通話とおはよう
『あのー、永山君?』
と、言われましても。昼のやり取りのお陰で緊張はしていない。だけど、ある意味においては緊張している。
『チャプ、チャプ』
と、スマホから聞こえるのだ。
これって、あれだよな。アニメとかラノベとかでよく目にするお風呂から電話とかゆうやつでは?
取り敢えず、真相を突き止めよう。
うん、そうしよう。
もしかしたら、誤解かもしれないしね?
「あのー、香野さん。つかぬことをお聞きしますが……」
「うーん、なに?」
「……、今どこから電話かけてます?」
「お風呂だけど、どうして?」
「……」
「あ、スマホなら防水仕様だから大丈夫だよー?」
俺の沈黙をどうとったかは知らないが、違うぞ香野。
俺が心配しているのはそんなことではない。
ハッ! まさか、気付いてない! そうだ、きっとそうだ。こいつ、天然だしな!
「なにー? もしかして、意識してるの? この状況」
違いました。ただの確信犯でした。OK、ならこっちにだって対策はある!
「はっ、するわけないだろ。こんな状況に」
「えー。私だって少しは成長してるんだよ? いろんなところ」
いかん、勝ち目ないわこれ。
「あ、私もう出るから一回切るね。次かけるとき、ちゃんと出てよね?」
「お、おい」
ブチッ……
切られた。仕方ない、勉強しよ。
と、勉強し始めたはいいが……、
「集中出来るわけないだろ!」
こう、何て言うのかね?あれなんすよ、あれ。こう、あらぬ妄想をしてしまうっていうか……。
だめだ、だめだ。あーヤバい。
これ電話かかってきたらヤバいな。
トゥルル、トゥルル
あー。かかってきたよ。どうしてくれんのよ。誰だよフラグ建てたやつ。あ、俺か。
トゥルル、トゥルル
「あーもう!」
埒があかないので電話に出ることにした。
『あー! やっと出た!』
「お掛けの電話番号は……」
『そうゆうの要らないから。』
「あ、はい。すみません」
『分かればいい。』
「で、なに? おれ、もう寝たいんだが」
『あ、うん。そのー。明日、学校一緒に行かない?』
「は? お前の家と俺んち、全然違うぞ?」
『あははっ!』
めっちゃ笑われた。俺に非はないはずだ。
『違うよ。途中の駅で待ち合わせようってこと』
あ、そういう。そこで気付いた。
(俺、普通に話せてるじゃん)
そのことに気付くと頬が熱くなる。
(勝手に期待して、勝手に失望して、勝手に諦めていたのは俺なんだな。)
確信した。だったらやってやろうじゃねぇか。
フラれた?それがどうした。
それが諦めて良い理由になるとでも?
いや、違うな。
そう考えると、笑いを堪えるのがむずかしくなった。
「くくく」
『ど、どうしたの?』
「いや、なんでもない。じゃあ、待ち合わせ場所、そっちに任せていいか?」
『う、うん』
「じゃあ、後でメッセージ送っといてくれ」
『なんか、凄い乗り気……』
「そうでもないぞ? じゃ、明日な。おやすみ」
『お、おやすみ』
そこで、通話は切れた。早速メッセージで待ち合わせ場所についての確認がきた。それでいいと返信してから、俺は明日が楽しみでしょうがなくなった。取り敢えず朝早くいこう。その為にはもう寝よう。あらかたのことは、もう済ましてある。あとは、寝るだけだ。
ピリリ、ピリリ
スマホのアラームで起きた。いつもより1時間早い。にもかかわらず、両親はもういない。社畜にだけはなりたくないな。そう思った。
いつもより早い朝飯を食べていると、妹が2階から降りてきた。
「兄貴、何で起きてるの? 早くない? 大丈夫?」
心配してると見せかけて罵倒してきた。
「なんつう、高度な技術使ってやがる。俺じゃなきゃ見逃してるぞ?」
「この場合は聞き逃すだと思うけど?」
「ぐぬぬ」
「はあ。昨日なんかあった?」
ジト目で見てきた。可愛かった。
「いや、特に」
説明が面倒くさかったので、適当に濁す。
「ふーん。なら、いいけど」
ピーンポーン
チャイムがなった。
「なんだ?」
雪にいかせるわけにもいかないので俺が出ることに。
「宗教勧誘だったらめんどくせえ」
そう思いながらドアを開けると、
「おはよう」
「な、な、」
「来ちゃった、お迎え」
「は?」
なんだこの展開?
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