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COTAROSTA’S ADVENTURE  作者: Ryo Yoc
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雨、透明の雨、世界中で降っている。1秒、1秒、時間がこぼれていく。薄闇の空を、緑の草原を、頭上を覆うビルを。

コタロスタは頭に繋がれた鎖に気がついた。見上げると薄闇の空高くまで鎖が伸びている。コタロスタは見た。他にもたくさんの鎖が他者の頭から伸びている。その夥しい数の鎖はビルや草からも伸びている。鳥や虫からも伸びている。水や空気からも伸びている。水と人では鎖の太さやデザインが違う。すべての鎖が空にある大きな一本の鎖と一つになっている。コタロスタが鎖を強く意識すると鎖の中を感覚が移動するのを感じた。1メートル、2メートル上昇する鎖の中の感覚。しかし集中する場所を間違えると両目の見る景色に感覚が落ちて行く。コタロスタはクリスタルの針で両目を刺した。視覚を閉じると感覚は移動しやすくなった。コタロスタは鎖の中を感覚となり移動した。鎖の体は冷たく、冷水の川を流れているように感じる。時に風が吹くと凍てつくように感じる。温かい感覚が奪われるといろんな考えがぽろぽろ垢のようにこぼれ落ちて行く。世界規模の右傾化。不況。戦争の予感。戦争。資源の枯渇。環境破壊。投資。アダムスミス。倫理無き資本主義。効率化、合理化のためだけの民主主義。経済格差。20パーセントだけの裕福層。経済の奴隷。多様性を失った価値観。余計なお金は使えない。障害者。認知症。子供。老人。経済の邪魔。共産主義国家も邪魔。敵対する男根の神様も邪魔。いつできるかわからない服も邪魔。1人だけに愛される服も邪魔。決められた設計図通りの100人、1000人、10000もっともっとたくさんの人が愛する均一化の服をたくさん造らなければいけない。それがコタロスタの住む世界。冷たい鎖を進むうちに、冷水の中を流れるうちに、どんどんどうでもよくなった。風の音、風、光、声、何か分からないけど、何かを感じるたびに、コタロスタの感覚は刺激を受けた。球体の光線が体を通り抜けていくような刺激。白い球体や桃色の球体が体を通り抜ける。時間を認識したことから未来に対する、その先の死に対する恐怖が生まれた。過去に対する後悔が生まれた。でもコタロスタはどんどん忘れている。記憶がぽろぽろ落ちて行く。今だけの世界にいる。コタロスタの感覚が金色の球体の光の線で満ちる。ただの空が美しすぎる。ただ木の実が落ちる音が美しすぎる。ただの石垣が、生える雑草が美しすぎる。川から出てゆらめく背びれが、流れる水が美しすぎる。コタロスタの感覚は金色に輝く。やあ、やあ、やあ、やあ、やあ、声がする。老人の顔が浮かぶ。知っている気がする。歓迎されている。老人が金色を共有している。老人の名は今。金色の今を知っているから今だと思う。老人が指をさす。その人はお金を儲けようとする行動で金色に満ちている。老人が指をさす。その人は愛する人への行為で金色に満ちている。老人が指をさす。そのひとは音楽を造る作業で金色に満ちている。ある人は絵を描く作業で金色。文章を書く作業で金色。人を助ける行為で金色。学校へ行く道のりで金色。友達と遊んで金色。木の実を拾って金色。老人は笑顔、どこにでもどこまでも繋がりそうな笑顔。空間も時間も飛び越えそうな笑顔。ごおんごおんと懐かしい音が響く。きらきらの透明の石がぶつかりあい高い音が綺麗に響く。



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