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数字の神が支配する世界  作者: 葉月 優奈
一話:百年眠る少女
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010

ここは、マート庁が所有する寮だ。

高層マンションの十五階に、俺の家はあった。

カーゴを降りた俺は、そのままマンションのエントランスに入った。


このマンションには、管理している人がいない。

全てロボットが管理していて、AIで全てが管理されていた。

ここで、俺がレンに渡している帽子が役になった。

監視カメラをごく自然に回避しながら、階段で上っていた。


「ねえ、まだ歩くの」疲れた顔のレン。

「仕方ないだろ、エレベーターは使えないんだし。お前は番号がない」

職業柄、俺は監視カメラの位置には敏感だ。

ある意味そこら辺の泥棒?よりもずっと詳しい。

それに、レンが見つかれば俺だって立場が危うくなってしまう。


「普段あんたは、歩いていないんでしょ」

「たまに階段を使うぞ。仕事柄、体を鍛えないと行けないから」

「あんた、筋肉馬鹿じゃん。ゴホッゴホッ!」

などと文句を言いながら、俺の後ろをついてきた。


「それにしても、お前は何しに百年間も眠っていたんだ?」

「分からないわよ!」俺の後ろを、文句言いながら登っていくレンが呟く。

「この世界で、コールドスリープは原則禁止だ。

目覚めたときに……例えば核で放射能汚染された世界だったら、起きた瞬間に即死だろ」

「核の世界で起きなかったのは、幸いなの?」

「だからこそ、お前は奇跡だ。

安全な世界に、起きられるか分からないしな。

それに、この島以外は放射能汚染で済むことも出来ないし」

「世界が、そんなに酷いことになっていたなんて……」

「未来は、誰も予想できない。神だって難しい」

俺は前を見ながら、階段を上っていく。


「にしても、修成はなんであたしの名前が分かったの?」

「うっ、それは……昔好きな人の名前だ」

「そうなんだ。『レン』って言うんだ。

あたしの記憶で多分、あなたと会ったことはないし……

いきなり出会って二秒で、あたしをお姫様抱っこしていたし」

「なんだ、お姫様抱っこって?」

階段の踊り場で、後ろを上っていたレンが手招きをしていた。


「どうした?」

「こっち来て」

言われたとおり、俺はレンのいる踊り場に戻った。

戻ったレンが両手を軽く握って、肘を曲げた。


「あたしの腰に手を回して……両手で大事に抱えるの。

倉庫でやったように、やればいいのよ。ゴホッゴホッ」

「こうか?」俺が抱きかかえると、レンが急に抱きかかえられて顔が赤くなった。

暗闇の中だったので、倉庫の時はよく分からないが明るい階段の踊り場。

顔が近くに見えて、俺も急に女を意識してしまった。


「おい、これって……」

「ドキっとした?」

「……ああ」確かに、少しドキットしてしまう自分がいた。

「じゃあ、このままあたしを階段で運んでちょうだい」

「お前、でも全然元気じゃ無いか」

「むー、いいじゃん。あたしの足はくたくただし。ゴホッゴホッ」

「分かったよ。じゃあ掴まれ。とっとと登るぞ」

なぜか俺は、レンを抱えて登ることになった。

俺の腕に抱きかかえられたレンは、倉庫で抱きかかえたときより重く感じられた。


「ちょろいわ」

レンは、舌を出して悪い笑みを浮かべながら俺に抱きかかえられていた。




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