悪魔の神父
「俺を戦士に転職させてくれ!」
意外と転職商売は上手くいった。
最年少転職神父ということで宣伝はバッチリ。あのフロイトのことだから嘘っぱちではないだろう。という信頼もあった。
「神のご加護があらんことを。」
教会と呼ぶにはあまりに貧相だが、闘技場の中で出来ることとなった。
武具屋と道具屋の間のすこし狭い部屋。そこに祭壇に見立てた台を置いただけの教会だ。
今日も何人か転職を施した。
それもほとんどが戦士へだった。
「やっぱり収納魔法があれば商売便利なんだろうな。」
お客さんのほとんどはサンクで転職することが目的だったようだ。
だが、その手前の町で転職出来るから楽ということ具合だ。
それに最年少転職神父を一目見てみたいというのもあるのだろうか。
「さて、試合に行くか。」
教会を閉めて試合へと向かう。
転職神父は物凄く稼げるのだが、1日に数人しか来ないから暇なのだ。
「あ、その前に。」
収納魔法に稼いだ金を突っ込む。
そう、俺も戦士に転職したのだ。
神に半分の500万Gを捧げるが、その価値があるほど収納魔法は便利だった。
☆
「戦う神父!神の子フロイト!!」
ワーっと歓声が上がる。
転職加護試験に受かったことで俺はさらに有名になった。
今ではもう満席だ。
「フロイトvsサクト。それでは、はじめ!」
俺は杖を片手に対戦相手のサクト目掛け駆ける。
純粋に杖術で攻めるのだ。
操作して勝っては観客も俺もつまらない。
キンッ、キンッ!
「ん?珍しいな。」
サクトの剣と俺の杖で打ち合っていると、あることに気付いた。
このサクトくん、2職持ちだ。
「なんだい?フロイトくん?」
「あ、いや、剣士と魔法使いの2職持ちで珍しいと思って。」
そう言いながら、お互い一進一退の攻防で打ち合う。
この相手、なかなかの実力者のようだ。
「さすが転職神父さんだ。見破られるとはね。」
転職神父はその経験上、相手の職業を見破るのが得意だ。
髪型・目付き・佇まい、色んなところに職業の特徴が表れる。
まあ普通の人でも見破れるのだが、2職持ちや5職持ちでも見破れるのは転職神父の職業病だろう。
「見破られたのなら仕方ない。ファイアウォール!ってあれ?」
俺はとっさにサクトへ魔力封じをした。
危ない、危ない。
ファイアウォールは敵を炎の中に封じ込める魔法。
焼け死ぬか、酸素切れで死ぬ。
凶悪な魔法だから、喰らったら最期だ。
まあ、ハルクだったら剣で炎を斬りそうだけど。
俺にそんな自信はない。
「これが噂の操作魔法かな?でも僕の身体までは操れないみたいだね!ハアッッ!」
「いや、操れるよ。」
俺に斬りかかるその剣をギリギリで止める。
煽られたのでお望み通り、身体を操作してあげた。
「なるほど、僕はずっと君の手のひらの上だったのか。だが!」
そういって口から仕込み針を飛ばしてきた。
降参宣言させるために口だけ自由にしてたのが仇になったか。
とっさに雷の生活魔法で自分の身体を操作して高速で回避する。
「くっ!避けられたか。」
無事に回避できたが、サクトへ撃っていた操作魔法を解除するはめになった。
まあ、また操作し直せば良いんだけどね。
「ふぅ危ない危ない。んじゃ全力で行くぞ!」
俺はサクトにではなく、自分に操作魔法を撃って杖術を繰り出す。
特訓の成果、操作するほうがより速く、より力強く動けるようになった。
筋肉を100%の力で動かす。
「なっ!くっ!うわっ!」
杖術でサクトを圧倒していき、ひと突きひと突き確実に入れていく。
だがサクトも俺の動きに食らいついてくる。
「ファイアウォール!」
好きだねその魔法。
そんなことを思いながら超加速して避ける。
そして、だめ押しの回復魔法を付与したひと突き。
「勝者!フロイト!」
サクトはしっかり気絶してくれた。




