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もはや都市伝説と化した最恐探索者、超有名アイドル配信者を救ってバズり散らかしてしまう  作者: コータ


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エピローグ

 誘拐騒ぎが解決して数日が経ち、徐々に騒動はおさまってきた。


 幽奈は病院にシャムのお見舞いに行き、辿々しく泣きながら全てをなんとか説明した。


 いつの間にかシャムも泣いていた。ペンダントを見て、かつて除霊に失敗した時の霊だったことを思い出したようだ。


 希空ともなんだかんだでやり取りをするようになった。


 幽奈を超えることを目標にしていると言われ、本人は戸惑うばかりだが、希空はなぜか困っているときに助けてくれる。


 幽奈にとっては意外なことに、実は希空も高校一年生であり、通っている高校もそう遠くではなかった。


 シャムが退院してからは、日常がいっそう忙しく、そして充実したものになっていく。


 退院してからも、アイドル配信者の目標は変わっていなかった。彼女は他の友人と付き合うことも、配信活動も積極的だが、幽奈と一緒に過ごす時間も増えている。


 どうしても一緒にディープダンジョンに挑みたいらしい。


 結局希空も参加することになったが、あと一人が決まらないことは変わらないままだ。


 それでもいいと、幽奈は思う。ゆっくり見つけてければいい。


(最近すごく、幸せ)


 夏服になった幽奈は、教室で外の景色を眺めながら、変わった日常に喜びを感じていた。


「幽奈ちゃん! お待たせー! じゃ、行こっか」

「うん」


 元気なシャムの声に頷き、幽奈は一緒に学校を後にする。今日は特別な日だ。


 電車に乗って都会を離れ、片田舎の駅に降り立つと、金髪の目立つ女子がすでに二人を待っていた。


「わっ!? 希空ちゃんはや! え、いつからいるの?」

「あたしは三十分前行動が基本なんだよ」

「す、凄い」


 戸惑うシャムと、素直に尊敬する幽奈の視線に照れくさくなり、希空はさっさと歩き出す。


「ダンジョン、けっこう先だから」

「あ、そうだよねー。えーとマップはと」

「スマホ出さなくていい。もう下見してるから」

「えー! マジ!?」


 希空は怠そうに見えてやる気満々だった。三人で国道沿いの歩道を進んでいくと、田んぼだった場所にぽっかりと大きな階段ができている。


「ここかー! ま、新パーティの練習としてはいい感じの場所じゃない?」


 シャムはうずうずしている様子だった。


「そ! あと一人集める前に、ここで試運転ならちょうどいいっしょ。幽奈も、準備できた?」

「うん。シャムちゃん、希空ちゃん、よろしくね」

「こちらこそよろしくだよ! じゃあ配信スタート——」

「あ、ちょっと待った! シャムはこの前もメインだったろ」

「あれー? そうだっけ」

「雑談の時はシャムだったんだから、今日はあたしか幽奈。ってか、幽奈でいいかな」

「ふぇ!? わ、私がメイン。で、でも。緊張しちゃう」


 配信になると緊張してしまう癖は変わらずで、幽奈のコミュ障もやっぱり変わっていない。


「あはは! 大丈夫だよ幽奈ちゃん。ちゃんとあたしがフォローするから」

「あたしも、困っていることがあったら手伝うから。なんでも言って」

「あ、ありがとう!」


 優しく笑いかけてくれる二人に、幽奈は心の底から感謝した。


「でも、この前すごく騒ぎになったから……希空ちゃん、やってくれる?」

「あーあれ! まだ配信ランキング一位だもんな。オッケー! じゃあ幽奈は、今日は探索に集中してくれればいいよ。じゃあ配信、スタートするよ」


 すると、なぜかここでシャムが慌てる。


「あ、ちょっと待って! 髪と服直してから」

「待ってらんないっての。はい、スタート」

「ちょっとー!」


 配信用のカメラが動き出し、幽奈は慌てるシャムを見てクスっと笑った。


 三人はこれから探索者として、多くのダンジョンに挑むことになるだろう。


 彼女達の冒険はまさにこれから。


 そして幽奈が世界中に認知され、さらなる驚愕をもたらしていくのも、実はこれからであった。


 戦いと宝物が眠るダンジョンの中に、今日も彼女達は乗り込んでいった。


 ◇


 幽奈達がダンジョンに挑んでいた頃。

 都会でも田舎でも、ネットの世界でも、こぞって一つの噂話が広がっていた。


「ねえ、聞いた? あの話」

「あの話ってなにー?」

「ほら、例のアレ。SS級の悪霊とか言われてたやつ」

「あー! あったよね。でもアレ、ガセだったんでしょ?」

「本当にいたって話だよ。しかも女の子」

「嘘ー! ヤバ!」

「それがさぁ。実は最近よく聞くんだけどー」


 都会の大きな駅前で、彼女達は噂話に花を咲かせる。彼ら彼女らの日常は一見すると変わっていない。多くの人々が、退屈ではあるけれど平和な日常を過ごしている。


 しかし、ダンジョンが出現したことで、今までは関わることがなかった存在と、いつの間にか接点が生まれている者も少なくない。


 もしかしたら、人外の存在は案外近くにいるのかもしれない。


「その怖い女の子……また街中に現れたんだって」

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