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群雄割拠のアレとコレ  作者: 坂本杏也
有名武将と信長崇拝
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【七】

 長政は途中で足を止め、この田の持ち主である田吾作に声を掛ける。

「せっかくの良い天気に長い時間邪魔をしてしまったな」

「いえいえ、私のような老体にはこれだけの広い田は持て余してしまいますから、御前様にこれだけ手伝って頂けて助かりましたよ」

 そう言って頭を下げる。その様子を隣で見ていた要は、時代劇などで見掛ける殿さまとその領内で畑仕事をする農民との会話を聞いているようで少し不思議な感じがしていた。ただ、今はそんな事よりも馬が貰えるという事を早く二人に報告したくてたまらなかった。

 しかし、その場から去る時には、しっかりと田吾作へとお礼の挨拶をしてから三人の元へと戻った。


 遠くからゆっくりと近付いて来る長政と要の二人は、揃って足と腕から先を泥だらけにしている。先程まで田植えをしていたのだから当然なのだが、そんな姿がどうにも面白くて葵が口を開く。

「さっき出会ったばかりなのに、こうやって田植えを一緒にやって同じように汚れて、何だか面白いですね」

 それに返す様に、

「うちの大将は友人を作るのが抜群に上手いからな」

「そういう意味ではうちの要も良い勝負かもしれませんね」

 光が清綱の方を向いて言う。

「似た者同士が通じ合ってるのかもしれんな?」

 清綱は更に言葉を零した。


 二人が三人と合流すると、

「長政さんが馬くれるって!」

 言いたくてたまらなかった要がすぐに報告を入れた。すると、

『え!?』

 と、驚いた反応をした光と葵に続いて清綱が、

「通じ合い過ぎてしまったな」

 そう小さく零し苦笑いを浮かべた。

「馬なんて大丈夫なんですか?」

 葵が尋ねたのは長政ではなく清綱だったのは、今の言葉を聞いてしまった為だろう。しかし、浅井家の内政を担当しているのは清綱であった為、あながち間違いではなかったのだが、

「うちの領民の田植えをしてくれたんだぞ?今までこんなプレイヤーには出会ったことが無い。この嬉しさとお礼を兼ねてだな?馬くらいくれてやっても良いだろう?」

 一国一城の主感が漂ってきそうなたたずまいではあるが、渋い表情をする清綱を見た途端、

「え?ダメだった?」

 と、急に弱気になる姿が三人に親近感を与えてくれる。

「いや、ダメでは無い。私もこの方々を嫌いになる理由が見つからないし、長政が言うように田植えを手伝ってくれた方というのは今までにいないからね」

 二人の会話に割って入ったのは要だった。

「あの、田植えを手伝ったとか、お礼とか言われてるんですけど、ここの田んぼって長政さんの物なんですか?」

 小さな咳払いが清綱から聞こえ、

「正確には長政の領民の田という事になる。ここにいる二人には号を得る方法というのを少しだけ説明したんだけど」

 言った彼は、自分の右側にいる光と葵を手で示しながら、

「長政のように国や城を持っていた人物の号を得ると、特典として土地やそこに住む領民が貰えるんだ。当然、土地には家を建てることも城を築くことも出来る。これで大体察しがつくだろう?」

 要が頭の中で噛み砕きながら、

「浅井長政の号を得たから土地が貰えて、そこに田んぼを作って領民に作物を作らせてるって事ですか?」

「作られた作物は年貢としてある程度長政の所に入って来るからね?わざわざ買ったり採集してくる必要が減るんだよ」

 清綱の補足に葵からは、

「便利だ」

 などと感想が漏れるが、

「買ったり採集してくる必要が無くなる訳じゃないんですね?」

 光が言葉尻を掴んで聞き返す。

「光くん、君はなかなか抜け目がないね?」

 清綱はそう言って光を褒めると、更に続けて、

「彼が思ってる通り、全く行かなくて良いって訳じゃないんだよ?年貢で入って来る物にも限度はあるし、このゲームに存在している素材というのは種類が多いから、全てを年貢でっていうのも無理がある。薬だけ作るとかこの料理だけを作るって決めてしまえばやり繰りすることは可能だろうけどね」

 話を終えた。


「光と葵は号について色々聞いたの?」

 要が興味津々で尋ねて来る。

「ああ、聞いたから後で説明してやる。お前の好きな織田信長の名前も出たぞ?」

「おおおお!!」

 と、テンションの上がる要に今度は長政が話を割った。

「あれでしょ?信長の号欲しさに寺に火を点けて坊主にタコ殴りにされたって話」

 意気揚々と言ったは良いが、周りの反応が思っていた物と少し違った為、長政は首を傾げながら、

「清綱、その話じゃなかった?」

「全く違う。それにそれは信長になりたいプレイヤーがやった事で、結局信長は関係無いでしょう?」

「でも、噂になってたじゃないか。その武将の歴史的背景が条件になってる可能性があるとかなんとか」

「それも事実かどうか確認しようが無いでしょう?」

 二人の言い争いを他所に、要は光と葵に小声で、

「どういうこと?」

 と、聞くと、

「多分、号を得る方法の話だと思うんだけど、ゲームをプレイする中で隠された条件をクリアしてくってのがあるらしいんだけど、それは一切情報が開示されてないらしいんだ。さっきの長政さんの噂って話だと、その武将の歴史的背景って言ってたから、信長の号が欲しくて『比叡山ひえいざん焼き討ち』を真似したって事じゃないかな?」

「つまり、号の欲しい武将っぽい生活を送れば取得出来るかもしれないって噂がゲーム内で広まってるって話ですね」

 葵が噛み砕いて説明を更に簡単にしてくれた。

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