8 // There is no right of veto
観測者
[謎だらけっすね。]
スゥ
【K…E6。K…TE6。応答せよ。KITE6。】
アカネ
「ケホッ ゲホッゲホッ…」
スゥ
【ガソリンが漏れています。即退避を。】
(皆は…)
スゥ
【KITE1 腹部貫通 致命傷】
【KITE2 虐殺】
【KITE3 擦り傷 呼びかけ中】
【KITE4 出血多量 窒息死】
【KITE5 虐殺】
隊長
「逃げっろ…」
アカネ
「隊長っ…」
隊長はKITE3とKITE6を護るように覆いかぶさっていた。
隊長
「KITE3…起きろ」
隊長はため息。
むせながら息を大きく吸う。
隊長
「KITE3!!任務放棄する気か!!」
KITE3へ声を張り上げる。
隊長は血を吐いた。
肩を跳ねらせKITE3は起きた。
隊長へ視線を向けた。
KITE3
「隊長…」
隊長は小さく不敵に笑む。
隊長
「よう兄弟…やっとお目覚めか?」
視線を鋭くしKITE3へ告げる。
隊長
「これより、KITE3を隊長へと昇進。KITE1は任務放棄とす」
KITE3のサファイアが青白く光揺らめく。
ジョウは言葉を失った。
隊長
「猶予がない。さっさと逃げろ」
「俺らの分せいぜい生きろ」
「いや…生き延びろ」
(待て待て待て…え?)
スゥ
【これが定めです。】
隊長・KITE3
「「運命は変えられない」」
アカネ
「ここでハモるなよ!」
「意味深すぎるんだよ…」
隊長へ振り向く。
「隊長…生き戻りしませんか?」
KITE3
「この運命変えられないんだよ」
隊長
「何度も何度も…何百回も模索した」
「結果はこのザマだ…」
「二人なら天秤も安定するだろう」
隊長は突然小さく笑った。
隊長
「不幸に慣れろ」
アカネ
「嫌だわ…それ」
隊長
「さっさと行け!」
「追ってが来るかもしれんだろ」
KITE3
「アカネ行こう」
KITE3は土砂から抜け出しアカネへ手を伸ばす。
腕を伸ばした瞬間、全身の痛みで顔を歪める。
アカネ
「いっ!」
隊長
「ほう…刺激が強すぎたか?」
アカネ
「は?何の?」
痛みに耐えながらKITE3の手を借りて土砂から脱出した。
隊長
「いや…別にぃ」
視線を逸らされた。
(意味不明…)
KITE3
「隊長……」
「今まで…ありがとうございました」
KITE3は隊長へ敬礼した。
アカネ
「隊長…」
「来世で…逢えることを願っています」
隊長
「ああ…」
三人は静かに敬礼した。
隊長
「武器忘れるなよ…」
弾薬と武器を土砂から掘り出す。
二人は荷台から飛び降り、森林の中へ駆け出した。
背後で発砲音が聞こえたと共に車体は爆発した。
スゥ
【KITE1 自殺】
アカネは青ざめる。
(死に戻り…か)
(隊長は同じ軸をずっと繰り返すのか…)
スゥ
【隊長はKITE3です。】
(悪かったな!KITE1これでいい?)
スゥ
【はい。】
(めんどくせー)
KITE3はアカネへ振り向く。
KITE3
「本基地はここから3キロ先にある」
アカネ
「遠いね」
KITE3
「FALCON部隊と合流する」
「無線は傍聴される可能性がある…」
アカネ
「生き延びろ…ね」
「今、天秤傾いてる?」
KITE3
「安定してる…」
「傾く前に基地へ急ごう」
アカネ
「わかった」
道なき道を、負傷した体に鞭打って走った。
サファイア《ラン バオ スー》
【荒野を走る二つの影。】
トルコ石《チーン リューィ スゥ パオ スー》
【彼らの行く末は…。未来に委ねるしかない。】
日が傾くまで走り続けた。
顎から汗が滴る。
アカネ
「喉乾いた…」
ジョウ
「確かに…」
「ラン。水源の位置わかるか?」
ラン
【意外かもしれませんが…1キロメートル先にあります。】
ジョウとアカネは顔を見合わせた。
ジョウ
「行こう!」
二人は駆け出す。
しばらくして――
アカネは水源の前で座り込んだ。
アカネ
「これが……水源」
それは濁りきった汚水だった。
アカネ
「これ飲めと…」
「死ねってか」
ジョウ
「浄水しよう」
アカネはジョウへ視線を向けた。
アカネ
「どうやって」
ジョウ
「サバイバルさ」
アカネ
「サバイバルゲームしてますが…」
肩をすくめて苦笑する。
ジョウ
「ゲーム言うな」
釣られて苦笑した。
ラン
【周辺に敵はいません。】
スゥ
【二人とも休むべきです。】
ジョウ
「ここで一夜を過ごす」
「薪集めよう」
「火起こしする」
アカネ
「わかった」
二人は手分けして薪を集め始めた。
(ペットボトル落ちてる…ラッキー)
(ぁ…幸運やん…)
(まった…水源も?)
慌ててジョウの元へ駆け寄った。
アカネ
「天秤は!?」
ジョウ
「え?……ラン!」
ラン
【KITE隊 幸運度-999・不運度0】
スゥ
【KITE3 幸運度520 KITE6 幸運度860】
ラン
【マイナス カウントです。お二人合わせてカンストしていますので…多少のことでは影響ないかと…。】
アカネ
「気にしすぎちゃった?」
ジョウ
「らしい…」
二人は小さく笑った。
緊張していた糸が和らいだ瞬間だった。
(ん?)
(んんっ??)
アカネ
「ちょっと…ちょっと待った!」
アカネは慌てた様子で薪を地面に落とした。
ジョウ
「どうしたの?」
KITE3はきょとんとしている。
アカネ
「スゥ…さっき何って言った?」
アカネはスゥへ聞き返した。
スゥ
【何のことですか?】
アカネ
「幸運値!」
スゥ
【KITE3 幸運度520 KITE6 幸運度860】
アカネ
「それがマイナスだったってことは、わかった!」
「で…何で数値がバカ高いの!?」
スゥ
【KITE1・KITE2・KITE4・KITE5の数値が合算されました。】
アカネ
「はあ!?」
観測者
[最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。]
[てか…その数値なんなの…って感じっすよね。]




