三話
サラが旅に出てから約一年が立とうとしていた。
サラとの手紙のやり取りは今でも続いているが
段々違和感を覚え始めた。
最初のころは全然出てこなかった勇者だったが
二か月位が立つと段々手紙にも出てくるようにもなり
五か月目ではブレイ君という呼び方に変わり
そして最近ではブレイ様という
慕っていることがまる分かりな文面になっていた。
まさかサラがとは思ったが手紙の頻度は週一から
二週間に一度位に頻度が落ちていた。
そして決定的な事実を知った。
それはおっさんたちの稽古でそこそこ力がついて
冒険者家業で食っていける位になった時だった。
俺はいつも通り依頼をこなしてさて帰ろうと
した時、冒険者仲間の奴らに酒に誘われて
飲みにいった。
ある程度飲んでいい感じに酔いが回って
来た時だった。
「ああ、そういえば聞いたか勇者様のあの話。」
一緒に飲んでいた冒険者エーが話を振ってきた。
「ん? 何だ勇者様の話って?」
「なんでも騎士団長さんと聖女様
それと賢者様達と体を
赦す位の恋仲になってるらしいぜ。」
俺はそれを聞いた瞬間一気に酔いが
冷めて呆然とした。
冒険者ビーが俺のその変化に気づかず
話を続けさせた。
「ええ! それは本当かい!?
騎士団長さんと聖女様はともかく
賢者様には婚約者がいるって噂じゃ
なかったか?」
「それがマジなんだそうだ。
なんでも泊っていた宿主の話なんだが
各部屋に設置されてる呼び鈴が
鳴ってそれで勇者様たちの部屋に行ったら
扉が少し開いていたらしいんだ。
それで宿主が何かあったのではと
部屋の中をのぞいたら
勇者様と事をなしてる賢者様と
裸で寄り添う騎士団長と聖女様を
見ちまったんだって。
宿主は呼び鈴がことをなしている時に
誤って鳴らされた物だと解釈して
扉を静かに閉めて戻ったそうだぜ。」
俺はその話を聞いている最中必死に頭を
巡らせていた。
今世界中で見つかっている賢者はサラだけで
軍に合流した中にも賢者と間違われる人は
いなかった。
そしてなにより今の話には何ら
おかしな点が無い。
騎士団長と聖女そして賢者が
勇者と恋仲であるという可能性がだ。
なんせ俺はその核心を持たざるを得ない
証拠に心辺りがあるからだ。
そうサラとの手紙である。
俺はいつの間にかその場を後にしていた。
そして気が付いた時には財布を盗まれ
路地の裏で眠っていた。
俺は絶望しきっていた。
サラが俺を裏切り勇者とそういう
仲になっていることに対して、
サラが勇者との仲を俺に告げず
隠し通していることに対して、
そしてあの時神官たちが来た時に
足手まといでしかなかった
弱い自分に対して深く憤り絶望していた。
俺はどす黒い感情を胸に抱きながら
その場を後にして帰路についた
帰り道は俺に頭を冷やせと
言っているかのように雨が降っていた。




