提案
「まさか、信じられない! ミリィが王様と結婚するなんて!」
宿に帰り、パックは頭をかかえていた。
ミリィと会ってどうする、などと考えはなかったが、こういう結果を望んでいたわけではなかった。そんなパックをファングは気の毒そうに見つめていた。
「いいじゃないか、あんなに会いたかったミリィに会えたんだから」
そんな言葉が慰めになっていないことは百も承知だったが、そうでも言わないとこの場の空気に耐えられなかった。
「しかしなんでまた王さまはいきなり結婚を決めたんだろうな。そりゃあの年頃だから結婚話は降るほどあるが、ミリィを選んだというのが判らん!」
タルカスがぼりぼりと髭をかきながらつぶやいた。
「判らない……なんでぼくがあんなにミリィに会いたいか、それさえも判らない。でも、こんなの間違っている……それだけは判る……」
パックはうつむきながらつぶやいた。
「ぼくが確かめようか?」
ふいにヘロヘロが言葉を発した。
え? と、パックはヘロヘロを見つめた。
えへへへ……と、ヘロヘロは笑った。
「どうやって?」
「忘れたのかい? ぼく、スライムだよ」
そう言うとにゅーっ、と身体をのばし、床につくと見る見る平べったくなる。ついには紙ほどの薄さに広がった。黄色い体が薄くなって、床の模様が見えるほどだ。
「ぼくなら、どこへでも入り込める。お城に忍び込んで、ミリィと話をすることだって……」
そうか、とパックはうなずいた。




