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00 - プロローグ 

初めての投稿になります。よろしくお願いします。

初日のみ5話投稿。

 

 

 

 

 晴れ渡る空、澄んだ空気に沢山の緑。

 小川の流れや動物たちの動く音。

 そこはとても鮮やかで豊かだった。

 

 しかし時が流れてそれは無くなった。

 寂しい景色の中、佇む少女が何か言っている。

 

 “——————”

 

 表情は逆光で見えない。

 

 ”———、——。————“

 

 “———”

 

 

 私の声も届かない。

 あぁ、凄く、眠い。

 

 

 はっきりとしない意識は、水面に揺蕩(たゆた)うようで、心地良さに誘われるように微睡(まどろ)む。

 もう何も、届かない……

 

 

 

 

______

____

__

 

 

 

 開いた目に映るのは見慣れた木目、自分の家の天井だ。

 久しぶりに不思議な夢を見た気がする。

 懐かしいような、寂しいような、嬉しいような。

 いつも内容は覚えていなくて、様々な感情だけが胸の中に残っていた。

 

 久しぶりだからか少しぼんやりしてしまったが、起き上がり頭を軽く振ると、一つ息を吐き出して気持ちを切り替える。

 このままベッドと友達でいるよりも、早いところ森に行かなければ、約束の時間に間に合わなくなってしまう。

 

 今日は、大切な約束があるのだから。

 

 

 

 

 手早く支度を済ませて家を出る。

 近頃は随分と暖かくなり、夜明けも早くなってきた気がする。

 森に程近いこの場所は空気がとても澄んでいて気持ちがよく、私がここに住む理由の一つというか大半を占めていたりする。

 森に近いということは街中からは遠いという訳で、多少の不便はあるけれど、それを踏まえても居心地がよかった。

 

 家を出て、北に向かって暫く歩けば森に着く。

 そのまま進み森へ入ると、不思議な力が森全体に流れているのを感じる。

 

 この森は森全体に立ち込める不思議な魔力のせいで惑わされれる人が多く、危ないからと人々はあまり近づかない。

 何故か私には影響がないので、それをいいことに昔から入り浸っていた。

 

 

 歩いていると、上で何かが光ったような気がして見上げる。すると木々の間から覗く空に、碧色の輝きが見えた。

 そして羽音が聞こえると、綺麗な羽がふわふわと落ちてくる。

 

 この森にのみ棲む鳥らしく、お腹だけ濃いオレンジ、他は碧色のとても派手で綺麗な鳥だ。雄の尾羽には長く立派な飾り羽根が二、三本あり、体の大きさは片手ほどでとても小さい。

 

 派手な色のこの鳥は、無事に成鳥になれる数が少ない。

 目立ちすぎると良くないのは、人も鳥も同じらしい。

 近くに落ちてきた羽を拾い、陽の光に翳す。

 キラキラと光る羽はとても綺麗で、でも自分にはないその輝きは少し眩しすぎるものだった。

 

 そのままなんとなく鞄に仕舞うと、今日も薬草などを探して歩き回る。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 森での用事を済ませると、家には寄らずそのまま通り過ぎる。今日は門の中、街に用がある。

 その際、外套のフードをしっかりと被りなおすのを忘れない。

 

 私の住んでいる辺りは民家は少なく、畑や家畜小屋などが多くを占めているが、南の方へ歩いて行けば畑などは減り建物がだんだんと増えてくる。

 こちら側にある門は裏門みたいなもので、外に畑などを所有している者くらいしか通らないため、門番とは自然と顔見知りのようになる。

 今日もすれ違う際に舌打ちをされながらその横を通り、しかし街の中心には向かわず、そこから少しはずれたところが私の目的地。

 

 

 

 どうやらお昼前には間に合ったらしい。

 近づくにつれて、今日もとても賑やかな声が聞こえてくる。

 

「……カミール? カミールだ! おかえりなさーい!」

 

 元気な声が聞こえた方へ顔を向けると、小さい子供がにこにこと走り寄ってきた。

 

「久しぶりだね! もう遊べるの? あ、まずはお母さんのところ?  ちょうど今から大きいお部屋で絵本を読むところだよ! 」

 

 にこにこと話す可愛い生き物を抱きしめ撫でまわしながらも、教えてくれたことに頷き微笑む。

 

