リンダ
「やったー!受かってるぞー!!」
「おお!名前載ってる!!」
「....ぐすっ..ぐすっ....。」
「うえーん!落ちちゃったよ~!!」
「「「わーっしょい!わーっしょい!」」」
今日は合否発表の日。
俺たちは入学手続きをするために、学校前に来ていた。
胴上げをしていたり、隅で泣いていたりと、喜びと悲しみのふたつが入り交じる空間が形成されている。
「おおおお!!見て!見て!!」
タットの興奮する声。
そんな興奮しなくても、合格なんて分かりきってたことだし。
と思って目を向けると、タットの名前がデカデカと載っていた。
「へぇー。順位が載るんだ。良かったじゃんタット1位だって。」
「わあっ!タットぉ!すごーい!!」
1位がタット。
筆記 100点 魔法 100点 模擬戦 100点
合計300点で満点合格だった。
2位はリンダ=フックス。
筆記 85点 魔法 60点 模擬戦 100点
合計245点。
そして3位が俺だった。
筆記 100点 魔法 0点 模擬戦 100点
合計200点。
順位は10位まで載っていた。
ちなみにシュナちゃんは6位で、合計188点だ。
「シュナ6位だって!えらいえらい!魔法の点数は100点だし!すごいよシュナ。」
タットがシュナちゃんを撫でる。
みるみる顔が紅くなるシュナちゃん。
これは完全に惚れてるのが丸分かりですね。
「....あれ?」
そこで俺は気付く。
リンダの黒魔術が60点で、シュナちゃんは100点。
シュナちゃんってリンダより強力な魔法使えたっけ?
てかリンダの黒魔術が60点というのも意外だ。
「ねぇタット。シュナちゃんって魔法試験の時なんの魔法撃ってた?」
「ん?えーっと確か、アイススピアだったかな。」
アイススピア。スキルレベル3で覚える水系の攻撃魔法だ。
たしかに6歳で出来るっていうのはすごいが、英才教育を受けている子なら出来ることも多い。
黒魔術のコロージョンが60点でアイススピアが100点?
何の基準で点数を決めているのだろうか。
「ちなみにタットはなんの魔法使ったの?」
「ボクはレベル9の糸魔法でビニール紐を出したよ。」
意外だった。
レベル9でビニール紐が出せるっていうのも初耳だが、あの騒ぎはビニール紐によるものだったのか。
まあ、それで100点取るんだから凄いや。
「フロイトくんは魔法の点数0だけど、もしかして何もしなかったの?」
「ああ、俺の魔法は危険だからね。」
質問に答えると、タットは少し悲しそうな顔をした。
同情するな。強者ゆえの悩みだから俺は気にしてない。
☆
「それでは、こちらが寮のカギになります。」
入学手続きを済ませると、事務の人から寮のカギを受け取った。
入学式まで少し先だが、寮にはもう泊まれるということだ。
それに一般入学の新入生は、入学式よりも先に授業がある。
この魔法武術学校は、大学のように自分で時間割を作るのだが、「どんな授業があるのか知ってもらいたい。」ということで、明日から3日間先行授業をやるらしい。
「剣術に居合い術、剣舞に体術!いろいろあるね!フロイトくん!」
「うん。杖術は無いみたいだけどね。」
寮に入り、カリキュラムが書かれた紙を広げる。
どうやら、俺とタットは同じ部屋のようだった。
正直ちょっと嫌だな。
個室の方が良かった。
「これって全部、選択科目なのかな?必修科目ってのはあったりするのかな?」
「さあ?必修とかは無いんじゃない?」
科目は全部で40。
前世と同じように自分で1週間の時間割を作るらしい。
科目の名前を見ながら、どんなものか想像する。
魔方陣学・魔力譲渡学・スライム学・魔物調理実習・・・・なかなか面白そうだ。
☆
「え?フロイトくん奢ってくれるの?ありがとう。」
俺は、タットとシュナとリンダの4人で食事をとっていた。
どうやら、シュナちゃんはリンダさんと相部屋だったようで、意外にも仲良くなったらしい。
それで一緒に食事をしているというわけだ。
もちろん俺の奢りで。
「いえいえ。俺金持ちだからさ。リンダさん好きなだけ食べていいよ。」
奢ってあげてもお礼を言わない誰かと違って、リンダさんは優しかった。
いや、タットたちが優しくないだけか。
「リンダって呼んで。フロイトくん同い年でしょ?」
「分かった。じゃあリンダも俺のこともフロイトって呼んでくれ。」
「うん。分かったわまたフロイト。」
そうして少しずつ仲良くなる。
だけど、相変わらず俺のリビドーはどこか行ったままだった。
リンダだけじゃなく、他の女の子に対してもドキドキしない。
ホントどこ行った?俺のリビドー。
「そういえば、わたし魔法試験の点数60点だったんだけど。何でか分からない?」
リンダが質問するが、それは俺も知りたいくらいだ。
なんでリンダは60点だったのだろうか。
「それなら、たぶん最長ルートで魔法を放たなかったからじゃないかな?試験監督の人、魔法発生までの溜めを見てたし....。」
タットがそう答える。
なるほど!あれは魔法のスキルレベルを上げるための才能を見ていたのか!
それなら確かにリンダが60点なのも納得だ。
「なにそれ。魔法は最速で放つものでしょ?そんなの戦闘では役に立たないじゃない。」
しかし、リンダが反対する。
確かに一対一の戦闘では最長ルートで放つなんて隙だらけだ。
だが、それではスキルレベルは上がらない。
「ねえ、もしかしてリンダって魔法のスキルレベル1のままだったりする?」
俺がそう聞くと。
リンダは少し恥ずかしそうに答えた。
「そうよ。だから頑張って黒魔術を覚えたの。私には魔法の才能が無いからって言われて。」
やはり。
魔法初心者がよく勘違いするミスだ。
基礎くらい教えてやるか。
そうして、俺とタットによる魔法教室が始まった。




