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映画

遅くなり、すいません…。

 チャリンッ


 100円玉を投入する。


 ボタンを押し込み、まずは横移動。

 慎重に。

 慎重に。


 ボタンから指を離し、隣のボタンに指を置く。

 すると、


「横から見なくていいの?」


 香野から質問が飛んできた。


「ん? あー、見たところであんま分かんないのよねー。だから、後はほぼほぼ勘、かな」

「え、すご」

「いや、すごくはないよ。このレベルまで何万ものお金が吹っ飛んだんだぞ?」

「あ、うん」


 こうゆう系の自慢は大抵キモがられるから気を付けてね?

 特に、10秒前の自分。


(気を取り直して)


 指を押し込む。

 それに呼応して動き出すクレーン。


(今だっ)


 指を離す。

 そして、下り始めるクレーン。


「あっ、引っ掛かった!」


 確かに引っ掛かった。

 だが。


 アームが閉じる。

 それと共に上がるクレーン。


(行けるか?)


 そしてクレーンは排出口に向かって行き真上で、


 アームを開いた。


「うしっ」

「やった!」


 落ちてきたぬいぐるみを取り出し、


「ほい」


 と、香野に渡す。


「ありがとっ! 大切にする!」

「お、おう」


(所詮クレーンゲームのなんだがな)


 そんな事を思ったりもしたが、それを言うのは野暮だろう。

 こんな嬉しがってるんだし、なんでもいいか。




「いい暇潰しだったね」

「そうだな」

「じゃ、映画館、行こっか」

「ん」


(階層が違うだけでも映画館と言うのだろうか)


 純粋に疑問に思った永山健15歳、誕生日は8月9日です。


 糞どうでもエエな、この情報。




「で、結局何を観るんだ?」

「えぇと……」


 上映中の映画の広告が貼り出されているところを見ながら考える香野さん。


「あっ、あった!」

「お、どれどれ?」

「これ!」


 香野の指差す方を見ると有名なアニメ映画があった。

 確か今すんごい人気なのだとか。

 絵は綺麗だともっぱらだし、見たいとは思ってたんだよなー。


「おー、普通に良さそうじゃん」

「は、今度観ることにして」

「は?」

「今日はこれ!」


 指差す方を見るとあら不思議。

 その映画は主人公が鈍感過ぎて最近超絶人気の若手イケメン俳優使ってんのにとてつもなくいい評判が無いやつではないですかー。

 なのに興業収入がとてつもなくてロングラン最近決まったんだよね。

 あら不思議。

 で、今度とは?

 まあ、それは置いといて。


「で、なしてこれ?」

「えー、面白そうだったから?」


 そうゆう決め方、僕は大事だと思います。




 えー、映画を観てる間に肘がぶつかったり、手が触れあったりとかいう展開はありませんでした。

 主人公が鈍感過ぎてうざいとかなんだ言われてたけど俺からしたら、


『これ、女も悪くね?』


 と、思いました。

 アピール分かりにくいし、こんなん普通気付かねぇやろと思って、ネットで検索したけど、男が悪いってのが男からも言われてんのね。

 それも大多数。

 どゆこと?


「面白かったね!」

「あー、うん」

「あれ、面白く、なかった……?」

「いや、そんなことはないんだが」

「……うん」

「ネットの意見と俺の意見がずれてるなー、と思ってさ」

「まあ、あくまでネットだし、気にすることはないよ」

「そうだよなー」

「そうだよ」

「ん。ありがとな」

「それほどでも」

「で、次はどうするんだ?」

「次?」

「そう、次」

「次はねー……」

「次、は?」

「内緒です! なーんてね」

「おい……」


 『なーんてね』、は可愛いすぎ。



読んでくださり、ありがとうございます!

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