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COTAROSTA’S ADVENTURE  作者: Ryo Yoc
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8/21

ミシン


深緑色の短い草。黄色の小さな花。丸い花びら。黒く湿った土。体表を這う虫。収縮する瞳孔。赤い刺激。黄色い刺激。青い刺激。惑星が猛スピードでぶつかってくる。

町中のスピーカーから今朝の大気の汚染レベルが知らされる。世界で近代化を終えた国の経済は停滞し、新興国が近代化の過程で自然を破壊しながら経済成長している。デバイスがニュースを伝える。遠くの山が霞んでいる。空が乳白色に覆われている。


鎖の中で見たミシン。ミシンも鎖に繋がれていてコタロスタはミシンに滑り込めた。ミシンの車輪は赤く錆びている。造られてから250年経っている。10人に使われた。さまざまな時代を経て丘の上に存在している。コタロスタの計り知れない歴史が刻まれている。しかしミシンの前に坐った人々の感覚はコタロスタのものと遠くない。ハンドルを手にして、ペダルを踏んで布を固定して、針の進むべきラインを読む。

ミシンを保有しているのは(株)インペリカ。ミシンはアンティーク。現在は全自動のミシンが主流で、コンピューターのみがミシンを使っている。ミシンを使う技術のある人もいない。便利な物質文明が誰にでも使える機械を造り、技術のある職人は絶滅寸前だ。インペリカはミシンをディスプレイ用に保有している。



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