第91録 慌ただしい帰還
前回のあらすじ
・驚きに黙る冒険者達
・皆マキジに誉められたい!?
今回は野営地に帰還
「ようやく山岳地帯を抜けそうだなぁ」
「流石にこの人数での移動は時間がかかりましたね」
飛竜のいた山岳地帯の窪地から、冒険者達と一緒に移動して約二時間、辺りが薄暗くなり始めた頃、俺達は野営地の近くまでやって来ていた。
「まぁ遅れた人がいないか確認したり、休憩をこまめに取ってたからね。仕方ないことだと思うよ」
「基本的に人数が増えれば増えるほど移動にかかる時間は増えるでござるからな。拙者にとってはかなり遅いと言えるでござる」
まぁララーナは忍者だからか基本、一人で行動しがちだしな。ただその分移動速度は速いけど。今回の偵察なんかがいい例だ。
そういうこともあって集団での移動速度に関しては思うところがあるんだろう。
……いつも言わないだけで、実は馬車の移動も遅いとか思ってたりするのかも知れないな。
「まぁでももうすぐ野営地だ。今日はテントでゆっくり休んで……ん?」
ゆっくり休んで明日からまた頑張ろう、と言おうとしたのだが、何やら野営地の方が慌ただしい。
何かあったのだろうか?
「マキジ! 野営地の方が騒がしいようです。何かあったのかも知れません。ここは誰か先行して様子を見てきた方がいいと思うのですが」
「みたいですね……あ、そう言えば飛竜を倒したときに、王国軍の兵士が慌てて野営地に戻っていったって誰か言ってませんでした?」
【確かに誰かが言ってた気がする】
「だとしたら~、飛竜の亡骸を回収するために~部隊を編成しているのかも~。完全な無駄足だから止めさせないと~」
しまったな……せめて足の速い人にでもひとっ走り状況を伝えに戻ってもらえばよかった。
こう言うのが戦場に置ける情報の大切さってやつなんだろうな。
「とにかく俺達だけでも急ごうか。飛竜を倒したのは俺達な訳だし」
「そうですね。急ぎましょう」
俺達は先行して野営地へと戻る旨を近くの冒険者に伝えると、野営地へと急ぐ。
※※※※※※※※※※
俺達が野営地に着いた時、野営地では丁度バルドレイさんが兵士達を指揮して、山岳地帯へ向かおうとしているところだった。
「ええい! 何をしている! 早く山岳地帯へと向かうぞ! このままでは肝心の止めの瞬間に我々王国軍が居なかったことになるではないか! せめて飛竜の亡骸の輸送だけでも我らで行わねば、示しがつかぬ!」
「は、はっ! もうまもなく準備が完了致します! 完了次第出発致しますので……!」
……うーん、これはやらかしてしまっただろうか。
「どうします? マキジくん」
「いやー……この状況で出ていくのはちょっと勇気が……」
「大丈夫ですマキジ。表面上、今回の討伐は私がリーダーと言うことになっていますから、私が話をつけましょう」
そういうと姿勢を正し王国軍の前に出ていくシャルロッテさん。
「ん? ……おい、あれ!」
「どうした……? ってあれは【教会】の【勇者】!? す、直ぐにバルドレイ団長に知らせるんだ!」
シャルロッテさんを見つけた兵士が慌てて伝えに走る。
「……これで一先ず王国軍が動くことはないでしょう。マキジ、私はこのままバルドレイ殿に会いに行こうと思いますが……」
「あー、俺も行くよ。飛竜の亡骸は俺の【ストレージ】の中な訳だし」
そもそも俺の【ストレージ】の話をしないといけない以上、本人がいた方がいいだろうからな。
「それじゃ~私は一旦冒険者達にここであったことを伝えてくるわね~」
【うぅ……また戻るの……ちょっと辛い……】
「じゃあエレミアさんと私は治療所の方へ行っていますね」
そうだな、野営地の様子を見に行った俺達が誰も戻らないと問題だしな。ここはマリアさんに任せよう。
そしてエレミアさんはあんまり運動が得意ではないからな、このままマールと待機してもらっておくのがいいだろう。
……一応、【攻撃阻害】はかけておくか。
あとはララーナだけど……
「拙者は主殿と一緒に行くでござるよ。ここに来たときは先行して偵察に出ていたでござるからな」
「マール達と一緒にいてもいいんだよ?」
「それでもいいんでござるが……たまにはこう、主殿の従者のような立ち振舞いをするのも悪くないなぁ、と思ってでござるな?」
そう言いながら頬を掻くララーナ。特徴的な長い耳もピコピコと動いている……スッゴい触りたいあれ。
「そっか。じゃあ俺の護衛よろしく頼むよ」
「はっ! 拙者にお任せくだされ!」
取りあえずこれで全員の目的地は決まったかな?
「それじゃあ皆、それぞれすることが終わったら、俺達のテントに集まろう。それでいいかな?」
「わかったわ~」「はい!」
マリアさんとマールがそれぞれ答えると、マリアさんは再び野営地の外へ、マールとエレミアさんは治療所へと向かっていった。
「それじゃ俺達もバルドレイ様の所へ向かいましょうか」
「はい、そうしましょう」
そして俺とララーナ、シャルロッテさんもまた、バルドレイさんの所へと向かうのであった。
※※※※※※※※※※
「おぉ! シャルロッテ殿! お戻りになられたか! それにマキジ殿も無事なようで!」
「はい。なんとか飛竜を五体満足で討つことが出来ました。一当てし、一度合流してとも考えたのですが、マキジ達の協力もありましたので」
「そうでありましたか。マキジ殿、流石は【勇者】殿に選ばれただけはありますな。その活躍を見られなかったのは少々惜しいものがありますぞ」
「俺は俺に出来ることをしたまでです。ですが、そう言って貰えると嬉しいですね」
先ずは顔を合わせた瞬間、良くある会話が飛び交う。
この後はシャルロッテさんに任せようか。
「バルドレイ殿、それで飛竜の亡骸なのですが……」
「おぉ! それならばこれからこちらで部隊を編成し、解体を行うつもりだ! なに、ちゃんと冒険者達に報酬は支払うから安心して欲しい」
「いえ、その件なのですが、実はもう解決しているのです。既に亡骸は回収し、この野営地に運び込んであります」
……お、シャルロッテさんなかなか上手い言い方だな。確かに俺がここに居るんだから既に運び込んでることになる。
「ふむ? しかしあの巨大な飛竜の亡骸が野営地に運ばれてくれば大騒ぎになるぞ? そして私はその様な報告は受けておらん。一体どういうことかなシャルロッテ殿」
バルドレイさんは訝しげな目をシャルロッテさんに向ける。まぁ普通はそう言う反応になるよね。
「その答えはマキジが持っています。バルドレイ殿、野営地の外へご足労願えますか?」
「ふむ……よくはわからんが、シャルロッテ殿がそこまで言うなら付き合おう。誰か! 供をせい!」
バルドレイさんがそう言うと、兵士が二人ほどやってくる。
「では行くとしよう」
「ええ、マキジもいいですね」
「はい。問題ないですよ」
こうして俺達は飛竜の亡骸を見せるために、再び野営地の外へと向かうのだった。
……あれ? そう言えばララーナはどこへいったんだ……?
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