フロイトと小型電解装置
「へぇ。取っ手が取れる鍋とかあるのか。」
「フロイトくんは料理はしないの?」
「ああ、いつも闘技場の食堂で食べてたからね。」
そんな会話をしながら、俺はフライパンとウォックパン・鍋を大中小3つと取り外しの取っ手を2つ買った。
ついでに皿を数枚と金属製のハシとコップを買う。
「フロイトくんって韓国出身?」
「いや、日本だよ。タットはどこ出身?」
「ボクはインド。ほら、」
そう言いながら、大量のスパイスを見せてくる。
「さすがスパイス大国だね。」
「そういうフロイトくんだって大量に塩を買ってたじゃん。日本は塩大国なの?」
「いや、汗かくからこれくらい必要かなって。」
そうして旅の準備を整え、俺たちはサルエルの町を去った。
☆
「シュナちゃんの職業ってなに?」
「シュナは魔法使いだよ。ボクが教えてるからスキルレベルも高いんだ。」
「えっへん!」
シュナちゃんが褒められて可愛い反応をする。
うん、女の子って癒されるね。
「それじゃあ、タットたちは収納魔法使えないわけか。やっぱり転職しないとだな。」
そうしてタットに4億Gを渡す。
「本当にいいのかい?フロイトくん。こんな大金貰っちゃって....。」
「うん。1日持ってないとタットに所有権が渡らないからね。収納魔法がないと俺が不便だし。」
「それじゃあ有り難く受け取るよ、」
そうして明日転職をする約束をした。
☆
夜も深くなってきた頃、スライムに出会った。
プレーンのザコスライムだ。
「今日の夕飯はスライムだな。」
俺はそういって、スライムを掴む。
ナイフで内臓と核を取り出し、水の生活魔法で洗ってから、砂糖を振りかけて鍋の中に入れる。
そして並木から木の実をいくつかもぎ取って、スライムと混ぜ合わせる。
これで完成だ。
「フロイトくんそれだけで充分なの?ボクらの少し分けようか?」
タットたちは黒パンに干し肉を挟んで、火の生活魔法で焼き目をつけていた。
「ありがとう。だけど大丈夫。やっぱり旅の醍醐味はサバイバルだから!」
そんなことを言いながら、俺はタットたちとは違う食事をとる。
肉は大好きだが、保存食に頼ってはいけない。
これが俺の冒険の流儀だ。
「フロイトくんのそれってどんな味がするの?」
フルーツスライムを食べる俺にタットは興味津々だった。シュナちゃんは引いてたけど。
「一口食べる?」
「いいの?ありがとう!」
タットはスプーンでフルーツスライムをすくい、一口パクリ。
「うん!結構おいしいね。これって何っていう果物?」
「これはララセリーの実で、魔力を養分に育つ植物なんだ。」
「へぇ。おいしいね。」
「ちなみに、このララセリーが魔物の魔力を吸いとって、スライムが魔力を失った死骸を分解するから、森のお掃除屋って呼ばれてるんだよ。」
まあそのせいで、ララセリーもスライムも食べる人は少ない。
スライムに関しては、うんこ掃除の印象が強いし。
ララセリーも見た目のせいで人食い植物って呼ばれている。
好んで食べる人なんて滅多に居ないのだ。
「へぇ。そうなんだ。」
そういうとタットはララセリーの実をもぎ取って種を取り除く。
「シュナも食べる?美味しいよ。」
「いやあああ!食べない!!!」
シュナちゃんは全力で拒否した。
うん。これが普通の反応。
☆
その日の夜。
俺は テントの中でとある装置を作っていた。
「こんな感じかな?」
作っているのは小型電解装置。
食塩水を電気分解して酸素を取り出す装置だ。
「よし。さっそく試してみるか。」
俺は生活魔法で水を入れ、買ってきた塩を混ぜる。
そして小型電解装置を口にくわえ、雷の生活魔法で電気分解を試みた。
「ほお!ふえう、ふえう!」
おし!ちゃんと酸素が吸える!
成功だ!
「やっぱり俺って天才だな。一発で成功じゃん。こんなに塩いらなかったわ。」
俺は大量に買った塩に少し後悔しながらも、自分の才能を褒める。
これでどこへいっても呼吸が出来るし、高濃度酸素を吸うことで集中力や回復力が高まる。
まあ、高濃度酸素の吸い過ぎは毒だけど。
そんな新たな発見をしながらも、隣のテントでイチャイチャしてるタットとシュナの声を聞きき、虚しさを覚えるのであった。




