タピオカ
「次はここです!」
「いやおい」
次はどこかならんらん、と気分良く来たのはいいものの、実際に来てみると迫力がすごいね。
タピオカさん。
うちの近所のタピオカ屋はここまですごくなかったぞ?
さすが東京。
日本の首都。
でも、あれでしょ?
所詮イモでしょ?
炭水化物の塊でしょ?
とか言う輩もいるが、一度飲んでみろ。
ただのイモじゃないぞ、あれ。
「これ、何分待ちだ?」
「うーん、数十分はいかないとは思うけど」
でしょうねー。
飲み物に数十分は流石に。
結果から申し上げると普通にすぐ買えました、はい。
「んー、うんま」
「ねー」
「甘いがな」
「まー、おいしいし、いいじゃん」
「そーだなー」
あー、甘い。
誰だよ、ただのイモじゃないっていったやつ。
そうだよその通りだよ。
イモじゃねえわ、これ。
俺の味覚が死んでるだけやもしれんが。
後でコーヒー飲も。
「ほいッ」
「おおー!」
タピオカ飲み終わって近くにゴミ箱あったから投げたんだよ。
そしたらな?
入ったのだよ、これが。
「ふはははっ! 誉めるが良い、誉めるが良い!」
「わーすごーい」
「唐突に棒読みになるなよ。虚しくなるだろ」
「えー、ゴミ箱に『普通に』入れればいいのに無駄に投げてる時点で」
「ですよねー……」
「けど、すごいとは思うよ? ここが公共の場じゃなかったら」
「うーん、まあ、はい。気を付けます……」
「よろしい。では私にコーヒーを買ってきなさい」
「は?」
「それとお主の分も買ってきなさい」
「……は?」
「だって、喉乾いてるでしょ? それに、ここのは少し甘かったし」
「お?」
「第一、いつも甘いもの食べた後には決まってコーヒー飲んでるの、知ってるんだからね?」
「お、おう?」
「だ、か、ら。買ってくる。ゴー!」
「えー……」
「は、や、く!」
「はいはい」
俺は見逃さなかったぞ。
香野、お前、顔真っ赤や。
そうゆう俺もだが。
だからきっと気のせいだ。
周りから、
『あのカップルまじ可愛い』
とか、
『まだ付き合って1ヶ月とかかな?』
とか聞こえてくることは。
だからってなんだだからって。
めっちゃ動揺してんじゃん、俺。
早よコーヒー買ってこよ。
その後ろ。
彼、彼女を見つめる3人の影があった。
「で、どう思う? 隼」
「うーん、いい感じではあるよね」
「だよねー。さあ、これからどうなるか。楽しみだわー」
「あのー、なんで私が呼ばれたんですか?」
「え?」
「えぇと、私に諦めろと暗に言ってるんですか?」
「いや、そんなことはないよ」
「じゃあ、なんで……」
「それは簡単だよ、須藤ちゃん。燃えて来ない?」
「は?」
「だからさー、こう、相手がこんなんだったらもっと頑張ろう! 的な感じで」
「はぁ」
「えぇと、つまりね? はっきり言って須藤ちゃんはアプローチが少ないよ。あれじゃあ男はなびかない。しかも、相手は初恋の相手」
「まあ、それは分かりますけど……」
「だったら話は簡単。もっとアプローチを増やしな? 実際須藤ちゃんすごい可愛いよ?」
「まぁ、ありがとうございます?」
「だけどね? あいつのことだから、もうそろライバルが増えてくるのよ」
「えぇと?」
「なんか分かんないけど健、モテるのよ。だからもうそろライバル来るかなあって。伝わった?」
「まあ」
「だから、早めに動いておきなって」
「それを伝えるために?」
「ま、そんな感じ」
「鈴、須藤さん、動くよ」
「ん。りょーかい」
「あ、はい」
「あっあの!」
「んー?」
「そのー、鈴さんや長谷川くんは、どうして私にそんなことを?」
「まあ、簡単に言っちゃえば」
「恋する女の子、の味方かな?」
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