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四話。

俺はその後体を壊してしまい

寝込んでしまった。

実家住の俺は両親に看病して

貰い人の温かさに触れていた。

俺が寝込んでいる中

オーマさんとリュウヤさんが

見まいに来てくれた。


「ようシード! ぶっ倒れたって

 聞いて見舞いにきてやったぜ!」


「からだのお加減はいかがですか

 シード君。」


二人は部屋に入ってくるなり

まるで自分の部屋かのように

くつろぎ始めた。

俺はそんないつも通りの

二人の姿を見て

少し呆れつつ身を起こした。


二人は身を起こした俺を

見るなり茶化そうとするが

俺の顔色を見るなり

真剣なまなざしで俺を

見据えていた。


「シード、テメー何があった。」


「別に何もないよ。」


「嘘ですね。

 私たちはもう長い付き合いです。

 そんな私たちが今まで見たこともない

 あなたのそんな表情を見て

 何も無かったなんて思えると

 思いますか?」


この二人本当に俺の事を

よく見ているな。

両親も俺の変化には気づいていた

みたいだけどやさしさか

何も言ってこなかった。


だけど二人はきいてきた。

そこには真剣に俺の事を

心配している友の顔があった。


だから俺は話した何もかも

二人は俺の話を黙って聞い

ていてくれた。


時には驚愕、時には怒り、

そして悲しみと表情を変えていた。


話を聞き終えるとオーマは

腕組みをして真剣な表情で

問いかけてきた。


「なるほどな。それでシード

 お前さんはどうしたいんだ?」


「どうしたいとは

 どういう意味だ?」


「言葉通りさ。

 もしも勇者と賢者に復讐を

 したいって言うなら

 俺たちが手を貸すぜ。」


「ええそうですね。

 あなたの今の心境は私達には

 わかりません。

 しかし、深く傷ついている

 事は分かります。

 その傷を少しでも癒すために

 復讐を望むのなら私たちが

 協力します。」


「そうだぜ。安心しな俺たちはこう見えて

 かなり顔が広いぜ。下手したら

 そこら辺の軍隊を丸々一つ動かせる

 位にはな。」


「いやいや、どんだけだよそれ。

 それはもう顔が広いのレベルじゃ

 無いじゃん!」


「それもそうか! はははっ!」


まったく結局内容がとんでもなさ過ぎて

突っ込みを入れてしまった。

しかしそうかこれからどうしたいか、か...。


寝込んでいる約一週間俺は色々考えていた。

今後俺はどうするべきか。

サラが俺ではなく勇者を選んだのは

もう紛れもない事実。

しかし両親の温かさ

オーマとリュウヤの優しさに触れて

俺は少し考え方が変わった。

最初こそサラの裏切りに憤りはしたが

これでも元オタクの端くれこの手の

ジャンルもたしなみ位はしていた。

だからこそ俺は今の自分の状態を

客観的に見る事が出来た。


サラだって人間だ今まで田舎で危険も

殆どない状況の中で過ごしてきたのに

いきなり戦場しかも能力故に最前線の

殺し合いに駆り出されたのだ。

田舎という閉鎖的に空間にいたせいで

人があまりにも多い最前線の空間は

ストレスにもなっただろう。

周りは知らない人ばかりで寂しさも

覚えただろう。

そんな時に同い年位の男の子に

助けられ優しくされれば恋に落ちてしまうのは

しょうがないことだろう。


勿論サラをそんなにすっぱり諦められる

訳がない。諦められる訳ではないが....。


「オーマさん、リュウヤさん

 俺決めました....。」


二人は固唾を飲んで俺の

答えを待つ。


「俺は祝福することにします。

 サラと勇者を。」


「「!?」」


二人は俺の答えを聞いた後

驚愕の顔を見せた。


「シードなんでそんな

 結果になったんだ?」


「ええ、是非聞かせていただけると

 助かります。」


「わかりました。」


俺は先ほどまで考えていた事を

話した。そしてそれに加えて

自分の愚かさも。


「―――だから俺は二人を祝福

 するんです。それに俺も悪いんです。

 裏切るとかは置いといて

 婚約者を一人知らない土地

 それも戦場に送ったのです。

 その気になれば荷物持ちでも

 なんでもしてついて行くこと

 だっって出来たのに変なプライドが

 邪魔をしてそれを拒んだ。

 そんな男が愛想をつかされても

 当たり前なんです。」

 

オーマとリュウヤは俺の答えに

顔をしかめたがすぐに真顔に戻った。


「シードお前本当に後悔は無いんだな。」


「ああ無いね。」


俺がオーマの問に対して即答で返すと

オーマとリュウヤは呆れた顔をした。


「シードお前さん人が良すぎだろう。

 普通勇者と賢者をぶっ殺す位の

 事を言うのが当たり前だぞ。」


「そうですよ。それを祝福しようだなんて

 もうただの馬鹿としか言いようがないですね。」


二人はそろってやれやれと頭を振っている。


「なんだよいいじゃねーか

 もう俺の中ではそういう結論に

 至ったんだから。

 俺は二人を祝福する異論は認めん!」


「なーにが異論は認めんだ。

 カッコつけやがって。

 ああいいぜお前がそういう

 結論になったっていうなら

 俺たちは何も言わないぜ。

 じゃあ俺たちは風邪をうつされても

 困っから帰るわ。

 後は一人でやってろ。

 リュウヤいこうぜ。」


「オーマ...そうですね。行きましょうか。」


オーマとリュウヤはそういうと部屋から

出て行く。リュウヤが出て行く前に

振り返って俺にやさしく言った。


「今回の事が終わったら今度

 みんなで旅行にでも行きましょう。

 そうすれば、少しは気が晴れるでしょう。

 それとシード君一人ではどうしようも

 なくなった時は私達二人を頼ってくださいね。

 私達と君は友なのですから。

 あ、そうそうたった今この部屋に防音魔法を

 かけたので大声でも上げても爆発魔法を

 使っても外には一切聞こえないので

 お好きなようにストレスを発散してください。

 ではまたお会いしましょう。」


そういうとリュウヤは出て行った。


「全く余計なことしやがって、

 く、くそ、くそ、くそーーーーーーー!!!

 うああああああああああああああああ」

 

俺は存分に防音魔法を活用させて貰った。

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