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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
12才です。
148/191

続45話 出陣です。<ヒャッハー!>



アーライル国とハスブナル国は、いくつかある大陸の中でも一番大きな大陸の中にある。


大小様々な国がたくさんあるので、陸続きとはいえ目的地のハスブナル国までの間にたくさんの国があり、それだけたくさんの関所がある。


転移魔法が使える他国にもわりと有名な我がアーライル国の大魔法使いエンプツィー様がその国々から関所通過可の証明書をもらって来た。

あざーす。


昨日の火の玉は当然、ハスブナル国からアーライル国までの国々でも目撃されながら空を飛んで来た。

アーライル国に近い国々は迅速に情報を得られたが、ハスブナル国に近い国は大混乱。そこの国の使者たちに泣きつかれてそれを引き離すのが大変だったそうだ。

お疲れさまでーす。あざーす。


そんな中、エリザベス姫の母親、二の側妃オリビア様の国オルストロ国は比較的冷静で、兵力支援を申し出てくれたそうだ。さすがハスブナルの元属国だけあってハスブナルへの対応が早い。

ありがたい。

でも準備だけで終わらせますからね~。

今回はアーライルVSハスブナルのタイマン勝負なんで。


オルストロ国の隣はハスブナル国の属国なので、そこからは許可は無し。とりあえずオルストロ国が最初の転移場所に。


《今度は寝過ごさぬぞ!》


オルストロ国の国境沿いにて、フンスー!と鼻息の荒い白虎の尻尾はピンと立っている。

・・・猫なら尻尾がピンと立っているときは機嫌が良い時だったと思うけど、虎はどうなんだろう?

・・・あまりはしゃがれる(・・・・・・)のもなぁ。まいっか。

白虎を頼むね、とお願いしたシロウとクロウは一つ()をあけてから《おぅ》と言った。・・・なにその()。頼むよマジで!


「早すぎないか・・・?」


国王が呆然としている。まあ、昨日の今日でもうオルストロ国だからね、呆然ともするか。目の前の国境線付近には現在わたわたしながらハスブナル国の属国の兵士が集まって来ている。列を作る余裕も無いようで、なんだか逆に悪い気がするけど、まいっか。


ビアンカ様の名言「大将はどんと構えてとどめ係!」の元、国王を担ぎ大急ぎで準備を整えた。

主にうち(・・)の連中が戦闘部門を引き受けたので、騎士兵士の召集時間が消滅。ただし、近衛とハーメルス騎士団長は付いて来た。フットワークが軽くていいね!

宰相様が事前にコツコツとしていた手続きのおかげでエンプツィー様の通行証確保が速かった。やっぱ宰相様って凄い人だ。今回は留守番だけど、普通の戦争なら軍師役だよなー。

学園長含む魔法担当教師たち、魔法使いの協力確保。生徒は留守番。

青龍はミシルに付いているし、白虎は張り切っている。さすがに亀様本体は領地から動かないけど、地面がある限り亀様はどこでも力を使える。


・・・私の気絶中に全ての準備は整ってた。わお。


アンディに抱っこされて目覚めて、びっくりして色々と慌てたけど・・・いつもの(・・・・)アンディに安心した。歯は良いと言われたので、頬だけ治癒。

そして抱きついて充電。「ついて行くのに」って笑って抱きしめられた。・・・うぅっ!




