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群雄割拠のアレとコレ  作者: 坂本杏也
設定と個別指導
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【六】

 三人が姿を現したのは、夕方から夜になろうとしている小さな農村だった。

 明かりの点いた家屋らしきものが点々と存在し、それに沿うようにして小さな土の道が三人の向こうへと続いている。時折、風に吹かれて周りの木々が騒々しく枝を揺らしているが、

「自分以外の人を見るとなんか凄いね」

 かなめの声が後ろから聞こえ、ひかりはゆっくりとそちらの方へと顔を向けると、現実世界で会ういつもと同じ彼がそこにおり、あおいもあの日出会った時と何も変わらない顔でそこに立っていた。しかし、服装がゲーム仕様になっており、全員が小袖こそでと言われる浴衣のような着物を着ている。

「これで、ゲームの中なんだよな?」

 光の言葉に、

「現実世界と何も変わりませんね?」

 葵はそう答えると、遠くにそびえる山々へと目を向けて、辺りの木々の騒めきに耳を澄ませ、最後に鼻を使って匂いを嗅いでいる。

「すごい!何か美味しそうな匂いが」

 彼女の言葉に、男二人も同じように匂いを嗅ぎ出す。そして、感動したように、

『ホントだ!』

 と声を上げる。

 夕方から夜になるタイミング、近くの家で夕食を作っているのか、美味しそうな匂いが辺りに漂っており、本当にゲームの世界に入っているのか?と、疑いたくなってしまう。

「ヤバイ!ヤバイ!何しよう?何しよう?」

 明らかにテンションの上がってしまった要が焦ったように喋るが、

「ちょっと待て。とりあえず、今の状況をちゃんと知った方が良いと思う。時間もこれから夜になるみたいだし、そもそも夜に出歩いて大丈夫なのか?」

「さっきのおじいさんも分からない事は周りの人に聞いてみろって言ってましたよね?」

 光の言葉に葵が続く。彼女は更に小さな声で言葉を零し、

「自分は技能の使い方しか教えてくれませんでしたけど」

 少し不満そうに口を尖らせている。

「じゃあ、二人の意見をまとめて、最初は情報収集をこの村に住んでる人にしてみるって感じで良い?」

 要の発案に二人は首を縦に振るが、二人の視線は辺りを見回す様に動き回り、最終的に要の元へと戻って来て、

「人が全く歩いてない訳だけど、家の中に聞きに行く?」

 少々不安そうに呟く光に、

「本当の人間じゃないんだから心配いらないって」

 要は笑顔を向けて、目の前の道を民家の方へと進んで行く。すると、要よりも少々大柄な男性が彼の前に現れて、

「こんばんは」

 と、仁王立ちのまま頭を下げた。三人は釣られる様にして挨拶を返すのだが、目の前に立つこの人間がゲーム内の人間なのか、それともゲームをプレイしている人間なのか分からない。

「すいません。急に声を掛けてしまって、この辺にプレイヤーがいるのが珍しくて、つい」

 そう声を掛けられ、

「お兄さんはプレイヤーなんです?」

 と、純粋に聞き返す要。それを受けた男性は、自分の頭の上を指差して、

「ここに名前が書いてあると思うんですけど、白い字で書かれているのがノンプレイヤーキャラクターって言われるゲーム内のキャラクターで、通称NPCって言われてます。で、水色で書かれてるのがプレイヤーですね?皆さんも水色ですよね?」

 彼の言葉に促されてそれぞれがそれぞれの頭の上を覗き見る。そんな三人に構う事無く男性は話しを続け、

「たまに赤い人もいますけど、それはまあ、有名人ってやつですね?」

「あ、武将の人ですか!?」

 要が食い付いたのを少しだけ残念そうにしながら、

「ああ、ご存じでしたか?吃驚びっくりさせようと思ったんですけど」

 そう自嘲気味に言った。


「それで、お三人さんはどうしてこんな辺鄙へんぴな村に来たんです?」

 尋ねれられた要が、中山道の話をしようと口を開けたタイミングで脇腹を光に小突かれ、そのまま要に代わって光が口を開いた。

「えっと、僕らはあまりこのゲーム詳しくないので適当に決めたんですよ」

 そして、視線を彼の顔から少し上げて頭上へと持って行くと、

「それで、えっと、はやぶささん?こそどうしてここに?」

「ああ、このゲームは町ごとにお話って言うか、クエストみたいなものがありまして、それを受けようかな?と、思ってやって来たんですけど」

「おお、俺らもそれ受けよう!」

 二人の会話の間に入って来た要は、テンション高めにそう言うと、

「技能とかも覚えたいし、武器も欲しいし、服ももっとカッコいいのが欲しい!」

 更に声を上げて叫んだ。

「その為には情報収集ですね」

「そうだな。とりあえず、色々聞き込みは重要だと思う」

 などと三人でこれからのついて話をしていると、

「あ、すいません」

 と、隼というプレイヤーは一度後ろを向き、左手を動かして、再び三人の方へと向き直ると、

「友人に呼ばれてしまいましたので、失礼します」

 そう言った次の瞬間に、その場から光となって一瞬にして消えてしまった。三人は突然の出来事に驚き、言葉を失っていたが、

「あれも何かの技能なんですかね?」

 という葵の言葉に、

「多分」

 と、二人は自信無く、そう呟く事しか出来なかった。

17.04.23 誤字修正

17.08.07 誤字修正

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