「もう! 髪の毛くしゃくしゃだよ〜。 早く行こっ!」

 

 口では怒りながらも、笑顔で私の手を引き一緒に歩く。

 

 

 部屋に近づくと声が聞こえてくる。

 さっき言っていた絵本だろう。

 

 明日は建国記念日だから、恐らく読んでいる物はあれだ。これは毎年変わらない。

 

 絵本の内容はこの国の故事を元にした物で、この国が《神獣の国》と呼ばれるきっかけになった大きな出来事をまとめた物らしい。

 まあ、絵本らしく子供にも分かりやすく簡単に纏められ、多少手が加えられているとは思うが。

 

 そして昔から私は、この絵本が苦手だった。

 何故かと聞かれると説明は出来ないのだが、好きになれなかったのだ。

 そのためいつも聞き流すようにしていたが、残念なことに内容は覚えてしまったらしい。

 

 ここを出て以来二年ぶりに聞いたが、どうやら今も好きにはなれないらしい。

 

 

 

 

 

 

 【この国には神獣と呼ばれる

  神の使いがいました

 

  神獣様は大きな鳥の姿をしています

  それはそれは綺麗な輝く鳥でした

  

  しかし時には姿を変えて

  獣になったり

  猫になったり

  虫になったり

  なんと風になったりと

  様々な姿形を取りながら

  側で私たちを見守ってくれていました

 

 

  この国は神獣様のおかげで

  とても豊かで恵が多く

  人だけでなく植物や動物も

  すくすくと育ちます


  当然他の国は羨ましがり

  何度も攻めて来ましたが

  その度にみんなで戦い守ってきました

  

  しかし何度も続く戦いに

  みんな疲れてしまいました

 

  そんな時です

  不思議な力を持った少女が現れました

 

  少女が祈ると傷ついた人たちが

  たちまち元気になりました

  

  でも助からなかった人もいます

  少女は悲しみの涙を流しました

  するとその涙は何でも治す薬になりました

 

  その不思議な力は

  人々を憐れんだ神獣様が与えたものだと考え

  いつしか特別な力を持つ少女は

  聖女様と呼ばれるようになりました

 

  また平和な日々が戻ると思いました

 

  しかし突然森から現れた沢山の魔獣と

  それらを連れた者たちに襲われました

  彼等は森に住んでいるらしく

  自らを森人(もりびと)と名乗りました

  彼等は魔獣を操り襲って来たのです

  

  狙いは聖女と呼ばれた少女でした

  

  みんなで力を合わせて戦いましたが

  少女は攫われてしまいました

 

  そして国は沢山の魔獣に襲われ

  人々はどんどんと倒れていきました

  

  王子も先頭に立ち必死に戦いますが

  大きな魔獣にはとても勝てません

  もうこの国は終わりだと

  みんなそう思いました

 

 

  そんな時です

  お城から突然空に向けて黄金色に輝く

  光の柱が立ち上りました

  そしてそれは波のように広がり

  辺りは柔らかい光に包まれました

 

  光に触れた者はたちまち傷が治り

  不思議なことに暴れていた魔獣までも

  大人しくなりました

 

  それだけでなく聖獣と呼ばれる

  森の奥深くに住むという生き物が現れ

  国を守る王子の側に寄ると

  共に敵に向かって行ったのです

 

  聖獣と力を合わせて

  王子はたくさんの敵をたおしました

 

  そしてついに勝ったのです

  永かった戦いはこうして終わりました

 

  

  急ぎ城へと戻った王子を待っていたのは

  攫われたはずの少女と神獣様でした

 

  たくさんの人が傷つくことに

  嘆き悲しむ少女の声に応え

  神獣様が助けてくれたのです

  あの黄金の光は神獣様の力でした

 

  二人はお互いが無事であったことに喜び

  確かめるように抱きしめ合いました

 

  それを優しく見守った神獣様は

  空へ飛び一際大きく輝くと

  その姿を隠しました

 

 

  黄金の光は三日間消えることなく

  優しくこの国を包み込んでいました

 

 

  

  その後平和になった国で

  王子と聖女はめでたく結ばれ

  いつまでも仲良く幸せに暮らしました

 

  そんな二人の結婚式では

  虹を架ける様に羽ばたく

  輝く大きな鳥がいたとか……】

 

 

 

 

 

 

 むしろ、嫌いかもしれない。

 

 


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