今回の最重要目標は朱雀の救出。

やっと、村長を連れて来られた。


「お世話になります」


「こっちもわりとあてにしてるから」


にこやかに握手を交わす。お待たせ村長。


「お嬢~、何だか飛んで来たぜ~」


騎馬の民バジアルさんが望遠鏡を覗きながら教えてくれたけど、同じ望遠鏡を使っても私の目にはさっぱり見えない。飛んで来たって事は鳥系か。


「ハスブナル国方面からだけですね」


同じくザンドルさんも望遠鏡で四方を見ながら教えてくれる。二人が言うならそうなのだ。騎馬の民の視力ってどんだけよ。


「具体的な何が飛んで来てるかは分かる?」


二人が、う~んと唸って望遠鏡を構えた十秒後、


「「 黒光りする骨、ですね(だな) 」」


「何だ、不味そうだな」


だからラージスさん、私そんなに何でも食べるわけじゃ・・・食べるな、うん。ただの骨なら出汁(だし)くらいはと思ったしね。

でも、黒光りする骨か~。普通に鳥の形や中型飛翔系魔物、ハーピーとかどこか人が混ざった魔物も骨だけになってるようだ。

・・・そんな出汁、嫌だな。


「どうするよ?」


「アンデッドなら少し厄介だな。聖水が間に合わないかもしれない」


うずうずとするニックさんに、少し難しげに答えるルイスさん。


「お嬢たちにはなるべく魔力を温存して欲しいからな~」


「んじゃ残りは力づくで時間稼ぎだな!」


まぁそうなんだけどと呆れるルイスさんを置き去りに、ニックさんはザンドルさんたち騎馬の民のもとへ移動。

そこへシロウとクロウも歩いて行く。


《風の流れは任せろ》


《おい!それは我がやるぞ!》


騎馬の民に向かってシロウがそう言うと、白虎が割り込んだ。


《白虎よ。白虎は白虎の役があるだろう》


クロウが嗜めるけど、白虎は前足でぺしんぺしんと地団駄を踏む。可愛い。


《わーれーがーやるのだー!》


シロクロが困って私を見る。まだシロウとクロウに白虎の力が少し入っているけど、白虎は充分に白虎としての力を戻した。この程度で揺らぐ魔力ではないがどうする?と二頭からテレパスが届く。


「白虎」


私の呼び掛けに元気に《ん?》と振り返る白虎。


「シロウとクロウに頼んだ事をキチッとやるなら代わっても良いわよ。ただし、勝手に動いたら、アンタの尻尾の毛まで使って歯ブラシを作ってやるからね?」


にっこり言ってやると、ビシッとお座りの格好になる。毛が逆立ち、ひげもピンとなった。


《こ!こここここはシロウとクロウの割り当てだったな! 我は先に言われた事をすることにするぞっ! 姉上っ!》


・・・よし。

何やらニックさんをそわそわと見ていたハーメルス団長も直立している。なんで? 団長は近衛と一緒に国王から離れないのが仕事だよ。


さて。ここで頑張ってもらうのは狩猟班と騎馬の民の弓部隊。戦闘特化した人たちとはいえ、さすがにやっと黒い線に見えるようになった空飛ぶ魔物群に矢を当てられるわけがない。風の魔物のシロウとクロウにフォローを頼むことに。

ここでシロクロを前に出さないのは、後で彼らの魔力も必要になるかもしれないから。そして戦闘班がギラギラしてるから・・・うん、行けそうな所までよろしく・・・


ルイスさんの号令で弓隊が構える。その矢には聖水を浸してある。私の気絶中にミシルが渾身の祈りを込めた超聖水。


「射てーっ!」


ニックさんの号令で一斉に矢が飛んでいく。シロクロの風に乗って遠く、速く、さらに強く。

放った矢群は光をまとい、黒い線のほんの一角を吹っ飛ばした。

・・・わあ・・・矢の数より多く吹っ飛んだね・・・


「「「「 何あれ!カッコイイ!! 」」」」


うわ、戦闘班がキラキラした。

構えーっ、射てーっ、構えーっ、射てーっ、どんどん行けーっ、オオオーッ!! ヒャッハーッ!!

・・・おい。

シロクロの尻尾がゆっくり動く。ふさり、ふさり。


《ミシルの聖水の威力があるとはいえ、》


《ここまでとは思わなんだ・・・》


シロクロがたそがれている。どうやら想定していたよりフォロー用の魔力消費が少なく、そして威力が想定を上回るものだったらしい。

エンプツィー様も呆気にとられた様子。

・・・まあ、楽できるなら良い、のか?


「よし。苦しまずに昇天させられた」


望遠鏡を覗いていたミシルがホッとしたように言う。

何度も向かって来る怨嗟は辛い。

死ぬまで苦しんで、死んでも苦しんで、呪いを解かれるのにも苦しむ。

ミシルの目は真っ直ぐ、力に満ちていた。


さて、向こうが動いたのならこちらも動くか~。


大人しく控えていたタツノオトシゴが今まで以上に巨大化。そして皆を乗せて悠然と空を飛ぶ。

ハスブナル属国の国境沿いで私らを阻もうとしていた兵士たちは、隊列を整える事なくほぼ腰を抜かした。


「こっちに手を出さないならお宅の国に影響無いようにするから、大人しくしててね~」


返事を聞かずに進んだ。


邪魔しないでよー。







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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
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