第三話 〜不思議な指輪〜
家から出ると、温かい空気が漂ってきた。
初夏が訪れる合図だ。
私は、ルンルン気分で和也が待っている、いつもの待ち合わせ場所へと向かっていった。
何故か最近『いつもの待ち合わせ場所』と言うのが心地よい。
まるで恋人のようで―――――
二十分程で、いつも待ち合わせ場所として使っている公園に着いた。
まだ、和也は着いていないようだ。
ふと、足元を見るとタンポポが綺麗に咲いていた。
それを見て、あぁ〜本当に夏だぁ!と改めて実感する。
そうしながら、新たな夏の風景を楽しんでいると、メールが一通届いた。
誰かな? と思い、開いてみると和也からだった。
和也から来る久しぶりのメールに、ドキドキしながら読んでみた。
内容は―――ゴメン!今、手が放せない状況なんだ……。今から、そっちに神崎 聖夜って言う、男が迎えに行くからそいつについてきて。怪しい人じゃないから。じゃ、待ってるね―――
読み終えて、神崎さんってどういう人なんだろう……。怖い人じゃなきゃいいなぁ。と思っていると、黒いスーツを着た見知らぬ人に声をかけられた。
「あの…柿沼 樹里さんですよね……?大林様から、お迎えに行くよう頼まれた神崎 聖夜です」
何とも言えない、神崎さんの言葉遣いに私は
「気軽に話してもらっていいですよ?そのほうが、私も話しやすいですし」といつもだったら、敬語じゃ話さない私も、つい敬語になってしまった。
でも、神崎さんは言葉遣いをかえずに
「大林様から、敬語で接するよう言われておりますので……」と言い、なかなか話し方をかえようとしない。
ここまで言われては、私も言い返せず
「そうですか……」と一言呟いた。
すると
「それでは、行きましょうか」とやはり丁寧に言い、私に手を差し出した。
私は、?とクエスチョンマークでいっぱいだった。
そして、私が呆然としていると、神崎さんが
「手をお乗せくださいませ」とわけがわからない私に、優しく丁寧に説明してくれた。
まだ、状況を把握していない私だったが、言われた通り手を乗せた。
すると、神崎さんは私の右手の薬指に綺麗な指輪をはめ
「これは、大林様から柿沼様へお渡しするよう、言われたものです」と言い、私の手を丁寧に降ろしてくれた。
そして、私は
「ありがとうございます。でも、この指輪何なんでしょうね!」と苦笑いする。
そしたら、神崎さんがニッコリと微笑み
「あとで、ご本人にお聞きになられるといいでしょう」と言い、薄いカーディガンをかけてくれた。
実はと言うと、家から出た時は暑かったのだが、公園に着いてから少し薄寒いかな? と思って、身震いしていたのだった。
その時に、カーディガンをかけてくれた神崎さんは、まるで天使のよう―――
さっきから、神崎さんを見ているが和也とは雰囲気が違い、私をそっと包み込んでくれるような感じがした。




