06-2或いは
えー監視とかウケんねー。
「⋯ようやっと寝たか」
寝室のドアが閉まる音を遠くに聞き、ステリーはため息をつく。
「(まるで子守りにでもなった気分だ)」
己の現在の状況を鼻で笑いながら、なるべく音を立てぬよう外に出る。
気づけば、外には大勢の白い羽の群れ──他の『白鴉』たちがいた。
「⋯『あれ』の様子はどうだ」
「今のところ何の進展もない。兄の方はたった今寝付いたところだし、弟の方は目を覚まさない」
一体の白鴉の問いかけに、ステリーは淡々と答える。その様子に相手は穏やかに笑いながら前に進む。
「そう警戒するでないステリー。すぐには処分せんよ」
「こっちに来るな」
ステリーは相も変わらず淡々と答えながら武器に手をかける。
他の白鴉たちに警戒が走る中、その相手もまるでステリーの様子など意に返さないように会話を続けた。
「ステリーや。ただ我々は様子を見に来ただけだ」
「嘘をつくなよ、目障りだから兄弟諸共殺す気だろう。弟の方はともかく、兄の方も殺せば流石に『マザー』も黙ってはいないぞ、ペラマ」
「⋯⋯それもそうだのう」
ペラマと呼ばれた高齢の男は、そう言うと歩みを止め、2階を見つめる。
「⋯最悪か、吉兆か⋯」
「あ?」
「ステリー。現在あの子らの動向はパラティリティスが見張っておるのう?お前はパラティリティス諸共彼らを見張れ」
「はあ?何故そんな面倒なことを」
「繰り返さぬためだ。お主も分かっておるだろう」
「⋯」
ステリーはペラマの発言に軽く目を背けると、武器から手を退け、踵を返す。
「⋯今は殺さないということだな」
「その判断を下すのはお主ということだ」
他の者たちにも知らせておこう、と、ペラマが手を払うと、他の白鴉たちは一斉に飛び立っていった。
「これで茶々を入れてくる者は現れんだろう」
「⋯助かる」
息をつき、ペラマに礼を告げるステリーの背は少し寂しくも見える。
「良い良い。子守りをするお主は貴重だからのう」
まるで好々爺のように笑うペラマに、先ほど自分が考えていたことを思い出し、ステリーは何とも言えない顔をする。
「しかし何故こうも肩入れする?普段のお主であれば、例外は即排除するであろうに」
「⋯別に」
そう言って家のドアに歩みを進める。一歩一歩、まるで何かを噛みしめるように。
ドアを閉める直前、ステリーは微かな声で呟いた。
「──別に、ガキはただ生きてりゃあ良い。それだけだ」
「⋯そうか」
パタンと閉められたドアを、ペラマは見つめ続ける。
「⋯『マザー』よ。貴方様は何を考えておられるのでしょうな」
その言葉は誰にも聞かれぬまま、夜は益々暗闇を宿していった。
お疲れ様です。柏田です。
ちょっと短いです⋯。
増えるはずのなかったキャラが増えるのって創作あるあるだと(勝手に)思ってるんですが、ペラマさんがその一人です。
一筋縄ではいかないジジイっていいよね。
いつもお付き合いくださりありがとうございます。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。いつも観てくださる皆様の存在が救いです。心からの感謝を。
それでは。




