすぐだから」
パックが声をあげた。
闇の中で、みながうなずく気配がする。
さぐりつつ階段を降りていく。
やがて教授がつぶやいた。
「ひかりがあるぞ……」
その通りだった。
闇につつまれ、目がそれに慣れてくると、ぼんやりとではあるがあたりはほのかな明かりにつつまれているのだった。どうやら壁自体が発光しているようで、かすかな冷光が壁から放射しているのがわかる。
「なんでえ、これならランタンは要らなかったなあ……」
タルカスが安心したように叫んだ。
教授は首をふった。
「いいや、おそらくこのひかりは、洞窟のこの部分しか照らしていないのだろう。パックの話しでは、目覚めたときお守り役のスライムは明かりを持ってきたというではないか。やはり明かりは必要だったよ」
ふうん、とタルカスは肩をすくめた。
「階段がおわるわ……」
ファングが指さした。
その通りだった。
長い階段の終わりがきていた。
その前に短い通路がつづき、そして扉がある。
扉の前にかれらは近づき、見上げた。
それほどおおきな扉ではない。当たり前の、木の一枚板にノブがついている。五人の間ですばやい目配せがかわされた。四人はパックを見つめていた。
パックはかれらの視線にうなずき、ひとり前へ進み出る。ノブに手をかけた。
握る。
そして開けた。
…………
かすかなラッチ音ととともに、扉は開いていく。
内部をのぞきこんだパックは叫んだ。
「ミリィ!」




